演劇における声の表現力の可能性について思う。かつてご一緒した名優・木場勝己も「俳優は声です」と言っていた。昨年、舞台『デジモン』でアニメのプロの、と言うかベテラン・大御所の声優さん達と仕事をさせてもらって、声がただ人物の感情を表すだけでなく、その人物の置かれている状況や体勢、時間さえも表現し得ることを実感した。「体勢って何?」と思われるかもしれないが、声でそのキャラクターの姿勢を表せるし、緊張している・弛緩しているということを表現できるのだ。時間と言うと余計に超常現象めいているが、良い俳優は語り方次第で、流れている時間がリアルに流れている時間なのか、心象風景としての時間なのか、区別して演じ分けることができる。聴いていると、その違いがありありとわかる。
カテゴリー: 論考・エッセイ
『バリーターク』観劇。良い不条理演劇は良い音楽と同じで、抽象的なのに曖昧なところが全くなく、音符(=言葉)の一つ一つの意味が手に取るようにわかる、そんな印象を与えるものだ。本作もその通り、モチーフ全てが鮮烈にしてクリア。生と死という主題を率直に語り、問い掛けてくる。見事な作品。
— 谷賢一 (@playnote) 2018年5月5日
SANKEI EXPRESSおよび産経新聞でやっていた、演劇コラムの連載が終わった。2年半やったかな。
青井陽治先生のご葬儀に参列してきた。本当に早すぎる死だ。もっともっとお話したかった。こういう台詞を僕たちはあと何百回繰り返すのだろう? 死はいつもそこに見えているのに、どうしても生きることにかまけて忘れてしまう。
来1月上演・KAAT『三文オペラ』の台本づくりに集中(と言うか懊悩(と言うか七転八倒)))していてしばらくネットを切っていたら、知らん間に今月産経新聞に書いた記事が軽くバズっていた。
Twitterでありがたいご意見を目にしたので、一言書いておく。
けものフレンズ舞台版の演出家が谷賢一じゃないのは何故だ!!!!!!かわいい動物が出てくる演劇を作らせたら日本の小劇場界で右に出るものはいないのに!!!!!!
— ぽんこつ (@tamaki86) 2017年4月24日
自慢じゃないが『けものフレンズ』は全話見た。この作品に限らず話題になったアニメや漫画はなるべく見るようにしている。だから最近だと『おそ松さん』も『ラブライブ!』も『ガールズ&パンツァー』も『魔法少女まどか☆マギカ』も『コードギアス』もみんな見た。他にもあるかも。結構見てる。特に『ラブライブ!』は各話ごとの筋立てがあまりにしっかりしている上に音楽の使い所がパーフェクトで、脚本の教科書素材になるんじゃないかと思ったくらいだ(映画版除く)。
世間で流行っているものには必ず何か時代を読み解く鍵があると信じている。『けものフレンズ』はニコニコ動画での第一話の再生数が600万を超えたという。多めに見積もってその半分近くがリピーターだったとしてもニコニコ動画だけで300万人以上、Amazonビデオや地上波放送なども含めれば500万人くらいは見たアニメだと言って間違いあるまい。これに匹敵する大ヒットってさ、もしかしたらもう映画・ドラマ・演劇・小説問わず、ないんじゃないの? ってくらいだよ。だから俺は流行ったアニメは見るようにしてるんだ。
いい気分の夜である。自分の芝居以外で素直に「良い!」と思える芝居と出会った。あやめ十八番『ダズリング=デビュタント』@座・高円寺1。見事であった。
壮大なことを話すと今、大きな劇場、大きな空間を演出できる才能が減っている。皆が皆、100か200の客席で満足していて、それ以上大きなところをむしろ「やりたくない」とさえ思っているような風潮がある。大劇場むしろやりたくなさそうという演劇人が増えてきたよねという話は(俺本人はそれと真っ向真逆に生きている人間なのだが)一般論としてあちこちで聞かれる。まぁ現代口語演劇の功罪のうちの罪の一つだ。そんな中あやめ十八番『ダズリング=デビュタント』は、238席という中劇場と言ってもいい広さであり、かつ、とても演出しきるのが難しい空間である座・高円寺1を見事に制圧した。快挙と言っていいし、堀越涼という(元々俳優としては最高級に有能だったが)新人演出家の中劇場クラスのデビューとしてはアッパレという他ない。
『白蟻の巣』もすっかり終わった。三島由紀夫関係のメモが机の上にたくさん残っていて、どう整理していいのかもわからないから、ここにペタペタ貼っておく。
