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DCPOP26・出演契約書(ひな型)

これは2022年、第25回本公演『岸田國士戦争劇集』の際に、俳優の権利を守るために作成した契約書です。2024年11月にフリーランス新法が施行されたことを受けて、今回、一部を改訂しました。

作った理由は単純です。小劇場では、口約束のまま稽古が始まり、気がつくと拘束時間も報酬も曖昧なまま本番を迎える、ということが起こりがちです。また俳優の出演料が軽視されていたり、製作の遅れを理由に出演者の拘束時間や負担が一方的に増やされる……ということもよくあります。

この契約書は、そういったことが起こらないように、というだけのものではありません。「こういう稽古場だったらいいね」「こういう条件があるといいよね」と、当時考えうる範囲での理想を、みんなで作成したものです。

たとえば、こんなことが書いてあります。

・稽古は一日7時間まで。週に1日は必ずオフ
・稽古を休むとき、理由を言わなくていい
・稽古時間外の「もうちょっとやろう」は、劇団から言い出せない
・買い出しや仕込みの手伝いは、断ってもいい。断る理由も言わなくていい
・劇団の都合で公演が中止になっても、出演料は全額支払う

三つめと四つめは、いま読み返しても、書いておいてよかったと思います。「理由を言わなくていい」というのが肝でした。理由の説明を求められると、それだけで言い出しにくくなるからです。当時、こうした条項を置いている現場は、なかったと思います。

これらはあくまで雛形です。本来、契約書とは、主催者側が一方的に押し付けるものではなく、双方が調整しつつ、合意のもと締結するものです。当時も一人ひとりの俳優と、赤ペンと修正印を持って修正しつつ締結していました。今回も、個別の修正提案は歓迎いたします。

(以下本文)


出演契約書

合同会社DULL-COLORED POP(以下、甲と記す)は○○○○(以下、乙と記す)に対し、下記公演への出演業務を委託し、乙はこれを受託したので、本契約書を2通作成し、甲乙各1通ずつ所持することにした。

第一条 委託内容

  • DULL-COLORED POP第26回本公演『僕ら4人 -Four of Us-(仮)』(本番期間:2027年◯月◯日〜◯月◯日、会場:◯◯◯◯)における出演

第二条 報酬について

  • 前項の対価としての報酬を金◯◯円(所得税・復興特別所得税・消費税を含む)とする。
  • 算出基準:1万5000円(ステージギャラ・税込)×◯(ステージ数)。ステージ数は本契約の締結時までに確定させるものとし、確定した数を本条に記載する。ただし本契約締結後に追加公演を行った場合には、1ステージにつき1万円(税込)を加算する。
  • 前項の報酬は消費税込の金額である。乙が適格請求書発行事業者である場合、乙は上記金額を税込として請求書を発行するものとする。
  • 本契約に定める報酬には、稽古やリハーサル、移動時間・待機時間拘束への対価が含まれる。追加公演のステージギャラは、新たな稽古を要しないため、稽古に対する対価を含まない。
  • 報酬には本公演のために作成された文章やデザイン、成果物、映像などの著作権および著作隣接権の使用料を含む。ただし公演終了後一年を過ぎた後に再利用し、10万円以上の収益が生まれた場合には、甲は乙に対し対価を支払う義務を有するものとする。

第三条 支払方法について

  • 甲は乙に対し、本公演の最終日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に、銀行振込にて報酬を支払う。なお振込手数料は甲が負担する。
  • 乙は請求書を作成し、甲に提出する。ただし請求書の提出の有無や時期は、前項に定める支払期日に影響しない。
  • 甲が乙に対して出演料および経費等の支払いができなかった場合には、甲は月1%の延滞利息を乙に支払うものとする。

第四条 経費について

  • 公演の実施およびそれに必要な稽古・リハーサルのために、甲の指示により必要な経費が生じる場合は、乙は甲に対し経費を請求することができる。その際、甲・乙は請求書や領収書を作成・保管する義務を有する。また乙は、購入の際に甲に必ず確認を取る義務を有する。

第五条 広報・宣伝について

  • 甲は、本公演の広報活動のために、合理的に必要な範囲で乙の氏名・芸名・肖像写真・経歴・動画などを無償で利用できるものとする。乙は甲の求めに応じて必要な写真等の素材を提供する。
  • 甲は乙に対し、合理的な範囲で第一条の公演の広報・宣伝を依頼することができる。乙は求めに応じてコメントの提供、友人・知人への宣伝、SNSの発信などを行うが、本来の業務(稽古・出演)に支障をきたす場合にはこれを断り、本来の業務に専念することができる。

第六条 公演中止の場合の対応について

  • 甲が甲の都合で本公演を中止する場合にも、次項の条件に該当しない場合、乙は甲に対して本契約書に定める全報酬を請求する権利を失わない。
  • ただし甲が天変地異・大災害・内乱・大規模な暴動・戦争・感染症の大流行などの不可抗力により公演の中止を行う場合は、前項の規定にかかわらず、中止の手当金として最大で50%の報酬を支払う。その割合は、その時点での稼働時間や労力に応じて協議の上決定する。

第七条 稽古について

  • 稽古時間は最大一日7時間までとし、間に適切な休憩を挟むものとする。また週に1日以上のオフ日を設ける。
  • 前項の規定にかかわらず、乙はアップや復習などのために稽古時間外に自主的に稽古場で稽古をすることは妨げられない。しかし甲が乙に対し稽古時間外に追加の稽古を要求することはできない。
  • 甲は乙に対し、本来の業務(俳優なら演技・稽古・本番、スタッフならプラン・製作など)以外に、公演遂行に伴う各種業務を依頼することができる。ただし、本来の業務に支障を来したり、健康や睡眠を害す恐れがあるなど妥当な理由がある場合には、乙はこれを断ることができる。その際、理由を明かしたくなければ、特に説明しなくても構わない。
  • 乙は、必要に応じてオフ日の他に、稽古休みや遅刻・早退を要求することができる。その際、理由を明かしたくなければ、特に説明しなくても構わない。甲は、稽古全体の進行スケジュールに大きな影響がない場合には、これを認めるものとする。
  • 稽古およびリハーサル・本番の間に事故が起きた場合、甲は治療費などを負担する義務を有する。ただし乙に安全管理上の過失があった場合にはこの限りではない。

第八条 本作品の題材および身体的接触について

  • 本公演は、暴力や虐待などを含む犯罪行為の描写を含む。甲は本契約の締結に先立ち、その旨を乙に説明する義務を有する。
  • 甲は乙に対し、稽古開始の1ヶ月前までに台本を交付する。乙が台本の受領後、その内容を理由として出演を辞退する場合、甲は乙に対し第十一条に定める違約金を請求しない。
  • 身体的接触を伴う演技、および暴力・性的な描写を伴う場面については、甲乙は事前にその段取りを合意し、稽古および本番を通じて当該合意を維持する。合意のない接触、または合意した内容の変更は行わない。
  • 乙は、前項の場面について、いつでも中止または変更を申し出ることができる。その際、理由を明かしたくなければ、特に説明しなくても構わない。甲は、これを理由として乙に不利益な取扱いをしない。

第九条 ハラスメントの防止について

  • 甲は、別紙1「ハラスメント防止のための取り組み」に定める内容を遵守し、乙が心身ともに安全に業務を遂行できる環境の整備に努める。
  • 甲は、ハラスメントに関する相談を受け付ける窓口を設置し、その連絡先を乙に通知する。あわせて、外部の相談先を別紙1に記載する。
  • 乙が相談を行ったこと、または事実関係の確認に協力したことを理由として、甲は乙に不利益な取扱いをしない。

第十条 契約解除および損害賠償

  • 甲および乙が、それぞれ相手方の信用を失墜させるおそれのあると認められる行為をしたときや、本契約に著しい違反が認められたときは、本契約を解除することができる。なお、各当事者が相手方に対して行う損害賠償請求を妨げない。
  • 甲および乙は、故意または過失により相手方に損害を与えたときは当該損失を賠償する責任を負う。

第十一条 違約金

  • 乙が、故意または重過失により本公演に出演しなかった場合には、甲に生じた損害を賠償する義務に加え、報酬金額と同額の違約金を甲に支払う義務を負う。
  • 前項の規定は、第八条第二項に定める場合には適用しない。

第十二条 機密保持

  • 甲および乙は、本契約に関連して知得した相手方の営業上および業務上の秘密(個人情報を含む)を、本契約期間中および本契約終了後、期間を定めることなく、第三者に開示または漏洩してはならない。
  • 乙は、台本の内容および本公演の演出上の仕掛けについて、公演初日まで第三者に開示しない。

第十三条 暴力団排除条項

  • 甲および乙は、現在、過去および将来にわたり自己が暴力団等の反社会的勢力に関与しておらず、また公序良俗に反する行為をしていないことを表明し保証する。

第十四条 協議事項

  • 本契約書に記載ない事項については、甲および乙は誠意を持って協議の上、解決に当たるものとする。

以上

契約日 2026年*月*日

(甲) 住所 東京都新宿区西新宿3丁目3番13号 西新宿水間ビル2F
合同会社DULL-COLORED POP
代表社員 谷賢一 印

(乙) 住所 
氏名 **** 印


別紙1 ハラスメント防止のための取り組み

  • 恫喝、罵倒などの威圧的、暴力的な言動や、許可のない身体的接触は行いません。
  • あらゆる差別と暴力を容認せず、誰もが心身ともに安全で、安心できる環境づくりに努めます。
  • 稽古場において、演出家と出演者が2人きりになる状況を作りません。個別の指導が必要な場合も、必ず第三者が立ち会います。
  • 一般社団法人緊急事態舞台芸術ネットワーク策定の「舞台芸術におけるハラスメント防止ガイドブック(ver1.5)」を遵守します。

相談窓口

劇団内窓口 制作 山口ひろみ(連絡先:info@dcpop.org

外部の相談窓口

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