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投稿者: 谷 賢一

作家・演出家・翻訳家。1982年、福島県生まれ、千葉県柏市育ち。
http://www.playnote.net/profile/

TPAM版・福島三部作、終演しました

最後のカーテンコールを見守る舞台監督・竹井の後ろ姿

TPAM=国際舞台芸術ミーティング in 横浜版、福島三部作再演、全日程ぶじ終了しました。ご来場頂いた皆様、支えて下さった方々、どうもありがとうございました。

約半月で3部作分ぜんぶ思い出し稽古をし、毎日1つ&3日連続で初日を開けて、その後3日連続で3部作連続上演を行う……という狂気のスケジュール。1つ初日が開けてもその10分後には「さぁ、明日の第二部へ飾り替えだ」「場当たり前に確認しておくことは……」とすぐに動き出し、演劇作ってるはずなのにまるでベルトコンベアで流れ作業をしているような、凄まじい日々を送りました。

僕も大変だったけれど、スタッフはもっと大変だったでしょう。照明・音響はシフトを組んで交代しながらやっていたけれど、ずっと全体を統治していた舞台監督竹井&演出部さわちゃんは、10円ハゲの1つや2つ、できていてもおかしくない。彼らは今回時間がないことを見越して、稽古に入る前にすべての役物(演技に関わる小道具や衣裳・セットなど)を用意し、初日からフルスケールで通し稽古ができるように準備してくれていた。こんなことは、よほど規模の大きな商業演劇の現場でもなければあり得ないことだ。

わたし個人的にも、作品との向き合い方が大きく変わった。いい機会を頂いた。実を言うとTPAMの話が決まるまで、福島三部作は当分封印、なるべく触らないようにしよう……とさえ思っていたのだ。

2021/01/09〜2021/01/10

2泊3日で福島にいた。2021/01/09、鈍行のJRでひたすら北上し、水戸で一度下車、納豆定食を食べ、偕楽園を訪れ、さていざ水郡線へ……というところで愉快なタクシー運転手さんに捕まる。

「今日は袋田の滝が見どころだよ。凍ってんの! 珍しいよ。こんなの、何年もなかったことなんだから」

値段の交渉をし、袋田の滝へ。途中何箇所か道の駅や土産物屋にも寄ってもらい、ワンカップの地酒、奥久慈のクジカップを飲みながら向かう。

凍る袋田の滝

常陸大子の駅には何故かライトアップされたSLが停まっていた。

銀河鉄道みたいじゃあないか

常陸大子駅から水郡線に乗り、磐城石川駅を超えて「川辺沖」で降り、懐かしのレストラン独留馳へ。注文は当然、サーロインステーキ。

リブロースステーキだっけ? 2480円だっけ?

タクシーで猫啼温泉へ移動。途中、石田の実家に立ち寄るが、うっすら電気が点いていたので中まで入るのは遠慮する。もうあの家は、僕らの家ではないのだ。

温泉でゆっくりして、翌朝、郡山へ出発。道中ではトム・ストッパード『ロックンロール』、ノエル・カワード『スイートルーム組曲』などを読む。

無人の磐城石川駅

郡山から新幹線に乗り、福島、仙台を経由して浜通り、双葉町へ。新しくできた2つの施設、「東日本大震災・原子力災害伝承館」と「双葉町産業交流センター」を訪れる。2020年3月14日に常磐線が開通して、双葉町は陸の孤島ではなくなかった。しかし駅前も町中も無人で荒涼としており、むしろ寂しさが増したようでさえあった。それがようやく人の集まる施設がオープンしたというのだ。ぜひ言ってみたいじゃあないか。

双葉町産業交流センター内部の様子。土産物屋さえあって、見違えるほど賑やかです。

そして双葉町で飯が食える。なんてことだ!

なみえ焼きそば、600円。つけ汁100円と生卵50円を添えて。

食べるとは、生きることだ。死んでいたこの町が、ようやく息を吹き返した。生き始めた。

窓の外には相変わらず広大な平野が広がる。地震と津波と放射能で何もなくなってしまった。

東日本大震災・原子力災害伝承館も見た。説明では1時間もあれば見終わるとあったが、2時間かかっても見切れなかった。話が違うじゃないか!

内容は充実していたが、本当に疲れた。震災と原発事故をダイジェストで見るようなものだったからだ。
双葉駅前には「双葉アートディストリクト」と銘打ち、ストリートアートが作成されていた。

その後いわきへ移動し、あんこう鍋を食べた。昨日の陽気なタクシーの運ちゃんに「この辺はあんこう、あんこうと言えば鍋、あんこう鍋ならどぶ汁に限る」と言われ、あちこち電話をかけまくり、ようやく出している店を見つけたのだ。あんこう鍋は濃厚でコクが深く、部位ごとに様々な味と食感が楽しめて、一言で言って最高であった。

夜、悲劇喜劇の原稿を書く。「ゴーストタウンと、一杯の焼きそば」と題したが、久々になかなか楽しく、集中して書けた。今年はそういう年にしたい。こだわって書きたい、突っ張って生きたい。妥協や打算はもうたくさんだ。

TPAM再演『福島三部作』

以下の通りです。

脚本:PARCO『チョコレートドーナツ』

トラヴィス・ファイン監督、2012年公開の映画『チョコレートドーナツ』が演劇化。演出は宮本亞門。僕は脚本・翻案を担当しました。

原作:トラヴィス・ファイン/ジョージ・アーサー・ブルーム
(トラヴィス・ファイン監督映画「チョコレートドーナツ(ANY DAY NOW)」より

翻案・脚本:谷賢一
訳詞:及川眠子
演出:宮本亞門

期間:2020/12/07 (月) ~ 2021/01/31 (日)

出演:東山紀之、谷原章介、堀部圭亮、八十田勇一、妃海風、まりゑ、大西多摩恵、下総源太朗、エミ・エレオノーラ、矢野デイビット、高橋永、丹下開登(ダブルキャスト)、穴沢裕介、佐々木崇、高木勇次朗、シュート・チェン、米澤拓真、モロ師岡、高畑淳子

https://stage.parco.jp/program/choco/

DULL-COLORED POP『福島三部作』TPAM再演

KAAT『人類史』(作・演出)

来週から私、KAAT神奈川芸術劇場にて『人類史』という作品を上演します。私が作・演出、振付がイスラエル人のエラ・ホチルド、音楽が志磨遼平(ドレスコーズ)! 舞踊・音楽・台詞を駆使して、200万年に渡る人類の歴史を一気に駆け抜けるサーガです。巨匠・堀尾幸男の美術が素晴らしく、 それを齋藤茂男の照明がさらに研ぎ澄ませます。

『人類史』10/23~11/3
https://www.kaat.jp/d/jinruishi

DULL-COLORED POP vol.22『アンチフィクション』

作・演出・出演 谷賢一
2020/7/16(木)~26(日) 計14ステージ@シアター風姿花伝

◎公演概要

作・演出・出演のみならず、照明操作・音響操作などすべて一人で手掛ける、谷賢一による完全一人芝居。たった一人が繰り広げる演劇のめくるめく世界をお楽しみ下さい。

――作家は模索していた、今の時代にどんな物語が可能なのか? コロナ禍の中、演劇は一体どんな物語を生きるべきか? 劇場とはどうあるべきか? 作家・谷賢一自身の葛藤をそのまま剥き出しにして舞台上に乗せる“アンチフィクション”演劇。
「ここで起こることはすべて本当です」

谷賢一、岸田國士賞・鶴屋南北賞ダブル受賞後、初の新作。劇場での生上演の他、オンライン配信も実現! 客席数に「とても」限りがありますので(当初予定の半数です)、お早めのご予約をお願いします。

◎出演者・スタッフ

作・演出・出演・照明操作・音響操作:谷賢一

舞台監督:竹井祐樹 照明:松本大介 音響:佐藤こうじ 映像:松澤延拓 制作:德永のぞみ 制作協力:三坂恵美(Booster)

2020/05/12の日記

朝、起きてすぐ那須さんから電話が。風姿花伝の中継対応のことについて相談を受ける。7月、まだどうなっているか全くわからないので、モニョモニョしたお返事に。

久々にメールの返信など済ませて、メールボックスを空にする。来年夏のDULL-COLORED POPについて日程が何となく見えてきた。

あとはひたすら読書。司馬遼太郎『坂の上の雲』3巻を読破する。正岡子規が亡くなってしまったのは返す返すも残念だ。一番共感できる人物だったのに……。そして本編は日露戦争に突入していく。え、あと5巻かけて日露やんの? どうなるんだろう。

夜はフィットボクシングをやって、ランニング。汗が止めどなく出て来て、足がふらつく。昨日から始めたばかりなのにもう筋肉痛だ。一日で筋肉痛が来ることはちょっと嬉しかったりしたりもして。

而立書房より戯曲集『演劇』が発売されました

而立書房より戯曲集『演劇』が発売されました。表題作であるDULL-COLORED POP vol.17『演劇』の他に、同時期に「傑作短篇集」として上演した『全肯定少女ゆめあ』『エリクシールの味わい』が収録されています。また巻末には私の演劇論『演劇とは何か、どう生きるべきか』が収録されています。

私は演劇の継続を望む