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超進化舞台『デジモンアドベンチャーtri.』作・演出

超進化ステージ「デジモンアドベンチャー tri. ~8月1日の冒険~」
2017 年 8 月 5 日(土)~8 月 13 日(日)
Zepp ブルーシアター六本木
作・演出 谷賢一 原案:本郷あきよし
http://digimon-stage.com/

様々な奇縁が重なり、人生初の2.5次元、『デジモンアドベンチャーtri. 〜8月1日の冒険〜』で作と演出をしております。「初」とは言っても今までにシディ・ラルビ・シェルカウイ演出『PLUTO』やフィリップ・ドゥクフレ演出『わたしは真悟』で脚本は担当させてもらっていたので、漫画/アニメ原作がゼロだったというわけではないし、俺もアニメとゲームで育った世代なので、実は前からずっと興味はあったんだ。

デジモンアドベンチャーとは1999年の初代シリーズ放映以来、その世代にとっては伝説のアニメとなっている作品だ。その内容の性質上、舞台化は困難だろうと思われていたらしいんだが、以前DULL-COLORED POP音楽劇『河童』(吉祥寺シアター)を観てくれていたプロデューサーから「ああいうヘンテコな作品を作る谷さんならやれるかもと思った」とお声がけ頂いた。ありがたい限りである。

主人公たちの「パートナー」であるデジモンたちは、呼称こそ「デジタルモンスター」だがちっともデジタルな存在ではなく、血の通った、心のある生き物である。原作アニメでは主人公である少年少女たちの心の成長とデジモンたちの「進化」がリンクして描かれており、何度も涙腺をやられた。親友と言ってもまだ足りない、強い絆で結ばれたデジモンたち。そういうモンたちを映像表現でやっちゃあダメだ、触れて、話せて、見つめ合える実在物でなければ、と強固に主張して、ご覧の通り全部原寸大で作ってもらった。

しかし少年たちは8人いて、デジモンたちも8体もいる。ぜんぶ出したらすんごいお金がかかる。普通に考えれば「じゃあアグモンとガブモンは出すけどテントモンは省略」とか「パタモンは家で寝てる」とかそういうカットを考えるんだろうけど、原作では誰か一人決まった主人公がいるわけじゃなくて8人がそれぞれに主役であり、8体のデジモンたちそれぞれにも根強いファンがついている。絶対ぜんぶ出そう、一部カットなんてできるわけない! と、これも無理を聞き入れてもらった。

人形操作の指導・監修は老舗の人形劇団・ひとみ座さん。ひとみ座さんとの共同作業は今回もっともクリエイティブな時間の一つであった。もともと人間と人形・映像の融合、ということに興味があってはじめた企画だったが、ひとみ座数十年の技と経験は聞けば聞くほど面白く、たくさんのことを学ばせてもらった。自分のためのメモとして書いておくと、お客さんに印象を渡すということ、勇気を持って止まるということ、リモーションという概念、コマ割りで動きを考え、人形を操者が演出するという発想。俳優術にもそのまま転用できるような知恵をたくさんパクらせて学ばせてもらった。

上の画像に出ているちびっこデジモン(成長期)以外にも、進化後のでっかいデジモン(完全体)も出て来る。舞台『戦火の馬』や『ライオンキング』、日本の獅子舞や中国の龍舞、某海外の人形作家の作品なんかを参考にしつつ、ガチででっかいの作った。これも今の御時世、映像でやれちゃうっちゃやれちゃうんだろうけど、だけど敢えて生でやる、想像する・させるのが舞台の面白さなのだから是非とも実物でやりたいと無理を言ってやらせてもらった。メタルグレイモンと呼ばれる彼の操作は誰もやったことのないものだったので、もうホントに現場で手探りって感じ、操演者の俳優たちや美術の青木さんらと知恵を出し合い、なんとか実現した。

その他、デジモンヘッドラインというウェブサイトがとても細かく感想や気づきをまとめてくれているのでリンクしておく。02への言及とか、一度観ただけで大体ぜんぶ拾ってくれてるのはすごいとしか言いようがない。本当にデジモンってのはファンに愛された作品なんだなぁと日々実感しております。

あと演劇レビュワーの高野しのぶ氏も観に来てくれた。普段ストレートプレイをメインに観ている&デジモンほとんど知らない彼女も、楽しんで、そして泣いて帰ってくれたと聞いて、本当に嬉しかったよ。

稽古に入る前から人形のことや映像のことなど膨大な打ち合わせがあって、もちろんデジモン全話観たり関連書籍読んだりする勉強の時間も大量にかかって、稽古がはじまってからは丸々1ヶ月、1日も休みがない&毎日たいてい10時間くらい稽古してるわで実に疲弊した。小屋入りしてからも映像・音響・人形・美術・衣裳の合わせが膨大にあり、ストレートプレイの三倍くらい場当たりが大変だったが、なんとか、なんとか形になった。演者たちの熱心さもあいまって、今のところ大変良い評判を頂いております。

デジモン知らねえ俺のお客さんも「泣いた」と言って帰ってくれたりしているが、ある意味納得。だって俺も何も知らずにデジモンシリーズ観始めて何度も泣いたもん。まさか自分がこういう形でデジモンという歴史に参加させてもらえることになるとは思わなかったが、この短い夏の思い出がデジモンファンの方々の中に残ってくれると大変うれしい。舞台は消えていくものだから、消えちゃっていいんだけど、記憶の中に残ってくれれば。

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