Skip to content

山奥で書き物をする10月29日

今度、某ウェブメディアで連載が始まる。さてその第一回原稿をそろそろ……と声をかけられ断頭台に登った。故・井上ひさし先生も「書き出すまではみんな傑作」「構想を考えてるうちが一番楽しい」と言っていた。つまり、楽しい時間は終わりだ。書かねばならぬ。傑作になるか駄作になるか結果も見える。ああ怖い。

左は伊藤さん 右は長男くん

そこで山奥へキャンプに来た。心が弱るとすぐ山奥へ行く。しかしこうして新鮮な空気を吸い、小川のせせらぎを聞き、ビールなんか飲みながら晩ごはんの支度なんかしてるといいアイディアが出るんだよ。なんてうそぶいてたが、車で嘔吐し、森で行方をくらまし、バーベキューの網をひっくり返す長男氏の相手をしていたら、晩ごはんが終わるまで一行も書けなかった。

タコ糸とスルメで「ヤマメを釣る!」と息巻いていたが、何も釣れなかった

夜、息子が寝静まり、バーベキュー焼きながら考えてたことを少しずつ文字にしてみた。ここに日記で書いていることとは全く違う筆致で書きたい。こないだイギリス人の劇作家に福島を説明したときのように、福島のことを全く知らない若い世代や外国人、あるいは未来将来の人が読んだときに、今の福島の問題が克明に伝わるようなものにしたい。また僕に書けるのはやはり「ここに住む私」の実感でしかない。この日記は割とカジュアルにやりたいと思っているのだが(でないと続かない)、連載の方は結構ヘビーな内容でやりたい。書きづらいことや物議を醸すようなことにも勇気を持って切り込んでいかなければ物書きの名折れだ。

というわけで第一回の原稿は、移住の話の前日譚として、僕が初めて双葉町を訪れたときのヒヤリとした体験を書くことにした。近日中に発表になりますのでお待ち下さい。

コメントを残す