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ピッコロ大魔王の気持ち

頼んでいたホタテの串焼きを受けとったとき、雪が降りはじめた。わた菓子をこまかくちぎったような小さい雪で、地面に落ちる気なんてないかのように、ふわふわと舞っている。

「初詣で初雪とは、風情だねえ」

なんて笑って山頂でお参りをすませて振り返ったら、帰りの石段はもう真っ白に積もっていた。旅館の下駄できていた僕は、案の定、駐車場の入口でおおげさに転んでお尻を打った。いたかった。いたかったぞ。

そこでなぜか(フリーザではなく)ピッコロ大魔王のことを思い出した。悟飯のことを好きになった、二代目の、マジュニアじゃなくて、初代の方の。……僕は彼がドラゴンボールを集めたときに「永遠の命をくれ」という願いを断って、ただ「若返らせてくれ」と頼んだのが、ずっと不思議だったのだ。

永遠の命 > 越えられない壁 > 若返るだけ

どう考えてもミスチョイスじゃないか?

でも今わかった。なるほど、あいつもああ見えて、フェアだったんだ。「永遠の命」なんてチート能力がなくても、「かつての力」さえとりもどせれば十分戦える。むしろ神龍とかいう知らんやつの力を借りずに、自分の力だけで世界と戦いたい。

僕も人よりは運動してるつもりだが、こないだも近所の何もないところで転んだ。何もしてないのに腰が痛かったりする。そんで今度は雪が降っただけで転んでしまった。確実に、何かを失っていっている。

チートはいらない。少し時間を戻して、あのときの力で戦えれば。むしろ、その力で勝つことが、自分の証明なのだ。

ピッコロ大魔王はこういう気持ちだったのか!と突然わかった気がした。雪の駐車場で。

そんなこと考えてたら、タクシーに轢かれそうになった。

もっともピッコロ大魔王が復活後にやったことは、43ある都を一つずつ爆破していくという物騒極まりないもの。大魔王というくらいだから悪いやつだと思うが、意外と人間にひどい目にあわされていたのかもしれない。

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