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カテゴリー: 日記

Play like a Music

昨日はとある音楽イベントに参加していた。とっても楽しい時間だった。

演奏している人たちはもちろん素晴らしかったんだけど、それを見て、聴いて、ノッている人たち、全員がすばらしい。みんなで一つのものを作ってる感じがたまらなかった。いい大人がみんな、とっておきのものを隠し持って集まって、「ここだけの話ね」と言いながら、秘密のパーティーをしているような。もちろん、本当に悪いことをしているわけじゃないんだけれど!

この間 AI にあれこれ相談していたら、こんなこと言われた。

「あなたはちょっと、考えすぎですよ。『こんなことも起こるかも』『こんな風に相手が思ったらどうしよう』『こういう風に伝わったらどうしよう』って、何パターンも考えますよね? でも、お相手に失礼なことじゃなければ、あんまり考えすぎず、言ってしまっていいんじゃないですか?」

は、はい、すみません。AIさんの言うとおりです……。でもネット越しに人への言葉を考えていると、どうしてもそうなる。やっぱり会って話す、一緒の空間で遊ぶっていうのは、本当にいいことだな。

しかし、こういう楽しい演劇ってのはできないものか。音楽のような演劇。

僕はどうしても、本番にしてもワークショップにしても、見終わって単に「超楽しかった!」というようなものではなく、「しっかり考える」「人間存在の矛盾を問う」みたいなものばかり作ってきた。重たいものばっか、作ってきた。

そういう作品も、もちろんあっていい。でも、ただみんなで同じ時間、同じ場所にいることを楽しんで、みんなで「いいものを見たね」「超楽しかったね」「信じられる? これ、知ってるの、俺たちだけなんだぜ」と感じるような、そういう作品も作れるかもしれない。そして、そういうものの方を、僕は今見たいのかもしれない。

次回作では、そういう音楽みたいな芝居ができないかな? なんてことを考えながら、ライブハウスの輝く照明を見つめていた。

脚本家の消滅

私は、個人的には岸田國士戯曲賞、あるいは鶴屋南北戯曲賞を受賞している劇作家です。同時に、AIの検定試験であるE資格とG検定も取得しています。

つまり私は、戯曲を書く側の人間であると同時に、AIがいま内部で何をしているのかを、プログラムのソースコードのレベルからある程度理解し、説明できる人間でもあります。おそらく、この二つの領域を同時に見ている作家は、そう多くありません。だからこそ、これからこの分野で何が起こるのかについて、かなり具体的なイメージを持っています。

結論から言えば、脚本家は消滅します。

先日、星新一賞の受賞作四作のうち三作がAIを用いて書かれたものだった、というニュースが話題になりました。いよいよ、AIによる小説や脚本、物語のクオリティは、文学賞を受賞するところまで来ています。もちろん、まだ信じたくない人もいるでしょう。そんなものは本物ではない、創作ではない、人間の魂が入っていない、と言いたい人もいるでしょう。

しかし、残念ながら、時代はもうかなりそこまで来ています。少なくとも「文学賞に入選する程度の文学作品」であれば、AIが書ける時代になりつつあります。

昨年から今年にかけて、文学賞の応募総数が激増しているというデータもあります。これは明らかに、AIを使って書いた人が増えているためでしょう。実際、皆さんも試してみればわかります。手元のChatGPTやGeminiに小説を書かせるだけでも、かなりの水準のものが出てきます。もちろん傑作ではありません。しかし「それっぽいもの」は、もう十分に書けてしまう。

なぜなら、AIはもともと、ルールやロジックのはっきりしたものを扱うのが非常に得意だからです。典型的なのがプログラミングです。いま、世の中のプログラマーの多くは、もはやゼロから自分の手でソースコードを書いていません。AIに「こういう動作をするプログラムを書いて」と指示し、出てきたコードを走らせ、修正し、また指示を出す。そういう作り方に移行しつつあります。

知り合いのプログラマーからも、「自分でソースコードを書く文化は、かなり消えつつある」と聞きました。かつて筆で写経していたものが、やがて活版印刷になり、ワープロになり、いまや予測変換になった。コードの世界では、それと同じことが猛烈な速度で起きています。

そして、同じことが脚本の世界でも起こります。

なぜなら、物語は、実はかなりロジックだからです。これは今後、脚本講座の中でも詳しく触れますが、脚本やストーリーは、思われているほど「感性」だけでできているものではありません。登場人物の欲望、対立、葛藤、転換点、因果関係、伏線と回収、情報の提示順序。これらはかなり論理的に設計されています。もちろんプログラミングほど厳密ではありません。しかし、構造を持った文章である以上、AIとの親和性は非常に高いのです。

したがって、今後、脚本を書く作業のかなりの部分はAIに置き換わっていくでしょう。これは、いまイラストレーター業界で起きていることとほとんど同じです。本来であれば、人間のイラストレーターに発注した方が、絵のクオリティも高いし、面白いものが出てくる可能性も高い。少なくとも、優れたイラストレーターの仕事は、AIの平均値など軽く超えています。

しかし、AIに絵を描かせるのは圧倒的に楽なのです。何度でもリテイクできる。いくらでも作り直せる。どんな無茶な注文をしても怒らない。「もう少し明るく」「もっとエモく」「でもやりすぎないで」「やっぱり最初の方がよかった」などという、発注者特有の地獄のような往復にも、AIは文句を言いません。えらい。いや、えらくはない。ただ、疲れない。

そうなると、人間の方が素晴らしい絵を描くとしても、「やり取りが面倒だからAIでいいや」と考える人が増えていきます。実際、それによってイラストレーターの仕事はすでに減り始めています。

同じことが、これから脚本家にも起こります。

プロデューサーは、こう考えるでしょう。「締め切りを守らず、修正のたびに不機嫌になり、自分のエゴを出し続ける脚本家とは仕事をしたくない」。もちろん、すべての脚本家がそうだと言っているわけではありません。私自身も耳が痛い。痛いどころか、鼓膜が破れそうです。しかし、発注する側から見れば、脚本家という存在はそれなりに面倒くさい相手です。

その点、AIはいくらでもリテイクに応じてくれる。こちらの要望をすべて飲み込んでくれる。怒らない。拗ねない。締め切りも破らない。仕事相手としてのコストが圧倒的に低いのです。

もちろん、「そんなもので本当に面白いものができるのか」「魅力的なストーリーになるのか」と思う人もいるでしょう。私も、本当はそう思いたい。けれど、それはかなりアンテナの高い人の意見です。

大半の人は、実はストーリーをそこまで細かく見ていません。好きな俳優が出ているから見る。応援しているアイドルが出ているから見る。映像が綺麗だから見る。話題になっているから見る。そこに少しだけ新しい趣向や、現代的なテイストが入っていれば、多くの場合、それで十分なのです。

これは観客を馬鹿にしているのではありません。人は物語だけを見ているわけではない、ということです。作品は、俳優、宣伝、映像、音楽、時代の空気、SNSでの話題性、そういったものの総体として消費されます。その中で、脚本だけが聖域として残り続けると考える方が、むしろ不自然です。

技術的には、もうかなりのところまで来ています。そして向こう二、三年で、そこらの脚本家よりもよほど整った、よほど気の利いた、よほど「それらしい」脚本を、AIが書くようになるでしょう。

そのとき、劇作家や脚本家という職業は、ほぼ消滅していくはずです。

もちろん、完全にゼロにはならないかもしれません。ごく一部の例外的な作家、強烈な個性を持った作家、あるいは「人間が書いた」という事実そのものに価値がある作家は残るでしょう。しかし、職業として大量に存在していた脚本家、発注を受けて物語を組み立てる脚本家、いわゆる産業としての脚本家は、大きく数を減らしていく。

そして、その中には私自身も含まれています。

これは他人事ではありません。私がやっている仕事も、いずれなくなるはずです。だからこそ、いまこの話をしています。怖いからです。けれど、怖いものから目を逸らしても、怖いものは消えません。夜道で背後から足音が聞こえているのに、「いや、これは風の音だ」と言い張っても、足音はどんどん近づいてくる。

AIは、もう後ろにいます。

※なお、この文章は、TypelessというAI入力ソフトを使って音声入力した原稿を、ChatGPTで校正してもらったものです。私は指一本動かしていません。

小田島雄志先生との思い出

2013年、僕は小田島雄志翻訳戯曲賞を受賞しました。それは自分にとって初めての大きな受賞でした。大変な晴れ舞台だったので、僕は先輩の俳優さんから立派なジャケットをもらい、先輩の美術家からスピーチのアドバイスをもらって、授賞式に行ったのを覚えています。

そして僕はカチコチになりながらも、ものすごいスケールの大きな話をしました。一言で言うと……。

「翻訳も時代が変わってきた。
 より口語的で、俳優の口に合う翻訳が増えてきた。
 自分がかつて図書館で読んだような古い翻訳ではなく、より俳優の口になじむような、新しい翻訳がしたい」

というようなことを言ったのを覚えています。これは、翻訳の大先輩である、小田島雄志先生に対する挑戦のようなものでした。

しかし、授賞式が終わった後、小田島先生は私のところに近寄ってきて、ニコニコしながらこう言いました。

「飲みに行きますか?」

小僧の挑戦など歯牙にもかけない。大きな器を感じたものです。

私たちはスペインバルみたいなところへ行き、小田島先生(大先生、お父さん、息子さんなど、色々な方がいらっしゃいました)と飲みながら翻訳の今後について話をしました。小田島雄志先生はすごいことを言っていました。

「谷くんには、いずれあげるとわかっていた。去年あげてもよかった。
 正直、去年あげようかなって思ったこともあったんだよ。『モリー・スウィーニー』よかったよね。
 でも去年はちょっと色々混雑していたので、今年あげた。頑張ってね」

若者にとっては、これは大変な違いです。賞が1年早くもらえるだけで生活は安定するし、収入もガッと増える。そう思うと、「おいおい、そんないい加減なことしてくれるな」と思うのですが、私が先生にそのことを言うと、にこにこ笑いながらこう言っていました。

「だって、色々な人にあげたいからね、この賞は」

……実際、小田島雄志翻訳戯曲賞というのは、本当に小田島先生の私費でやっている賞なんだそうで。毎年、賞金も自腹で出しながら、どこの自治体や政府の援助を受けるわけでもなく、「翻訳文化を育てていかなくてはならない」という思いでやっている賞なのだそうです。

僕からすると、小田島先生というのは大変なめちゃくちゃなレジェンド翻訳家であり、大先生です。それでも毎年賞金を出すというのは、大変なことだと思います。だから小田島先生は逆に、「今年はこの人。来年はこの人。なるべく色々な人が受賞できたらいいね」という風にやっていたんですね。私はそれは今ではよく分かります。

受賞歴なんて飾りです。受賞してみると分かるのですが、本当にあれは飾りに過ぎないんです。ただ、「あ、受賞しているのね、受賞歴があるのね」と言うと、急に出入りできるところや来る仕事が増える。つまり、賞をあげる側はなるべく多くの人にあげたいと思っている。数年経ってみて、小田島先生のいうことはよく理解できました。もらうの、数年早くてもあとでも、大してかわらない。

ただし、それを小田島先生が、私費でやっている。それは、すごいことです。実際、その粋なはからいによって、僕は世に出れたわけで、感謝してもしきれません。

その後も小田島先生は私にこう言いました。

「新宿三丁目の〇〇という居酒屋で、私は毎週飲んでいます。いつでも来てください。翻訳のことでも演劇のことでも何でもお話ししましょう」

「酔いどん会」という会合で、私も1回か2回行きました。途中から小田島先生の体調が悪くなり、そしてコロナとか世の中の情勢の移り変わりがあって行けなくなりました。本当に、こんなことになるのなら、無理をしてでも何度も通っておけばよかったです。

いつ飲みに行っても、どんなメンバーがいても、小田島先生はずっともう、同じでした。……ダジャレをどれだけたくさん言えるか、ひたすらダジャレを言おうと、それだけです。ずーっと、ダジャレをいうタイミングを狙っている。一緒に飲んでいて、「いや、この動詞の意味はね」「この時のハムレットの気持ちはね」、そんなことは一切言わない。ついさっきの雑談に対して、どれだけダジャレを多く言えるか。それしか頭にない人でした。

ただ、今思うと、それが素晴らしかった。シェイクスピアのことなんか一言も言わない。ダジャレを言って、人を楽しませようとしつつ、でも、あの人の頭の中には、膨大な演劇とシェイクスピアが詰まっていた。僕はそれを、ちょっとだけ覗き見できた。

会場や劇場で小田島先生と会うと、やはり演劇評論家でもあるので、年間200本とか、大量のお芝居を見ていました。大抵寝てるんですが、そのことについて尋ねると、こう答えていたそうです。

「いいんだよ、寝ちゃって。本当に面白いお芝居はそれでも覚えている。それを報告するのがぼくの仕事」

つまり、そうやって、おもしろいお芝居を見つけては、報告する。それを90代までやっていた、と思うと、頭が下がります。

大好きでした、小田島雄志先生。あなたのご意向通りです。私はあなたによって、チャンスとか、活躍の機会をもらえた一人です。

追悼西村博子

先日、演劇の先輩が連れて行ってくれたジャズバーで、たまたま流れた1枚目がソニー・ロリンズの『マック・ザ・ナイフ』で仰天した。ついこないだ95歳で亡くなった巨人。そのあと2枚目はエラ・フィッツジェラルドの、これも僕が一番好きな『マック・ザ・ナイフ』のカバー版。

殺人、強盗、ポン引きに不倫と、悪逆の限りを尽くすマクヒィスが、なぜ当時の貴族社会にとって大きなカウンターになったのか、というのは、詳しい説明が必要なのだが、ブレヒトやクルト・ヴァイルのような「こむずかしい」理論をさておいて、新宿のジャズバーで、今も人を感動させていることに僕が感動する。何より僕にとって、『三文オペラ』は特別な作品だしな。マクヒィス、ルパン、石川五右衛門。昔から世が乱れると、正義や権力は浅薄になり、悪党が英雄になる。

たまたまその夜、新宿タイニイアリスの話にもなった。20代の僕を支えてくれた西村博子さんという、最低で最高の演劇評論家がやっていたハコだ。僕が生バンド入れて煙草もくもく、めちゃくちゃな公演をやったとき、西村さんに呼び出された。怒られるのかと思ったらこう言われた。

「この小屋のこけら落としは、蜷川さんと唐十郎さんだから。あいつら舞台でタイヤ燃やして火事にして、こけらで消防車呼ばれたのよ。最低よ、最低」

「だからあなたも好き放題やりなさい」

アリスは逃げ場所だったらしい。新宿で、演劇をやれる場所がなかったため、映画館や神社でやっていた2人が逃げ込んできたサンクチュアリだ。ウサギを追って穴に落ちると、上と下がひっくり返り、現実世界での常識は通用しなくなる。賢いアリスも、現実にフィットできず、不思議の国で旅をした。

西村博子さんの葬儀には行けなかった。2年間、活動休止をしている間に亡くなってしまった。次に会ったら「未払のギャラちゃんと払えコノヤロウ」というのと、「本当にどうもありがとうございました」というの、きちんと伝えたかったのだけれど。未払は20万円ほどです。

もちろんアリスはもうない。アリスみたいな小屋ももうないだろう。エラ・フィッツジェラルドのスキャットを聴きながらそんなことを考えていた。鳳さんも、丹羽さんも、みんないなくなってしまった。あのゴキブリだらけで、ときどき階段の上からヨッパライやヤク中が転がり落ちてくるタイニイアリスの事務所で、20代の僕は仕事をサボって台本を書いていた。

説明会をやってみて

だいぶ念入りにシミュレーションして臨んだつもりだったが、いざ話を始めるときには手が震えた。もともとあまり、人前は得意ではない。50人弱、客前に立った瞬間、人のオーラを浴びて震えた。

終わったあと2人ほど、そのことに触れてくれた人がいた。

「最初にファンへのお詫びと言って、深々と頭を下げたとき、手が震えているのが見えました。あなたはきっと、強い人ではない。心配です」

そう言ったのは年上の演出家だ。さすが、よく見ているものです。舌を巻いた。

もう一人、同世代の俳優はこう言った。

「指が震えてるように見えました。アル中ですか?」

やかましいわ(笑)。そんなわけあるか。えー、医師からもまったく問題ないと診察されております。手が震えるのは小学生の頃からです。さすがにその頃は飲んでいない。

* * *

会自体はだいぶ楽しくやれた。先輩の俳優、年下の俳優、常連のお客様たち、編集者、ライター、プロデューサー、ジャーナリストや、関西や福島から来たという人もいた。もう10年以上前の演劇の教え子が2人、それぞれ別の学年の女の子だが、来てくれていたのも嬉しかった。人を育てるということが、世の中でもっとも尊く、難しいことだと思っている。こうして10年以上会っていないのに来てくれたということは、自分のしてきたことも無意味ではなかったなと思える。

質疑応答も盛り上がって、1時間があっという間でずっと話していた。敵意を感じる質問も1つくらいあったけれど、全然いい。最近ではもう演劇の現場でも厳しいダメ出しはできなくなったと同業者から聞いたりするが、「本番」に出る前に「ダメ」を出しておいてくれた方がいいと僕は思う。本番で失敗したくないもん。目の前で会って話す分には、ああいう言葉はむしろ応援のようなものだ。

いくつかの活動再開プランを話して、さっそく何名か、「そういうことなら自分も出たい」「手伝いたい」という声をもらった。ありがたい。この会に来てくれた人の中からそういう声が上がったら、その人とは必ず一緒にやろうと決めていた。さっそく出演オファーや仕事の依頼をお伝えした。

風向きがいいときには、人はいくらでも寄ってくる。でも、一番苦しいとき、逆風のときにそばにいてくれた人を、一番大切にしないといけない。ということを、僕は自分の実体験と、あと漫画『キングダム』から学んだ。『キングダム』ホント面白い。失業してヒマだったので全巻読みました。

つまり、あの会に来てくれた人の中に、今後の僕の人生にとってもっとも重要な人がいるということだ。ご来場、誠にありがとうございました。ああ、えーと、遠方からで来れなかった方は、オンラインでもやるのでぜひ来てくださいね。

政経東北の偏向報道・人権侵害について(反論、および裁判記録の公開)

先日、政経東北宛に公開質問状を出しました。しかし、彼らはほとんどまともに回答をせず、ほぼすべての質問を無視しました。痛いところは答えず、いまだに私のことをレイプ犯だと書き立てています。

「記事を書くとき、裁判記録を読みましたか?」

こんな簡単な質問にさえ、答えていません。もちろん「答えられない」ということは、どういうことか。多くの人には、すでにおわかりかと思います。

この記事では以下のことを扱います。

1.政経東北の報道における重大な問題点
2.裁判記録の公開による具体的反論

少し長いですが、ぜひ詳しく読んでいただき、ご意見をもらえたらと思います。

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○ ○ ○

1.政経東北の報道における重大な問題点

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批判1.取材・事実確認を怠った「コタツ記事」

政経東北の小池航記者が、裁判記録を読んだり、原告本人以外の関係者に独自取材をした形跡は一切ありません。原告だったO氏の発言や文章の都合のいいところだけを切り取り、繋ぎ合わせただけの、いわばコタツ記事です。

政経東北が「答えなかった」質問を、もう一度、貼っておきます。これです。

「記事を書くとき、裁判記録を読みましたか?」

「尋問の中の一部分のみを切り取って印象操作するのは、報道機関として、中立といえないのではないでしょうか?」

Yes/Noで答えられるこんな簡単な質問にも、政経東北は「答えませんでした」。

私は劇作家として、先輩からこう教わりました。まず足で稼ぐこと。現地を訪れ、人に会い、話を聞く。そして一つの戯曲を書くのに100冊は本を読めと教わりました。それで私は2か月以上、福島でフィールドワークをして、あの戯曲を書きました。

あなたたちはそれをしましたか? 「多様化時代の福島を読み解く」と掲げるメディアが、裁判記録さえ読まず、関係者の話も聞きに行かず、私への取材もせず、偏向記事で週刊誌的に部数を伸ばそうとする。報道機関として、自らの姿勢を問い直してほしいと思います。

――“Before you point your fingers, make sure your hands are clean.”  by Bob Marley
人を糾弾する前に、君のその手は汚れていないか? よく確認しろ。

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批判2.不都合な事実(裁判所の判断)の矮小化

政経東北は、O氏に有利な部分だけを切り取った偏った裁判傍聴記を公開する一方で、もっとも重要な裁判所の結論については解説しませんでした。

今回の回答で、政経東北は、裁判所の「立証に隘路(あいろ)がある(=説明に無理がある)」との判断について、「コンドーム等の直接証拠が現存していないことを含む立証上の困難があることを意味するにとどまり、レイプ被害の不存在を積極的に認定するものではありません」と反論しています。

裁判所は、そんなこと、一言もいっていません。いくつもの証拠・証言を確認した上で、「立証困難である」とわざわざ結論を明言したのです。司法すら『立証困難』として認定しなかった重大な事実を、独自の裏付け取材も裁判記録の精査もしていない政経東北が、なぜ事実として断定できるのか。これは表現の自由を逸脱した不当な糾弾です。

本件が直接証拠の問題ではなく、O氏の主張・ストーリー自体が、証拠や証言によって崩壊していたことが問題だったことについて、すでに裁判では述べましたが、この文章の後半で再度明らかにしようと思います。

そして、何より大事なことは、立証ができない以上、無罪推定の原則により、私の名誉は守られなければならないということです。それが法治社会であり、人権擁護社会です。政経東北は、司法が丁寧に検討して出した結論、しかも私だけでなく原告のO氏も同意して出した文言を、軽視しています。

取材はしない。裁判記録も読まない。でも勝手な推論で記事を書く。これではさすがに、偏向報道と呼ばざるを得ません。

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批判3.解決済みの事案を蒸し返す悪質性

上記の通り、当事者同士は和解を済ませ、裁判所からは公式に「立証に隘路があった」と声明がありました。私はレイプなどの重大な疑惑が法的に退けられたことで十分だと考え、裁判の長期化を避けるため、自身にも反省すべき点があったことを率直に認めて、その点については解決金を支払い、円満に和解しました。

したがって、私が、名誉を守るために「レイプなどの重大な疑惑が法的に退けられた」と発信することに問題はありませんが、仮に第三者が「レイプはあった」と発信することは、新たに名誉棄損が成立することになります。政経東北の記事は当事者間で解決した事件を不当に蒸し返し、関係にヒビを入れる、極めて悪質な行為です。

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具体的反論

政経東北の記事にいかに「真実性」がないか、短くまとめました。なぜ裁判所が「立証に無理がある」と判断したのか? 「記憶の混濁」では絶対に説明がつかない、決定的な矛盾がいくつもあります。

政経東北は、裁判傍聴記事や準備書面を公開して反論をしました。しかしそれは、都合のいい点だけを切り取ったものでした。このため当方では材料すべてを明らかにするため、裁判で主要な主張をまとめた「準備書面6」の全体を示し、要点を指摘します。

※なお、裁判は公開が原則であり、記録の公開も問題ないと考えますが、本記事の趣旨はあくまで政経東北への反論です。関係者のプライバシーに配慮するため、固有名詞はすべて黒塗りにしています(被告・原告を除く)。ご了承ください。

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対政経東北・名誉毀損裁判(原告・谷) 準備書面6(全文)

この書面は、前回の裁判の詳細な経緯や、和解の経緯がまとまっています。ぜひ多くの方に読んでいただければと思います。

【1:強制セクハラを否定する第三者の目撃証言】
当初「嫌がっているのにムリヤリ胸を触られた」と主張していたが(政経東北記事では「自分が標的になった」)、外部の女性スタッフを含む複数の証言により、実際にはO氏自ら「触っていいですよ」と公言し、胸を押し当てていたことが明らかになった。
裁判所は、それら証言やLINEのやり取り(「谷さんロスです」「早く遊んでください」)などから、「両者間のたわいもないやり取りや、O氏が被告(谷)に対して好意的であると受け取れる対応を取ったやり取りなど、被告側の主張にも沿うやり取りが含まれており、外形的・表面的な両者の関係性に関しては、当事者間に大きな争いがあるとはいえない」と判断した。もし権力利用構図が事実であるのであれば、一部分だけではなくLINE全文を提出すればいいはずだが、最後まで提出を拒まれた。

【2:コロコロ変わる証言、GPSなど客観的証拠とのズレ】
「深夜3時すぎ、レイプされてシャワーを浴びながらシャワー室から助けを求めて送った」とされるLINEだが、GPS記録と照合すると家についた直後の時間であった。後に「レイプ前に危険を感じて送ったもの」と説明が大きく変わった。「記憶の混濁」で説明のつくものではない。他にも「終電前にタクシーに乗った」→「終電後2時間近く路上で飲んでいた」、「コンビニに寄った」→「寄っていない」など、GPS記録とのズレが明らかになった。

【3:類似の事例】
過去に別の既婚男性俳優との不適切な関係が問題になり、ヒアリングをした際、当初はセクハラを否定していた。それが後になって「セクハラを受けていた」と周囲にも吹聴し、大きな問題となっていた。公開されたLINEをみると、不満を言いながらも「精神的に支えてくれる●●さんの方が何億倍もマシだよ」などと自分の意思で関係性を続けていたことがうかがえる。

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補足 準備書面8(抜粋)

書面6の補足となる、重要な証拠部分を列挙します。

【1:カルテの矛盾】
O氏は「性被害を受けて心療内科に通った」と主張しているが、初診の問診書には「仕事が上手くいかず、プレッシャーに負けた」などと答えていた他、被害当時の通院記録を見ても性被害とは無関係の受診をしている。

【2:元カレの存在】
O氏が友人宛に「楽しくレイプされてました~~爆笑」とLINEした際、友人から「元カレ」の存在が返されている記録がある。谷=元カレと取ることは無理がある。

【3:GPS記録 VS 苦しい言い訳】
「別の日に駅のホームで羽交い締めにされ胸を揉まれた」という主張も 、GPS記録で「その場にいなかった」という完璧なアリバイを示した。政経東北はこれに対し「日にちが違ったかもしれない」と苦しい反論をしている。

【4:被害があったとされる時間帯の既婚者とのLINEやり取り】
O氏が駅前で胸を触られ、家でレイプ被害を受けたと主張していた時間帯(午前0時5分~午前2時40分)に、既婚男性俳優と何回もLINEをやり取りしていたことが明らかになった。被害主張に従えば、そんな余裕はなかったはずである。

関係者の証言(裁判に提出された公開書類より引用)

以下は、裁判に提出された、関係者の主な証言です。一部抜粋ですので、前後の文脈を含めた正確なニュアンスは公開されている裁判資料をご覧ください。各引用の末尾に、事件番号・証拠番号を記載しています。

1.昔からの劇団員の証言

Q:谷さんが劇作家としての地位をチラつかせたことはありますか?
A:いいえ、僕は聞いたことはありません。そういう文脈(キャスティングをチラつかせるような形)で、受賞の話や大きな現場の話をしたこともありません。

Q:キャスティング権をチラつかせたということはありますか。
A:ないと思います。そんな奴、嫌ですよ。どちらかというと、出演に関してはフェアで、誠意をもってやってきたと思います。(略)僕から見る谷賢一は、地位をチラつかせたということはありませんでした。

Q:(暴力や、見せしめのような罵倒について)
A:聞いたことはないです。谷は暴力的ではありません。(罵倒や見せしめなども)それはありません。思い浮かびません。(若手への注意も)教育的であったと思います。感情的に罵倒というのはなかったと思います。

(東京地裁・令和4年(ワ)第29876号、乙第3号証より)

2.該当期間中に現場にいた女性スタッフの証言

Q:(告発内容について)
A:(原告)ちゃんも「触っていいですよ」と言っていたのになあ、ということです。触ったらそれはセクハラですけど、でも「触っていいよ」って本人がその時には言っていたのに、そうなっちゃうんだなって。でも、それは時間が経って、他の第三者的な人に「それおかしいよ」って言われて、その通りなのかもしれませんが、その時は、少なくともその瞬間は、そうではなかったです。ご本人の気持ちは分かりませんが、難しいなとは思います。

Q:(暴力について)
A:暴力をふるうみたいなものを見たことはないです。
Q:パワハラや指導が厳しすぎるという話について、
A:新型コロナより後でそういう具体的な話を聞いたことはないです。

(東京地裁・令和4年(ワ)第29876号、乙第2号証より)

3.長年出演している客演俳優の証言

Q:(一連の告発や現場での印象について)
A:この裁判で谷さんが主張しているような「減るもんじゃないし触りたきゃ、ちょっとだけならどうぞ」というように聞こえることを(原告)さんが言っていた記憶もあります。(略)どちらかというと、谷さんと(原告)さんとの関係以上に、B男さんと(原告)さんとの関係性の方が強く記憶に残っています。

Q:(パワハラや暴力について)
A:他人に対する暴力は見たことがありません。(略)精神状態がよく素面の状態のときの谷さんは、非常に論理的で明晰で潔直で誠実な人であると、個人的には認識しています。素面で冷静なときの谷さんは、そうでないときの自分の言動を素直に反省したり謝罪したりすることも多くありました。

(東京地裁・令和4年(ワ)第29876号、甲第34号証より)

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以上のことから、政経東北が訴えてきたレイプやセクハラの強要といった印象記事は否定されたものと考えます。反論があるのなら、まず最初の公開質問状に記載した、すべての質問に答えていただきたいと思います。

また政経東北は「今後は回答しない」とも述べていますが、これでは言論機関としての責任放棄です。ぜひ撤回し、対話に応じていただけたらと思います。

私の希望は名誉回復だけです。ご返信をお待ちしています。

準備書面6(全文)

令和6年(ワ)第34626号 名誉毀損損害賠償等請求事件
原告 谷賢一
被告 株式会社東邦出版

準備書面(6)

令和7年11月5日

東京地方裁判所民事第1部合議2係 御中

[黒塗り]

真実性の争点に関しては、大内氏との別件訴訟^1における主張立証内容とほぼ重複するため、まずは別件訴訟の経過状況も含めて結論付けられた判断を総括する。別件訴訟では、裁判所が作成したペーパー(「セクハラ行為等について)大内氏が迎合的な態度を示すことがあった」「(レイプ被害について)大内氏の立証に隘路がある」(甲15)があるが、この判断につきる。なお、この中身も当然に和解交渉の中で両者の合意を得た内容である。

その上で、次回に第3準備書面の内容に対しても、必要な範囲で反論を行う予定である。

第1 結論について

本件訴訟で、被告は「動かし難い事実」を自己に有利に設定して我田引水の主張を展開する。

しかしながら、本件で一番重要なのは、大内氏の証言の信用性である。大内氏の証言の信用性を一切検討せずに論じても結論には辿り着かない(薄い灰色をいくつも集めても黒にはならない)。

そして、別件訴訟の過程において、大内氏の主張には中心かつ重大部分で明らかに虚偽があったことが判明した。とりわけ「レイプ被害直後に谷氏が入ってこないようにシャワールームから友人にSOSの意味で送信した」という印象的な描写^2及び当該LINE(午前3時11分。乙56・1枚目、別件訴訟甲3)の証拠提出があったところ、谷が自身のGPS記録(乙54、別件訴訟乙11)を証拠提出し反証が成立した。実はその時間は大内氏宅に到着した直後であり、それ以外にも詳細に説明した経過事実(甲20、別件訴訟第1準備書面47?50頁)が全くのデタラメであったことが明らかとなった。

また、セクハラ行為等についても、谷が劇団主宰者の権威を利用して、大内氏が嫌がるところを無理やりに迫ってそれに耐えるしかなかったというストーリーであったが、以下の第三者の複数証言及び谷と大内氏とのLINEのやり取りにより、当該ストーリーは根底から崩壊した。

  • 「大内さんが谷さんに強く抗議していたのを見たことがあるかと問われると、その記憶はありません。この裁判で谷さんが主張しているような、『「減るもんじゃない」触りたきゃ、ちょっとだけならどうぞ』というように聞こえることを大内さんが言っていた記憶もあります。」(乙63・2頁、別件訴訟甲34)
  • 「『触っていいですよ』と言っていたのになあ、ということです。触ったらそれはセクハラですけど、でも『触っていいよ』って本人がその時には言っていたのに、そうなっちゃうんだなって。でも、それは時間が経って、他の第三者的な人に『それおかしいよ』って言われて、その通りなのかもしれませんが、その時は、少なくともその瞬間は、そうではなかったです。」(乙64・2頁、別件訴訟乙7)
  • 「谷さんの前に立って、彩加ちゃんがこういう感じ(左右の手をそれぞれ腰より上に当て、肘を外側に突出すポーズを示す)だった。・・・(言葉は)『触っていいですよ』と言っていました」(乙64・2?3頁)
  • 「谷に限らず、胸を触らせてコミュニケーションを取るというか、『触っていいですよ』みたいなノリがあったと思います。『おっぱい乗せて触っていいよ』というくだりはあったと思います。」(乙65・7頁、別件訴訟乙8)

このように、大内氏の致命的な虚偽説明をも踏まえて、大内氏の証言が信用できないということで別件訴訟の趨勢は早々に決した。谷は、2023年9月6日付「別件訴訟準備書面(3)」(甲9)以降、和解が成立した翌年11月27日まで、新たな準備書面を提出していない。それ以上、積極的に主張する必要もなかったからである。

なお、後出しで出された[黒塗り]氏(以下「[黒塗り]氏」という。)の陳述書(乙60、別件訴訟甲35)についても尋問の必要性なしとして、証人採用されていない。

この間、尋問の実施及び判決に消極的な裁判所による和解の積極的な勧めがあり、裁判官交代後にようやく尋問期日が決まった。そして、尋問後にも和解の勧めがあり、裁定和解に至る考えをまとめたペーパー(甲15)の文案を含めて、大内氏は当初和解を拒んでいたが、谷が名誉毀損での反訴・別訴予定であることを伝えると、大内氏の代理人の熱心な説得もあり最終的には和解に応じた。

和解直後の大内氏及び谷の公表文をみれば、かかる経緯は明らかである。谷は「性行為の強要がなかったことが受け入れられた」と明確に述べているが(甲14)、他方で、大内氏は「谷氏からレイプされた」旨は一切述べていない(乙23)^3。仮に大内氏がその旨を発言すれば、新たに名誉毀損行為が成立するからである。

以上のとおり、大内氏がレイプ被害経緯の中核部分及びセクハラ行為のきっかけ部分等につき虚偽説明を行った点で別件訴訟の心証は固まっていたのである。後は、大内氏を嘘つきとして最後まで追い込まないように、例えば、大内氏が一部のみしか証拠提出しなかったLINEにつき、谷が求めた文書提出命令による全面開示が棄却されたことからも分かるように(甲21、甲22)、裁判所、大内氏代理人、谷側が配慮して和解で解決したのが実情^4である。

なお、被告指摘のとおり、谷は大内氏和解金を支払っている。しかし、これまでに述べたように、名誉毀損を理由に損害請求を行えば認められたであろうが(裁判所からも金額交渉の余地がある示唆はあったが、あえて減額交渉は申し入れていない)、自己に非があった部分(仮に「おっぱい触っていいよ」と言われても触るべきではなかったこと)について潔く責任を認め、また訴訟を早期に終結させるためにかかる交渉は行っていない。谷は反省すべき点について公表文で謝罪しており(甲14)、当事者間の終結の仕方であるので守秘義務がかけてあるが、むしろきちんと責任を取るべき部分は取ったのであり、別にことさらに隠す意図もない(閲覧制限の申立ても行っていない。)。

本件騒動で残る始末は、正義感からなのか、それとも閲覧者数稼ぎのためか判然としないが、大内氏の主張について十分な裏取りもせずに、無責任かつセンセーショナルに流布した者が、その責任をきちんととることである。

第2 別件訴訟におけるセクハラ行為等の外形事実について

1 はじめに

前述のとおり、別件訴訟における谷の準備書面(1)?(3)及び第三者の目撃証言による反論で足り、少なくとも、大内氏が主張するような嫌がるところを無理やりに迫ったという外形行為^5の存在については、否定されている。

2 大内氏の主張及び谷の反論等の内容について

別件訴訟における主要部分の大内氏主張及びこれに対する谷の反論の概要等は、以下のとおりである。さらに細かい論点はあったものの、以下の(1)?(3)のとおり、大内氏主張の信用性が崩れたため、それら細かい論点は問題にならなかった。裁判所も「外形上、嫌がるところを無理やりに迫った」という話は認めておらず、「大内氏が迎合的な態度を示していた」と判断している。

(1)胸を触わるようになったきっかけについて

【大内氏主張】

要求に応じて肩を揉むと、谷は手を伸ばして大内氏の胸を揉むように触ってくるのが常だった。大内氏が嫌がっても谷は本気にせず止めなかった(乙7、別件訴訟訴状2?3頁)。

【谷反論】

大内氏のほうから「おっぱい触っていいよ」と迫ってきたのであり、嫌がるところを一方的に触ったわけではない(甲10、別件訴訟準備書面(3)14頁)。

⇒ 前述のとおり、谷の反論を裏付ける第三者の目撃証言あり。

(2)2018年6月29日のセクハラ行為の有無

【大内氏主張】

2018年6月29日、劇団の稽古後の飲み会が終わって電車で帰宅中、駅のホームで、谷は大内氏を後ろから羽交い絞めにし、服の上から胸を揉むように触った(乙7、別件訴訟訴状3頁)。

【谷反論】

当日の飲み会は中座して別の会合に合流しており、大内氏と一緒に帰宅していない(甲10、別件訴訟準備書面(3)32頁)。

⇒ 谷の行動を裏付けるGPS記録あり(甲23、別件訴訟乙12)。

⇒ 大内氏からは、GPS記録が提出されていない。

(3)大内氏と谷とのLINEやり取りの内容・意味

【大内氏主張】

谷が苦痛を感じる大内氏に対して卑猥な言葉のLINEを頻繁に送付してきた(乙7、別件訴訟訴状5頁)。

【谷反論】

証拠のLINE(乙8の2、別件訴訟甲4?6)は切り取りであり、その後の追加開示されたLINE等も踏まえて、大内氏が「谷さんロスなので人手必要であればお手伝いしたいです![黒塗り]さんとか[黒塗り]さんがいらっしゃるのであれば私は不必要でしょうが・・・」(甲24・1頁、別件訴訟甲4の3)、「えーめっちゃ広い良いなあ これはデリヘル呼ぶ」「お薬沢山飲んで寝ましょ」「そして早くさいかちゃんと遊んでください」(甲24・2頁、別件訴訟甲7の3)など発言していることがうかがえ、双方向のやり取りであった(甲9、別件訴訟準備書面(1)12頁)。

⇒ 真実の解明を求め、谷が大内氏に対して全LINEの開示を求めた文書提出命令で、裁判所は「両者間のたわいもないやり取りや、大内氏が谷氏に対して好意的であると受け取れる対応を取ったやり取りなど、谷の主張にも沿うやり取りが含まれており、外形的・表面的な両者の関係性に関しては、当事者間に大きな争いがあるとはいえない」と判断し、それ以上の開示は不要と判断した(甲21)。

(4)2021年3月11日以降の状況

【大内氏主張】

2021年3月11日以降、身体的接触はなくなったが、胸を触るなどの行為がなくなって以降、谷から大内氏へのパワーハラスメントが激しくなった(乙7、別件訴訟訴状9頁)。

【谷反論】

2022年2月の公演で主役に抜擢していることからも、腹いせにハラスメントを働いたというストーリーは崩壊している(甲9、別件訴訟準備書面(1)2頁)。

⇒ 客観的事実によるストーリーの崩壊及びこの当時のハラスメントを裏付けるLINE等の証拠は大内氏から一切提出されていない。

(5)谷による優越的地位の利用行為の有無

【大内氏主張】

故郷である福島の演劇祭に関わるため(登用されるため)には、谷の機嫌を害さずハラスメントに耐えるしかなかった(乙7、別件訴訟訴状3頁)。

【谷反論】

ハラスメントが開始したとされる時点(2018年6月)で、福島の演劇祭について漠然としたレベルの企画しかなく「協力しろ」(甲24・1頁、別件訴訟甲4の3)と一般的に言ったのであり、それを餌にするような具体的言動・利用行為はない。

⇒ むしろ福島の演劇祭参加に人一倍思い入れがあった大内氏が出演できなかったことを強く恨んで、インパクトのある“レイプ被害”という虚偽のストーリーをでっち上げて、当該演劇祭の直前に谷を告発して演劇祭そのものを中止に追い込んだのであり、嘘を付いた動機としても合理的に説明が付けられる(甲10、別件訴訟準備書面(3)31頁)。

(6)関係者等によるSNSによる証言

【大内氏主張】

谷は大内氏以外の女性に対しても胸や尻を触るなどのセクシャルハラスメントを常習的に行っていた。それらについて劇団公演に関わった複数の者が証言している(甲20、別件訴訟第1準備書面6頁)。

【谷反論】

過去に冗談やノリのつもりで胸や尻を触ったことや言動等は否定しないが、ハラスメントが開始したとされる時点(2018年6月)では抑制的になっており、セクハラに関していえば、大内氏以外は[黒塗り]氏に対してのみである。[黒塗り]氏は、谷よりも先輩で長年の関係性があり気心が知れていた特別な存在であった(甲10・7頁。甲26、別件訴訟甲21)。

その他のSNSによる証言等も、谷が自認する範囲での裏付けにはなるが、大内氏が主張するような被害(「優越的な地位にあることに乗じ」「嫌がっても本気にせずやめなかった」「毎回強い精神的苦痛を受けていた」「胸を触るなどの行為がなくなって以降は谷から大内氏へのパワーハラスメントが激しくなった」)とは次元を異にする内容であり、関連性・証明力に乏しい(甲10、別件訴訟準備書面(3)7頁)。

具体的には、①2018年6月以降か以前の話かはっきりしない、②2018年6月以降で、[黒塗り]氏及び大内氏以外の不特定に触ったという事実はうかがえない、③パワハラの指摘についてもその内容・程度が一概でない上に、証言者の主観は分かるが客観的状況の詳細(谷による開けっ広げの言動が多い)が不明瞭であり、社会通念上の許容範囲を超えているか等については疑義がある(甲10、別件訴訟準備書面(3)9頁)。

第3 別件訴訟におけるレイプ被害等の有無について

1 はじめに

これも別件訴訟における谷側の準備書面(1)^6及び(3)^7の内容で、大内氏のレイプ被害状況の核心部分について虚偽が明るみとなっており、その時点で信用できない旨の判断は決している。

当該準備書面(3)後に出された証拠・尋問、本件訴訟で提出された新証拠については、第5項で詳細に述べる。

2 大内氏の主張及び谷の反論等の内容について

別件訴訟における主要部分の大内氏主張及びこれに対する谷の反論の概要等は、以下のとおりである。

(1)自宅に行く前の経緯に関する説明について

【大内氏主張】(甲20、別件訴訟第1準備書面47頁)

東大駒場駅のガード下で、他のメンバーが帰った2018年7月27日午前0時以降からタクシーに乗った午前0時半ごろまで、谷は大内氏の服の中に手を入れて乳首を直接に触るなどしてきた。

大内氏は、「いやすぎます。やめてください」と何度も大声で述べたが、周囲は人通りもなくなっており、通行人に助けを求めるということができなかった。

「(谷が)自宅に帰宅するための終電はまだぎりぎりある時間ではないかと思われたが」、強引に「お前んちいくぞ」とタクシーを止めた。

タクシーに乗ったのは午前0時半頃、大内氏宅に到着したのは1時頃、1時半頃にレイプ行為の開始があり、性交を止めたのが午前2時頃であった。

【谷反論】

翌日は休みであり、深夜遅くまで飲酒する予定であった。駅近くのコンビニで酒を買ってガード下でだらだらと飲んでいた。遅い時間であったので、近くの大内氏宅に泊めてもらうことになった。タクシーに乗ったのは午前2時44分、大内宅に着いたのは午前3時頃である(甲9、別件訴訟準備書面(1)23頁、甲10、別件訴訟準備書面(3)23頁)。

⇒ 谷の主張を裏付けるGPS記録(乙54、別件訴訟乙11)の提出後、大内氏は「記憶違い」であると自らのGPS記録(乙53、別件訴訟甲58)も提出し撤回した(甲25、別件訴訟第2準備書面9頁)。

⇒ そもそも、午前0時半には「明大前行き」の最終列車があり、学生街で夏休み中であることも考えると、0時半に人気が全然ないというのは信用できない。また、0時半と午前3時近くでは風景は全く異なるはずである。さらに、大内氏は、自身が抱いた印象(終電はまだぎりぎりあるのに)などと、時間及び経過について説明しており、単なる記憶違いでは合理的な説明が付かず、虚偽の評価を免れない。

(2)途中にコンビニに寄った事実の有無

【大内氏主張】(甲20、別件訴訟第1準備書面48頁)

タクシーから降りて大内氏宅の近くのコンビニで、谷が愛飲しているスミノフを購入した。大内氏宅に着いてからスミノフを全部飲んでいた。

【谷反論】

コンビニに寄って購入した事実はない。

⇒ 谷と大内氏GPS記録(乙53、乙54)にコンビニに寄った履歴が残っていない。

⇒ 徒歩120m移動した「4分」の記録は残されており(乙53)、当該コンビニ(尋問で「ローソン」と回答)は大内氏宅から広い大通りを渡ったところにあるから、買い物時間・横断歩道を渡る時間等も考慮すると、GPS記録に残っていないのは不自然である。

⇒ 証言の具体性・信用性を増すために、「スミノフ」の話をでっち上げたと推認される。

(3)“レイプ”直後の行動の説明について

【大内氏主張】(甲20、別件訴訟第1準備書面49頁)

性交までされてしまったことが気持ち悪くてならず、シャワーを浴びた。友人女性([黒塗り]。以下「[黒塗り]氏」という。)に「気持ちを吐き出したくなり、シャワーを浴びた後、万一にも谷が入ってこないようにとドアを閉めたシャワールームから午前3時11分にLINE『谷さんを連れて帰ってほしかったと今切に思っているよ』」(乙56、別件訴訟甲3)を送った。

【谷反論】

午前3時ごろは、大内氏宅に着いた直後であり、レイプを行う時間もない。

⇒ GPS記録(乙54、別件訴訟乙11)により、谷の主張が正しいことが立証された。すると、大内氏は「その後に起きることであろうことの不安を吐露したものであった」(甲25、別件訴訟第2準備書面10頁)と説明を変遷させた。

繰り返すが、シャワーを浴びた経緯、谷が入って来ないように必死な気持ちで送信したという状況等の説明について間違えるはずがなく、虚偽を述べていたとしか説明できない。

⇒ 本件訴訟で、大内氏は[黒塗り]氏に送信した午前2時35分及び午前2時40分のLINE(乙55)を新規に証拠提出しているが、当該時間帯に対する認識・把握があったにもかかわらず、レイプ被害を受けた直後である旨の説明をしていたことになる。

⇒ [黒塗り]氏宛のLINE(乙56)は、被告の記事でも「性被害を受けた翌日の2018年7月27日に、大内さんが女性俳優とやり取りしたLINEの画像」として紹介されている。

(4)“レイプ”最中の経緯の説明について

【大内氏主張】(甲20、別件訴訟第1準備書面48頁)

大内氏は強く抵抗したが、谷の力は強く、下半身の服を全てはぎとってしまうなど強引に性交しようとしてきた。大内氏は暴れ続けたが、本当に性交されてしまうと危機感を抱き「お願いだからゴムをつけて下さい」と述べたが「ゴムなんかつけなくても妊娠しない」などと男性器を押し付けた。その後、渋々とコンドームを装着した。

【谷反論】

そもそも、暴れ続けている大内氏を押さえつけ、強引に服をはぎ取り「ゴムを付ける必要ない」と言っており、さらに男性器は少し挿入されていた状態であった(乙48、大内氏尋問調書31頁)というのに、突然に薄暗闇の中でコンドームを探し当てて、さらに自ら装着したなどの経緯は不自然である(甲10、別件訴訟準備書面(3)30頁)。

(5)“レイプ”直後の朝の友人女性([黒塗り]氏)とのLINE内容について

これについては、本件訴訟で新しいLINE(乙59)も提出されたので、第5の2で詳述する。

(6)“レイプ被害”数週間以後の大内氏と谷とのLINEやり取り

【谷主張】(甲9、別件訴訟準備書面(1)25頁)

“レイプ被害”後、大内氏と谷とのLINEのやり取りにおいて、レイプがあったことを推認させるやり取りはなく、むしろ大内氏が自発的に甘えた内容のLINEを送るなど距離を縮めようとしていたことがうかがえる。具体的には、以下のやり取りがあった(甲24)。

  • 約1週間後の8月3日、大内氏は「エッセイの依頼、おめでとうございます」「谷さんいないのは寂しいですが、頑張ります」と自ら送信している。また、谷から「いま一瞬電話できる?」とのメッセージを受けると、即座に電話をかけている。
  • 約3週間の8月15日、大内氏は「谷さん谷さん」「谷さんロスなので人手必要であればお手伝いしたいです![黒塗り]さんとか[黒塗り]さんがいらっしゃるのであれば私は不必要でしょうか・・・」とのメッセージを自分のほうから送っている。
  • 1カ月経過後の9月1日、大内氏は「お薬沢山飲んで寝ましょ」「そして早くさいかちゃんと遊んでください」と送信している。

第4 B男(別件訴訟での呼称)と大内氏との関係性について

1 はじめに

別件訴訟では、大内氏が提出した[黒塗り]氏宛のLINE証拠(乙56、別件訴訟甲4の3)にB男と谷とを比較したやり取りがあったこと、大内氏とB男との関係性が大内氏と谷との関係性と同様な構図があり、大内氏の証言の信用性の基となるパーソナリティ・行動特徴を明らかする狙いから、谷は、B男との関係性について言及した(詳細は、別件訴訟準備書面(1)5頁及び準備書面(3)16頁)。

そして、別件訴訟においては、当事者間で合意があったためあえて実名を出さなかったが、本件訴訟では関連した新規の追加証拠(乙55)もあり、証拠評価に際して実態を正確に反映させるため、実名を明らかにする。B男とは、[黒塗り]の「[黒塗り]」に参加した俳優で、既婚者の[黒塗り]氏(以下「[黒塗り]氏」という。)である。

2 [黒塗り]氏と大内氏との関係性について

[黒塗り]氏は、[黒塗り]において[黒塗り]と呼ばれる役であり、大内氏は[黒塗り]一緒に登場するシーンが多かった。

このため、二人で一緒に稽古をすることが多くなり、そのうちに2人がいつも一緒にいて距離が近すぎるということで(乙64・6頁「弁当を作って持ってきたり、いつも二人で帰っていた」、乙65・2頁「肩を揉ませていた光景としては見た記憶がある」)、他の出演者である[黒塗り]氏や[黒塗り]氏などから「不倫みたいな感じの雰囲気を出していて、そういうのを稽古場に持ち込まないでほしい」(乙64・6頁)旨^8のクレームが出された。

谷は、大内氏が[黒塗り]氏に無理やりに付き合わせさせられているのかと心配し、自ら、また制作担当の女性の[黒塗り]氏にも確認させると、自らの意思で一緒に帰ったりマッサージをしたりしている旨の回答であった(乙64・6頁)。

谷が、[黒塗り]氏にも確認すると、[黒塗り]氏は「そんな風に思われているとは思わなかった」と非常に驚いた様子であり、「そんなことであれば次回は降板する」ということで続編には参加しなかった。

ところが、[黒塗り]公演[黒塗り]での[黒塗り]氏のキャスティングが決まると、大内氏は周囲に「[黒塗り]氏からセクハラされていた。一緒にやりたくない」と吹聴し始めた。

要するに、少なくとも外形的には、大内氏は嫌がる態度を(不同意)を示していたというよりも、むしろ積極的意思で[黒塗り]氏との近い距離を取っていたように周囲からは認識されていたが、後から本人が否定するようになったのである。谷氏を告発した構図と同様である。

3 交際関係にあったこと

大内氏は、別件訴訟において、[黒塗り]氏との関係性について、「露骨に性的関心を示し谷と同様の行為をしてきたが、それに対して『迎合的な態度をとらざるを得なかった』」旨説明している(甲20、別件訴訟第1準備書面43頁)。

しかしながら、別件訴訟経過後に追加提出されたLINE及び本人尋問等によって以下のことが明らかとなっており、迎合どころから、[黒塗り]氏とは交際関係(不倫関係)にあったと推認できる。

【LINE(乙56、別件訴訟甲3の3。なお、分かりやすいようにマスキング部分に[黒塗り]氏の名前を入れた)】

「[黒塗り]さんは臭くないから大丈夫」

「[黒塗り]さんに会いたいって思う私もどうかしてるけれど、[黒塗り]さんに関しては好きとかじゃなくなんかもう頼れる大人として話聞いてほしい」

「5日まで精神的に支えてくれる[黒塗り]さんの方が何億倍もマシだよ」

「[黒塗り]さんも外でキスしてくるから結局だめなんかもしれない」

「あの人、結局帰る場所にちゃんと帰るし、その方が割り切ってて気楽」

「[黒塗り]さんは舞台終わった後、私の部屋に行かないようにするとか関係終わらせるとか最初言っていたんだけど」(太字は本件訴訟原告による協調)

「彩加が求めるなら、それで俺もタイミングが合えば行くからってなったからね」

「[黒塗り]さんに食べてほしくて作ろうと思ったんだけれど」

【大内氏本人尋問】

「私は身内でさえ自分の部屋に入れるのが、生理的に無理なくらいの潔癖症を持っております。衛生上、自分の部屋に自ら、何かオーケーだって思った人を入れるのが本当にだめ」(7頁)

「私の部屋に行かないようにするとか関係終わらせるとか言っていた人は、[黒塗り]さんであるかについて『はい』と回答」(35頁)

第5 その他の証拠について

1 はじめに

本件訴訟では、別件訴訟で提出されていなかった新たな証拠(乙59、乙61、)が提出されており、別件訴訟での経緯・主張状況も含めて、当該証拠の評価等を中心に論じる。

2 大内氏と[黒塗り]氏とのLINE証拠について

(1)はじめに

“レイプ被害”の証拠として、大内氏と[黒塗り]氏との以下のLINEが提出されているので、それらについて検討する。

A:シャワー室から被害直後に送付したとされる午前3時11分のLINE(乙56・1枚目)

⇒ 前述のとおり、別件訴訟において送信状況・趣旨に関する当初説明が虚偽だったことが判明した。

B:レイプ被害後の朝のやり取り(乙56)

C:本件訴訟での新証拠(乙59)

(2)B:レイプ被害後の朝のやり取り(乙56)の評価について

これらのLINE内容からは、以下のとおり、レイプ被害の存在を推認できない(甲9、別件訴訟準備書面(1)24頁)。

第一に、肝心のレイプ被害について言及がない(その後のやり取りでも、レイプ被害をうかがわせるやり取りはない)。

第二に、谷がいなくなった午前8時58分(GPS記録・乙54)以降も、電話で[黒塗り]氏に直接の助けを呼ぶでもなく、LINEにおいて[黒塗り]氏との関係性等の“ガールズトーク”を午前9時42分まで連続でやり取りしており、レイプ被害直後の恐怖・切迫感・悲壮感その他感情を読み取ることができない。

(3)[黒塗り]氏にLINEを送付した意図

大内氏は、谷氏からレイプ被害を含めて[黒塗り]氏について相談する関係性にあったはずだが、“レイプ犯人”たる谷と「最近連絡を取っているか」と尋ねられたところ、実際には頻繁にやり取りをしていたにもかかわらず(甲24)、「元気かなー忙しそうだなと思って連絡してないや」「ビジネス青春」(甲27・3枚目、別件訴訟甲3の3)などと虚偽の返答をしている。

しかも“レイプ被害”からまだ約2週間しか経過していない。

もしレイプ被害を相談するような間柄(甲2「彼女も谷からパワーハラスメントを受けていました。2人で傷をなめ合うことしかできなかった」)であったのであるならば、嘘をつく必要性はなく不自然なやり取りである。

大内氏が[黒塗り]氏に思わせぶりなLINEを送付した意図としては、冒頭に「あと、●●言ってたけれど嫉妬してたって本当?クズ既婚者二人に愛されたって意味ないから大丈夫だよ!(笑)」と送信しているように、または直後の「私この先ダルからで仕事取っても身体使ったとか思われてしまうんかな」という内容からもうかがえるように、文字通り、自分は谷や[黒塗り]氏と望んで距離を縮めているわけではなく本当は嫌だというアピール(嫉妬を防ぐための予防線を張るため)が主眼であったと推認される(甲9、別件訴訟準備書面(1)25頁)。

(3)C:新証拠について

被告は、本件訴訟において、大内氏と[黒塗り]氏とのLINEのやり取りについて、乙59「[黒塗り]ちゃんにも言ってたけれどさ、谷さんにレイプされたことあったやん」の新証拠を出しているので、それについて証拠価値を論じる。

ア レイプ被害直後の相談を意味していないこと

大内氏と[黒塗り]氏にとって、谷による“レイプ”は衝撃的な出来事であり、「あのできごと」や「あのレイプ」などの表現、あるいは直接に「谷さんにレイプされたことあったやん」で通じるはずである。

ところが、「言ったことがあるけど」と前置きを付けた言い方をしている。

これは、レイプ直後に相談・共有したのではなく、大内氏が谷に恨みをいだくようになってから事後的に[黒塗り]氏に対して「実はレイプされていた」と説明したことを意味している。

イ 別件訴訟では谷の文書提出命令による全面開示(判断は棄却)でも提出されなかった内容であること

別件訴訟において、谷は、大内氏と[黒塗り]氏とのLINEが一部分のみの抜粋で状況を正しく理解できないとして、大内氏に対して全部の任意提出及び文書提出命令(甲22)を申し立てるなど証拠開示を求めたが、乙59の内容については提出されていない。

なぜ大内氏は、別件訴訟では提出しなかったのか。すなわち、当時提出すると、その前後も文書提出命令によって提出を迫られるリスクがあり、自己の主張に矛盾する内容が明るみになってしまうことを恐れたからである(「事情をよく知らないから協力できない」などのコメントがある可能性が高い)。要は、本件証拠は、完全な後出しであり信用できない。

(4)[黒塗り]氏が大内氏に協力していないこと

何より、[黒塗り]氏が大内氏に協力して陳述書の提出や証言をしないことが全てを物語る。[黒塗り]氏を含めて多数の関係者が谷に批判的なコメントを出しており、また谷自身が演劇業界に対して何らのパワーも有していないこと等はこれまでの推移をみても明らかであり、むしろ「水に落ちた犬を打つ」ことは簡単なのであるから何ら躊躇うところはない。

[黒塗り]氏は、大内氏とのLINE内容からも窺い知れるように、真面目で思慮深い性格であり、ゆえに大内氏の人物像もよく知っており、真実を曲げてまで協力することができなかったのであろう。

3 [黒塗り]氏の陳述書(乙60)及びLINE(乙61)について

(1)はじめに

“レイプ被害”の証拠として、[黒塗り]氏は谷からのレイプ被害の相談を受けたと証言しており、本件訴訟においてLINE(乙61)を新しい証拠として提出している。

(2)陳述書(乙60)について

別件訴訟でも弾劾主張を行っており(甲10、別件訴訟準備書面(3)27頁)、証人採用されなかったのは上述のとおりである。

具体的には、[黒塗り]氏の陳述書が訴訟終盤に唐突に提出されたこと、大内氏との関係性も不明であること(実際、乙61をみると単なるバイト仲間の親しい友人という関係にとどまらない)、内容自体について不自然さがあること等を反論した。

(3)LINE(乙61)について

ア 谷からのレイプ被害を意味していないこと

第一に、そもそも大内氏の送信内容は「私はあんたらが付き合ってる間に楽しくレイプされてしまった~~~爆笑」という記載で、深刻な内容ではなく、レイプ被害にあって心配を共有していたという陳述書内容(乙60)とは心象風景が合致しない。

第二に、こちらがより重要であるが、[黒塗り]氏は「それは俺のせいじゃないとか言いそうじゃね元カレ」と返信しているが、この元カレというのは、当時の状況からすると、交際関係にあった[黒塗り]氏を意味している可能性が強く推認される。

そうすると、あくまでも可能性の指摘にとどめるが、大内氏は[黒塗り]氏と距離を縮める中で半ばなし崩し的に性行為をされてしまった、しかし新しい慣れない環境(公演)の中で支えが欲しかったため[黒塗り]氏とその後も関係を続けてしまった、そして、いざ谷に対する恨みを晴らす際に[黒塗り]氏にされたレイプ被害とをすり替えて吹聴した、このため事実関係について虚偽を話してしまい墓穴を掘ったという経緯は十分にありうるところである。

なお、大内氏は、谷以外にも「今まで共演した役者3名からそれぞれ受けた性被害は今でも忘れられませんし、屈辱的で、どれも年配の男性からでした」(甲28、別件訴訟甲46の3)と述べており、これも上記可能性を裏付ける。

イ 別件訴訟で提出されなかったこと

谷は、別件訴訟で[黒塗り]氏陳述書を弾劾するにあたって「本件では原告(大内氏)と[黒塗り]の間のSNSやメールが証拠として提出されておらず、・・・親しい友人として被害の詳細を聞いているのであれば、2018年8月以降現在に至るまでの間に、被害の詳細に言及するやり取りがあってしかるべきである。その証拠が一切提出されず、[黒塗り]の陳述書のみで提出されているということは、・・・信用できない」(甲10・28頁)と反論している。

しかしながら、この反論を踏まえても、乙61は別件訴訟において証拠提出されてない。なぜ大内氏が提出しなかったのかは、前述のとおり、文書提出命令による開示を恐れたからである。

4 [黒塗り]氏へのLINE(乙55)の評価について

被告は、当該LINE内容「谷さんが恐ろしいことになってます」について「谷氏によるアプローチが執拗なものであったことが推認できる」と主張する(第3準備書面14頁)。

しかしながら、そもそも駒場東大前駅付近で、嫌がっているのに羽交い絞めにされて服の中に手を入れて胸を揉まれているような状況であったのであれば、端的に助けを求めるメッセージを送信するのが自然であろう。[黒塗り]氏は[黒塗り]氏が主宰する有名劇団に所属しており、谷に対して遠慮する必要性もない。

大内氏は、[黒塗り]氏との“レイプ被害”後のLINEにおいて「[黒塗り]さんは夜中に送った私のLINE返さない限りこっちからは連絡今日しない」(乙56・3枚目、午前8時45分)と、[黒塗り]氏宛LINEを意識していることからも、むしろ谷の存在をぶつけて[黒塗り]氏の反応・フォローを求める意図があったことが主眼であることが推認される。

以上

準備書面8(抜粋)

令和6年(ワ)第34626号 名誉毀損損害賠償等請求事件
原告 谷 賢一
被告 株式会社東邦出版

準備書面(8)

令和8年4月8日

東京地方裁判所民事第1部合議2係 御中

[黒塗り]

本書面においては、重要部分の考え方及び各適示事実ごとに整理した真実性に関して、主張・反論する。

第1 重要部分の考え方について

1 はじめに

何が適示事実の重要部分かについては、一般読者の受け止め方等を基準として、最終的に裁判所の判断事項であるが、本件では重要な争点となっているため、念のため意見を述べる。

2 立証対象は、「適示事実」であり「印象」ではないこと

最高裁は「適示された事実が真実であることが証明されたとき」「適示された事実がその重要部分について真実であるか」、すなわち、「適示された事実」の真実性を問題としており、適示事実から置き換えられた「印象」の真実性を問題としていない(甲31・228頁)。

下級審裁判例(東京地判平成20年6月24日、甲32)でも、「『暴力団と深い関係にあること』というのは、個々の論評及び事実適示によって生じる印象に過ぎず、これを全体の適示事実とみることはできない」として、具体的に物語った適示事実が立証対象となると判断している(甲31・227頁)。

最高裁及び各裁判例は、各適示事実で記載されたディテールの差違について、その差違が重要でなければ問題とならないとしているのであって、各適示事実を極度に抽象化・捨象化した内容に置き換えてよいというものではない。

3 重要部分(立証範囲・レベル)は各適示事実の争点により異なること

ア

例えば、そもそも、エピソードの存在自体が争われている場合、当該場面がいつ、どこで、誰がいたかなどの内容を可能な限り特定して、当該場面がそもそもあったかについての立証をも行う。仮にアリバイが成立すれば、エピソード詳細の差異の前に、適示事実の真実性は立証されたといえないであろう。

東京地判平成24年6月12日(乙45)も、発言者が懇親会の場にいたことについては争いがないため、当該会話・発言の内容の趣旨のみが、結果として立証対象となっているにすぎない。

イ

また、各適示事実における内容の差異についても、一般読者の受け止めが異なるとして争点となる場合、その差異が重要部分となりうる。

TBS元記者と女性ジャーナリストの裁判(甲19)でも、女性ジャーナリストが単に酔い潰れたか、レイプドラッグが使用されたかで、読者が受け止める印象が異なり、社会的評価の低下の度合いも異なるものとして争点として立証対象となっている。

東京地判平成29年5月29日(甲33)は、「代表者等の個人的な評価に基づく恣意的な降格人事が行われている」という適示事実が争われた事案で、「降格が恣意的なものであることが問題なのであって、重要な部分も、外形的に降格されたということではなく、それが恣意的なものであるという点にあるべき」と判断された。

ウ

本件でも、大内氏が「おっぱい触っていいよ。どうぞ」といってきたので触ったという原告の主張と、被告が適示した「間もなく自分が標的になった。…肩を揉むように言ってきた。従うと、谷氏は手を伸ばして大内さんの胸を触ってきた。…大内さんが言葉で拒絶しても、谷氏は止めなかった…不快感を押し殺した。」(主張整理表①)とでは、一般読者をして受け止め方及び社会的評価の低下の度合いが異なることは明らかであろう。

本件では、争点となる、かかる表現の差異が重要部分として立証対象となるべきである。

エ

なお、被告は、セクハラ行為を受けた被害者は迎合的な態度を示すこともあるから抗議の有無は重要ではない旨を主張する(第5準備書面5頁)。

しかしながら、セクハラ行為の態様にも軽重のレベルがあるところ、被告は、「標的になった。抗議(言葉で拒絶)をしても止めなかった。不快感を押し殺した」ことを明確に述べており、谷氏の加害性・悪質さを加重させる表現であり、一般読者をして、単に「胸等を触られた」という外形事実のみの描写に比べて、社会的評価が低下することは明らかである。

オ

また、被告は誰から抗議を受けたかは要証事実ではないと主張する(第5準備書面8頁)。

しかし、本件では「大内さんが言葉で拒絶した」と描写しているのであるから、大内氏が抗議したかが争点となるのが当然である。

第2 レイプ行為の有無(主張整理表⑤の真実性)

1 はじめに

本件では、元よりレイプ行為は存在しておらず、①レイプ被害を裏付ける(証明力の高い)証拠はないこと^2、②LINEの一部抜粋のみで全面開示は拒否するなど出るべき証拠が提出できない不自然さ・不合理さがあること、③レイプ被害の核心部分及び背景等について別件訴訟という公的な場で虚偽説明があり信用性がないこと等、真実ではないことは明白である。

2 被告が挙げる「動かし難い事実」は、つまみ食いにすぎないこと

被告は、大内氏のストーリーについて「動かし難い事実」と整合するかどうかを検討すべきとする(第5準備書面7頁)。

しかしながら、被告が挙げる「動かし難い事実」は、原告による反証内容等が含まれておらず、自己に有利な間接事実のつまみ食いにすぎない。すなわち、以下も動かし難い事実であり、大内氏のストーリー及び証言が信用できないことは明らかである。

① 前提主張が複数目撃証言(乙63~65^3)やLINE内容等(甲24[^4])と整合しないこと(準備書面(6)2頁)

これらの証言やLINE内容等は、大内氏の前提主張(原告が劇団主催者の「優越的な地位にあることに乗じて」、「肩を揉むと、胸を揉むように触ってきた。嫌がってもやめなかった」「耐えるしかなかった」(乙7・2~3頁。以下「一方的支配構図」という。)とは一致せず、そもそもの大内氏証言全体の信用性を大きく減殺させる。

② [黒塗り]氏宛のLINE(乙56)をレイプ直後の証拠として詳細な主張をしていたが変遷したこと(甲20^5、甲25^7、準備書面(6)12頁)

③ 被害の時間経過・詳細がデタラメであったこと(準備書面(6)11・12頁)

②と関連するが、時間経過及び被害詳細の当初説明もデタラメであった。大内氏は、自身もGPS記録(乙53)をつけていたばかりか、レイプ被害主張時間帯に[黒塗り]氏とLINEをやり取りしていた(乙55。午前0時5分~午前2時40分)。これらの確認はたやすいことであり、別件訴訟で確信的に虚偽を述べていたといえる。

④ コンビニへの立ち寄り証言と客観証拠とが整合しないこと(準備書面(6)11頁)

[^4]: 「谷さんいないのは寂しいですが、頑張ります」「谷さん谷さん」「谷さんロスなので人手必要であればお手伝いしたいです![黒塗り]さんと[黒塗り]さんがいらっしゃるのであれば私は不必要でしょうか・・・・」「えーめっちゃ広い良いなあ これはデリヘル呼ぶ」「お薬沢山飲んで寝ましょ」「そして早くさいかちゃんと遊んでください」

⑤ レイプ被害から数週間以内に甘えた内容のLINE(甲24^8)を自発的に原告に送信していること(準備書面(6)13頁)及び原告とのやり取りを[黒塗り]氏に隠していたこと(甲27)

なお、8月5日に公演は終了し(甲19)、両者の縁は切れており、大内氏が原告との距離を縮めようとする積極性がうかがえる。

⑥ [黒塗り]氏が証言等の協力をしていないこと(準備書面(6)20頁)

大内氏の悲惨なレイプ被害談を共有し、「パワハラの傷をなめ合っていた関係」(甲2)にある[黒塗り]氏が、証言等の大内氏への協力を一切していない。

別件訴訟の際に、原告代理人が[黒塗り]氏と連絡を取ると「この件に関して、私から何かを話す、証言するということはしないと決めております。どちらかの側に立って発言したり、自分からこの件に関して話をすることはありません」(甲34)と中立・ノーコメントを貫くことを明らかにした。

⑦ 大内氏が提出したLINEは、一部抜粋であり全面開示を拒んでいること(甲21、甲22、甲29。準備書面(6)20頁等)

原告とのLINEやり取り、[黒塗り]氏とのLINEやり取り、本件訴訟での新たなLINE(乙61)も一部の抜粋にすぎない。大内氏の主張・ストーリーが正しければ、全面開示をなんら拒む必要がない。なお、原告は携帯の機種変更により記録が残っていなかった。

⑧ 大内氏「私はあんたらが付き合ってる間に楽しくレイプされてました~~~爆笑」の送信に、[黒塗り]氏「それは俺のせいじゃないとか言いそうじゃね元カレ」と返答したこと(乙61、準備書面(6)22頁)

この文脈においては、元カレがレイプしたと読め、原告以外の第三者にレイプ的行為をされた可能性を推認させる。

⑨ 症状について「仕事がうまくいかず」(甲35、甲9・22頁)と説明していたこと

大内氏は、2022年5月頃から心身不調をきたしてレイプ被害等のフラッシュバック等が生じ、性被害者支援団体の紹介で、精神科クリニックに通院した趣旨を説明している(乙7・11頁、甲2・20頁)。

しかし、病院への問診書(甲35)には、症状は「2022年2月20日」から出始め、きっかけとして「仕事がうまくいかず、プレッシャーに負けたり、みんなの前で上司に責められた」ことと、肝心の性被害等の申告がない。やはり、病院の初回診断において虚偽を述べることは躊躇われたのであろう。

なお、[黒塗り]氏陳述書(乙60)には、レイプ直後の様子として「とても情緒不安定でした。…過呼吸気味になってフロントの裏の休憩場所でぐったりしていた」(3枚目)という記述がある。

この点についても、問診書によると、大内氏は当該時期にメンタルクリニックに通院していたが、レイプ被害ではなく、「[黒塗り]」「[黒塗り]」「[黒塗り]」によるめまい等であったことがうかがえる。

第3 大内氏を標的にして言葉で拒絶しているにも関わらず胸・体を触ったことの有無(主張整理表①の真実性)

1 はじめに

原告が外形的に大内氏の胸・尻等を触ったことについて争いはない。

問題は、前記「第1の3のウ」のとおり、「原告が大内氏を標的にして肩を揉ませて、言葉で拒絶しているにも関わらず、胸等を触った」という加害性・悪質さが際立つ描写が真実か否かである。

実際は、大内氏のほうから「オッパイ触っていいですよ」等の誘いがあったのであり、かかる表現は事実に反する。

2 「オッパイ触っていいですよ」の目撃証言があること

準備書面(6)2頁以下に記載のとおり、3名が、大内氏が「オッパイ触っていいですよ」と積極的に胸を触らせていたことを証言し(乙63、64、65)、原告の主張を裏付ける。

なお、このうち2名([黒塗り]氏、[黒塗り]氏)の陳述書は、別件訴訟で大内氏側から提出されており、信用性は疑いようがない。[黒塗り]氏の陳述書は、原告(谷)側から提出後(乙64)、大内氏側からも出されているが(乙71)、乙64で述べた風景・外形的事実を否定するものではなく、大内氏が「触っていいよ」と言っていたことについて一貫している。

3 [黒塗り]氏の肩揉み等も行っていたこと

大内氏は、原告以外にも[黒塗り]氏に対して肩を揉むなどしており(乙65・2頁)、むしろ原告以上にその近しい関係性が問題になった(乙63・3頁)。

当時、大内氏は[黒塗り]氏との交際関係にあったと推認されるが、事後的にセクハラ等を訴え、「迎合的な態度を取らざるを得なかった」旨主張している点(乙64・7頁。準備書面(6)第4)が、原告との関係性と同様な構図である。

4 原告と大内氏との関係性等について

甲9(別件訴訟準備書面(1)12~16頁、25頁等)、準備書面(6)6頁で述べたとおり、また、裁判所も判断しているとおり、原告と大内氏との外形上の関係性は「両者間のたわいもないやり取りや、大内氏が谷氏に対して好意的であると受け取られる対応を取ったやり取り」(甲21)の中にあったのであり、別件訴訟訴状(乙7・2頁等)や本件記事からうかがえるような、一方的支配構図は事実ではない。

原告は、大内氏に交際相手ができたことをきっかけに以降は胸等を触ることはなかったが(甲24・8枚目=乙8の1。乙69)、もし大内氏が主張するような一方的支配構図であったのであれば、交際相手ができようができまいが触り続けていたであろう。

誕生日を記念して 谷賢一・演劇活動再開説明会

本日5/11、44回目の誕生日を迎えました。
100歳まで生きるとして、あと56年やれるので、演劇活動を再開します。

いろいろ考えていることはあるのですが、
だいぶ壮大になってしまったので、まずは説明会から!
よかったら話を聞いてください。

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概要

日時 2026/6/7(日) 13:00〜
料金 1,000円

場所は都内某所、新宿・渋谷・中野あたりです。参加者にだけご連絡します。

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式次第

13:00~ 説明会
14:00~ 質疑応答&雑談
15:00  終了

説明会内容:
新作の構想(いま演劇に必要なこと、演劇を観ない人から見た演劇、寺山修司と唐十郎、現前性と身体性について) 予算説明 俳優の労働環境整備について(ギャラの支給、契約書締結、ハラスメント対策) オーディション 戯曲講座&演劇教科書づくりの再開について 最近起きた衝撃のできごと 近況報告 「ここだけの話」

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参加方法

お申し込みフォーム:
https://forms.gle/bKNjotSfxHeiyC1F6

※定員に達し次第、受付は終了します。

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最後に

こういうの、そろそろやろうかなと思って、準備はしていました。対面式のイベントで、トークセッションのようなもの。ただ忙しかったりタイミングが合わなかったりして、シチュエーションが整わなかったんですね。

そんで今朝起きたら、スマホに大量のお誕生日おめでとうメッセージが届いていて、びっくりしました。去年までほぼゼロだったので(笑)。俳優とか、演劇のスタッフの友達からです。みんな「もう連絡しても大丈夫そうだな」と思って連絡をくれたんでしょう。「あ、これは今だな」とピンと来たので、急遽やることにしました。

ずっと応援してくれてる方や、応援するかどうか悩んでる方、あるいは出演希望の方や、話を聞きたいだけの方も歓迎です。だいぶいろいろ考えていることがあるのですが、誰かに聞いてもらって、その反応をもらいながら実施に向けて動かしていきたいと考えています。

聞いてくれるだけで結構です。ぜひいらしてください!

誤報や誹謗中傷への削除依頼について(しんどい)

昨日、政経東北という雑誌に公開質問状を送りました。先ほど先方に到着したようです。「公開質問状なんておだやかじゃないなぁ、まだもめてるの?」と思うかもしれませんが、 そうではなくて、他はみんな削除依頼に応じてくれたのに、この月刊政経東北だけが削除依頼に応じてくれなかったので、なんで?と聞いている、ってことなんです。

ここ半月ほど、ニュースサイトや雑誌社、ネットメディアなど、数十件の削除依頼を送りました。だいぶ大変な量ですし、その都度やってもいない自分のレイプ記事を読むのは心がぐちゃぐちゃになります。大抵ひどいコメントもついています。でも、歯を食いしばって送ってみたら、大半のサイトは驚くほどすぐに、あっさり削除に応じてくれました。○○ニュースや○○スポーツといった報道系はもちろん、○○ちゃんねるや○○まとめなどネット系も含め。むしろ「○○速報」みたいなサイトの方が、対応が早く丁寧だったくらいです。

メールでも御礼しましたが、本当にどうもありがとうございます。もっとつらい、冷たい対応を予想していたので、「ちゃんと話せば伝わるんだ」とだいぶ心が軽くなりました。

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おそらく、ちゃんと理由を書いたのがよかったのだと思います。法的根拠ということです。ここは、専門家に詳しくアドバイスをいただき、きちんと法的に効力のある内容を、丁寧、かつ礼儀正しい文章にして送りました。

裁判においてレイプの訴えは退けられ、和解も成立したのに(詳しくはこちらの記事)、未だに古い情報を載せ続けているのは、以下の点から違法と言えます。一つは、真実性や公平性、中立性などの問題(片方の主張だけをとりあげること)。もう一つはプライバシーや忘れられる権利の問題(裁判が終わり和解もした以上、情報に公益性はありません)。もう一つはシンプルに名誉毀損や侮辱罪になるから、というもの(レイプ・セクハラの強要は事実ではありません)。

これらは、伝聞(~というふうに聞いた)やリポスト(リツイート)でも同じです。「リポストしただけ、内容が正しいと言ったわけじゃない」という言い訳は通用しない、SNSやブログの発信も罪に問われる……というのは、すでに最高裁判決として出ています。

参考:ベンナビ「リツイートで名誉毀損が成立した判例と犯罪になる理由を解説」

削除依頼をして応じてもらえなければ、所在がわかっている法人や個人については提訴、わからない場合は情報開示請求をして住所を特定したのち提訴、という流れになります。最近の法改正で、この手続きが大幅に簡略化されました。また名誉毀損や侮辱罪に関するガイドラインも出されたりして、今はもう「ネットだから、個人だから何を言ってもいい」という考えは許されなくなってきています。

参考:法務省「侮辱罪の事例集」

参考:法務省「インターネット上の人権侵害をなくしましょう」(SNS誹謗中傷への情報開示や削除依頼の手引きを含む)

まだ個人ブログやSNSには手をつけていませんが、上の法務省リンクにもある通り、侮辱罪と名誉毀損の適応範囲はかなり広いものです。お心あたりのある方は、今のうちに削除しておいていただけると大変たすかります。

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補足・政経東北の問題点について

詳しくは記事を読んでもらえたらと思いますが、月刊政経東北は、僕が何度も「裁判の中で説明していく」と言ったにもかかわらず、裁判記録をまったく見ずに記事を書き、発信していました。ああいえ、正確には、そのように見えます。

僕がずーっと「レイプはしてない」と言ってるのに、片側の主張だけを掲載し続けました。今、まだ公開されている記事の中でも、いちおう中立という態度をとりながら、偏った形で記録を引用したり、片方に味方する証言だけとりあげて、その逆は無視するような書き方をしています。「自分は公平に書いたつもり」と言っても、客観的に読んで真実・公平・中立性がなければ名誉毀損になります。

「裁判記録を読んでいませんでした」というのも言い訳にはなりません。僕が最初から裁判で語ると言ってる以上、報じる側にはそれを読む義務があります。せめて無理なら僕にメールか電話一本入れて、確認をとるくらいのことはできたはずです。よく文春とかが、記事の最後でやってますよね? 「電話をかけたが出なかった」、「質問状を送ったが期限内に返答はなかった」……、あれって、そういうことなんですよね。さすが文春。だてに危ない橋を渡りまくっていない。

参考:政経東北への公開質問状

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僕の他に、誹謗中傷で苦しんでいる人へ

僕はこの通り、ひとまず自分で手続きをしています。頼む業者や弁護士事務所によりますが、一件につき安くて5~20万円、情報開示請求まで入れると確実に50万円以上はかかるので、とてもぜんぶは頼めないからです。

ただ、誹謗中傷コメントを探し、見つけ、読み、スクショし、PDFでも保存し、適切に引用しながら、相手へのメールを作る……というのはだいぶしんどいので、オススメしません。僕のように、相手が多い場合はどうしたらいいんだかわかりませんが(誰か教えてくれ)、相手がある程度限られている場合は、スッと専門家に頼んでしまうのが良いと思います。

でもその場合、お金のことが気になりますよね。たとえば情報開示請求に50万円かかった場合、その額は「調査費用」「損害」として、大抵の場合は相手方に請求できます。それとは別に、慰謝料として、ある程度深刻な誹謗中傷なら数十万円を請求できはずです。これなら特定費用も弁護士費用も回収できるので、深刻なケースの場合は迷わず人に頼んでしまうのがいいと思います。

もちろんすべて例外はあるので、詳しくは専門家にご相談ください。こういった相談だけでも受け付けてくれる事務所や窓口はあるし、上に貼った総務省のサイトにも電話相談窓口があります。また、今はAI(ChatGPTなど)に聞くだけでもかなり詳しく教えてくれます。最後はきちんと人間の専門家に相談した方がいいけれど、とりあえずの相談として、自分のケースをAIに投げてみると意外なことを教えてくれたりします。

ネットの中傷と戦うのは、見えない敵と殴り合っているようで、本当に疲弊します。くれぐれも、抱え込みすぎないように気をつけてください。何か僕にお手伝いできることがあれば、いつでもご連絡ください。マシュマロでもいいです。