SANKEI EXPRESSおよび産経新聞でやっていた、演劇コラムの連載が終わった。2年半やったかな。
そしたらありがたいメールを頂いた。
少し前に、産経新聞の購読を始めました。
谷さんの、「演劇地獄道 胸を張って逃げよう」が魅力的だったので、次の連載を楽しみにしていたところ、今回で最終回ではないですか。
もっと谷さんの文章が読みたいなと思い、検索したところ、このブログを見つけました。
演劇をまともに観たこともない私ですが、谷さんの舞台なら、観てみたいな。と思います。
問い合わせでもないですが、何となくメールしてしまいました。
これからも、ブログ読みます。
この人のためだけに、今日のブログは更新していると言ってもいい。そして「全力で逃げろ」という言葉が、人様に届いていたということもまた、嬉しい。
新聞連載というのを2年半やってみて、正直に言えば喜びとストレス相半ばであった。やはり新聞なので、表現上のタブーと言うか修正依頼は多かったし、それに毎回応答するのはストレスであった。「こんな些細な言葉でもNGなのか」と窮屈に感じることが多かったが、同時に不特定多数に向けて発言することの覚悟と恐ろしさを知った気もする。担当のI氏(前任のF氏も含めて)がとても気持ちのいい人だったので修正には喜んで応じたが、丹精込めて書いた文章に修正が入るのはやはりつらい。
そんな経験を通じて、演劇の素晴らしさを、あらためて、逆説的に知った。演劇においては、放送禁止用語もNGワードも自主規制も何もない。言いたいことを、そのまま言える。言ってはいけないことは、何もない。自主規制も含めて検閲の全くない、数少ないメディアの一つである。演劇というメディアが地上にあることを、我々はもっと感謝するべきだ。
そして担当のI氏とF氏が本当に演劇・芸術を愛してくれている人だったので僕の中ではやり過ごせたが、「産経新聞で連載している」ということへの葛藤もあった。産経新聞が主張している政治思想と僕が抱いている政治思想は大きく異なる。芸術を語る上では政治思想の差なんか何でも無いし、そこに敵も味方もないし、「僕はあくまで演劇のことを書いているんだ」というスタンスだから何とか飲み込めてはいたが、ここ最近の産経新聞の報道姿勢には僕は大きな疑問を抱いている。そういう紙面に言葉を寄せるということは、やはり葛藤はあった。ただ演劇のことを定期報告しているだけと言えば言えなくもないのだが、間接的に応援しているような感じもしてしまい、違和感があった。
約二年半、演劇のことを書き続けてきて、書くことについての意識がずいぶん変わった。ブログの更新が減ったのも、新聞連載という定期的な発言の場を得たことによるものが大きかったと思う。しかし上述の通りNGも多々ある中での執筆に慣れていくことは自分を鈍麻させるような気がしていたので、まぁちょうどいいタイミングでの連載終了だったのかなとも思う。毎月違うネタ、違う角度で、しかし演劇のことについて書くというのは結構アタマを悩ませるものであったのだが、おかげで気づけたことはとても多かったし、その機会をくれたI氏F氏には感謝が尽きない。
ただ、毎回の連載で、1000字で書けることは書き尽くした感もあるので、これからはもう少し長文で文章を書いていきたいとも考えている。だって、たったこれだけ書いただけで、もう1200字超えているんだぜ。1000字で伝えられることって本当に少ない。俺としては、産経新聞の読者の中で、僕の連載をきっかけに「演劇も観てみるか」と思う人を一人でも二人でも作れればという思いで毎回頑張って書いていたが、私もそろそろ死ぬので(30年以内に死ぬだろう)、長いスパンで「書く」ということを考えていきたいと思う。
そんな中で上述のメールをもらったので、私はめでたく連載終了をすることができたのでした。これからはブログの更新を増やしたい。
新聞連載をされてたんですね。今さらながらですが、読みたかったです。谷さんが書く文章は本当に自由でまっすぐ伝わってくるから好きです。
産経新聞と聞いて、あら…と思ったら、谷さん自身も多かれ少なかれ葛藤がおありだったようで、そのことをさらりと書いてしまうのも谷さんらしいです。
無修正で一冊にされたらいいのに。きっとこう思うのは私だけではないと思います。
楽しみにしています!
そして何よりまた谷さんが書く演劇を観たいです。
嬉しいコメントをありがとうございます。文章についてお褒め頂くというのは、本当に、本当に嬉しいことです。何せ自分自身、これだけ書き続けてきて、未だに悩み、迷い、模索しながら書き続けていますから、誰かにとって「良い文章であった」ということは本当に勇気になるんです。
まとめて出版するほど大したことは書いていないので、本にすることはないと思いますが、どこかにアーカイブくらいできたらいいなぁなんて思ってはいます。毎月、それなりに必死には、書いてきましたからね。
谷さんから返信いただいていたとは!うれしく読ませていただきました☆ありがとうございます。
アーカイブができるまで待ちきれないので、図書館へ行って産経新聞を漁って来ます。