今夏、東京で8/8(木)~28(水)、大阪で8/31(土)~9/2(月)、そして福島で9/7(土)・8(日)と、私の37年間の演劇人生の集大成である通称「福島三部作」が上演されます。取材に2年、執筆に丸1年以上かけた野心作です。三部作ですがそれぞれ独立しており、どれか一つだけ観てもらっても十分面白いので、「どれを観たらいいかわからない」という人のために超個人的に各作品のガイドを書いておこうと思います。
公演情報、あらすじ、タイムテーブルなどは以下のサイトからどうぞ。
http://www.dcpop.org/vol20/
それでは各作品の解説を。一部ネタバレあり。
Contents
■「青春」と「故郷」……第一部『1961年:夜に昇る太陽』
昨年2018年にも上演した作品なので、詳しい解説や評判など知りたい方はググって下さい。一言で言えば「青春」と「故郷」、あるいは「自由」に関するお話です。とても良く出来ています。後半部にある30分の会話劇パートも圧巻ですし、その後に来るつかこうへいオマージュも我ながら会心の出来です。ぜひ観に来て下さい。
福島県双葉町を舞台に、一体どのようにして原発があんな福島のド田舎に誘致されたのか、当時の人々はどんなことを考えていたのか、どういった交渉術が成されたのか……その辺が描かれています。
去年から諸般の事情でキャストが二人変わりました。他に言いたいことはありません。ただ安心して観に来て下さい。面白いです。
■「会話劇」そして「政治劇」……第二部『1986年:メビウスの輪』
8/8(木)初日。あらすじは上記公演ページを見てもらうとして、一番キワキワに「少人数での会話劇」というのを煮詰めたのが第二部です。会話劇の妙が味わえますし、政治劇として最もスリリングに仕上がっています。かと言ってお硬いだけの話ではなく、ナンセンス・コメディの様子もあって笑えます。かつまた一匹、動物が出てくるのですが、こいつが本当にいい仕事をしています。人間には語れない哲学を、動物の視点では語れるのです。
演出的にもラストシーン付近に「マジか」と思える大演出があります。これは僕が演出家として成長したからできた描き方です。小劇場でこれを演出できる演出家は僕を置いていないんじゃないか。早く読売は俺に演出家賞を与えた方がいいんじゃないか。心から思います。審査員の皆さん、お待ちしております。
そして実は一番、原発の闇、根深さ、人心に対する誘惑の恐ろしさを描いている作品でもあります。構成もとても面白く、普通の物語構造とは逆転したところから始まり、まさかの終わり方をするので演劇を見慣れた人にこそ観て欲しいです。すごく上手い寿司屋みたいな、いい握り方をしています。
■震災、現実、現代……第三部『2011年:語られたがる言葉たち』
8/14(水)初日。 東日本大震災および原発事故の起きた2011年を扱っていますから、最も現代に近くアクチュアルな作品です。おそらく大半の人が知らない「震災の真実」「福島の真実」……、僕が福島県内を自転車や徒歩で歩き回って二百人以上取材した人々のエピソードを繋ぎ合わせた「震災の本当の記録」です。僕はこの作品が、百年後、二百年後、いや千年後に残ることを最大の目標にしていましたが、幸いなことに出版が決定しました(まだ秘密だよ)。これできちんとISBNが振られて国会図書館に収めてもらえます。この物語は歴史的資料として残されるのです。
物語の主軸としては、震災後の事実を扱うマスコミの苦悩が描かれています。それは取りも直さず「言葉」を扱い人に「言葉」を伝える演劇人の苦悩を描いているとも言えます。元テレビ局の報道局長さんに入念に取材させてもらい、たくさんの素材を頂きましたが、しかし同時に、これはほとんど僕の物語です。人に物を伝える、とりわけ震災について語るということに関する、私の葛藤です。
ここには地震の実態が描かれています。津波の実態が描かれています。避難生活の実態が描かれています。風評被害の実態が描かれています。そして福島への差別の実態が描かれています。どれも本当にあったことです。正しく思い出してみませんか? テレビや映画にはできないであろう「痛々しい」「生々しい」切り込み方ができていると思います。
■じゃあぶっちゃけ、どれを観ればいいのか
私なりに考えてみました。ご参考までに。
青春劇が好きな人 → 第一部
会話劇が好きな人 → 第二部
群像劇が好きな人 → 第三部
児童劇が好きな人 → 第一部
わんこが好きな人 → 第二部
シリアスなのが好きな人 → 第三部
つかこうへいが好きな人 → 第一部
永井愛が好きな人 → 第二部
長塚圭史や白井晃が好きな人 → 第三部 ※いずれも個人的な感想です
童謡が好きな人 → 第一部
ロックが好きな人 → 第二部
ジャズが好きな人 → 第三部
学生時代、好きな人に大声で告白したことがある人 → 第一部
大人になって、いつの間にか自分の意見を言えなくなった人 → 第二部
震災のリアルな叫びや訴えに興味のある人 → 第三部
おふざけが好きな人 → 第一部
大真面目が好きな人 → 第二部
実話や真実が好きな人 → 第三部
童話が好きな人 → 第一部
哲学が好きな人 → 第二部
家族が好きな人 → 第三部
■「見て下さい!」
チケットぴあからすぐ買えます。ネットでも、コンビニでも、今すぐ買えます。そのために高い高い手数料支払っているのです(劇団も支払ってんだよ、手数料)。ぴあやボックスオフィスで買うといい席(前方)が手に入ります。どうぞ利用して下さい。
【チケット料金】
指定席 一般:4,200円 学生:3,500円 高校生:2,000円(チケットぴあのみ) 当日券:4500 円
通しチケット:10,000 円(各日100枚限定)
【チケット取り扱い】
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/dcpop/ (Pコード494-475)
東京芸術劇場ボックスオフィス https://www.geigeki.jp/ti/
【当日精算ご予約フォーム】
こちらは『福島三部作』当日精算のご予約フォームです。お席は劇団にお任せいただきます。何卒ご了承ください。ぴあの方がいい席です。
https://torioki.confetti-web.com/form/915
あと僕の友達なら僕まで直接ご連絡頂ければ、何としてもチケットご用意致します。これをさあ、これを見逃して、それでも俺を知った気でいるのは、ビートルズに例えれば、『ラバー・ソウル』も『リボルバー』も『サージェント・ペパーズ』も聴いてないのにビートルズを見限るようなもんだよ。観に来ておくれよ。
ちなみにビートルズに例えると三部作はこうなる。
第一部 → パスト・マスターズ Vol.1
第二部 → リボルバー
第三部 → ホワイトアルバム(The Beatles)
会場は池袋・東京芸術劇場だからとても来やすい
駅直結の東京芸術劇場にて上演しております。福島原発は、あれは「東京電力」福島第一原子力発電所が正式名称です。これは東京都の劇場でやるべきだ、やる意義があるのだと訴えたところ、理解を示して下さいました。関係各位に心から感謝します。
[…] 特にネタバレの心配などはありません。ご参考までに、主宰・作・演出の谷賢一が書いた「超個人的プレイガイド」リンクを掲載しておきます。 → 超個人的・福島三部作プレイガイド […]
[…] 公演情報http://www.dcpop.org/vol20/主宰・谷賢一による超個人的・福島三部作プレイガイド http://www.playnote.net/2019/08/05/guide/ […]