
エラ・フィッツジェラルドの『マック・ザ・ナイフ』
このたび昨年執筆した福島三部作・第二部『1986年:メビウスの輪』という作品で、第23回鶴屋南北戯曲賞を頂きました。これは新人賞である岸田國士戯曲賞と違って、むしろ中堅やベテランがもらう賞であり、それは昨年の受賞者が平田オリザさん、その前が岩松了さん、その前が蓬莱竜太さんであることからもよくわかります。
僕はまだ岸田も取っちゃいませんし、三十代半ばですから、普通に考えたら取れるわけのない賞です。賞金額も国内では一番高く、最も栄誉ある賞と言えます。そういうわけでノミネートされたときには「まさか取れまい」「ノミネートされただけでも光栄」くらいに思っていましたが、幸運が重なって受賞してしまいました。
「幸運」と言うのは謙遜ではなく、書いたのは確かに自分ですが、ほとんど福島という土地や題材・出会った人々によって書かせて「もらった」感じのする作品であり、ちょっと力加減を間違えていたらこうはなっていませんでした。しかもその力加減は僕が自分で計算したものではなく、取材を重ねる中で出会った言葉たちが自然と教えてくれたものです。ですから自分の実力と言うよりは、ほとんど幸運、巡り合わせでもらえたようなものだと実感しています。


