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月別: 2018年7月

若い劇作家からの手紙、『1961年:夜に昇る太陽』について

『1961年:夜に昇る太陽』を上演中で、多方面から大変な好評を頂いているが、少し印象深い出会いがあった。

「とても良かったです。うちの劇団員にも……」

そう話しかけてきた20代前半と思しき少女は、真っ直ぐな、ぶれない瞳をしていて「あ、これ賢い子だな」と一見してわかったが、話してみると少女都市という劇団を主宰している作家であり演出家であるという。調べてみると(おそらく)20代前半という若さにも関わらず岸田賞にもノミネートされていて、将来を嘱望されている。名前は葭本未織さん。

そんな彼女から頂いた感想メールがあまりに正鵠を射ていたので、許可をとった上で少しブログで紹介する。

『1961年:夜に昇る太陽』、本当に素晴らしい作品でした。双葉町の原子力発電所の誘致に関する知らなかった事実をたくさん知ることができました。(特に、職員にハイキングの格好をさせて…というくだり、人間のすることか、とゾッとしました。)

私の住んでいた地域の近くでも、子供の頃、処分場を作るという話がありました。(住んでいたのは兵庫県で、つくられるかもしれなかったのは、徳島の淡路島に面した地域です)住民の反対で作られなかったものの、3.11以降、本当につくられていたらどうなっていたかをずっと考えていました。また、反対が成功した地域にいたからこそ、なぜ日本全国の原発のある地域の人々は、誘致を許可してしまったのか。それがずっと知りたいことでした。けれど、作中で、3億という大金を目の前にした登場人物たちを見たとき、果たして自分の身にこのことが起こったとき、本当に土地を手放さないという決断をできるかと、強く考えました。自分自身に問いかけながらクライマックスのシーンでした。

「田舎は何にも(自分で)決められない。」(うろ覚えですみません。)という主人公のセリフがとても刺さりました。東京の23区は何もかもを自分たちで決められます。たとえ本当はそうでなくても、そうであるような意識を持っていると、私は思います。だから、搾取される地方のことを、中央に見ないことにされる、無視される地方のことを、理解できないのです。今も、昔も、そこかしこに漂う諦念と、それでも郷土を離れられない想いが、地方を構成していると思いました。その点を、非常に細かに、またジャーナリズム精神にあふれた姿勢で描き出されていたことに、拍手が止まりませんでした。

また、そういった非常に繊細な題材を、人形劇や(真がだんだん本当の子供に見えてきて不思議でした)「笑い」を用いて、すんなりと観客に受け止めさせる手腕に、心から脱帽しました。

長くなりましたが、『1961年:夜に昇る太陽』、本当に素晴らしい作品でした。チケットは完売とのことですが、もっとより多くの方に見ていただけるよう、口コミで広めたいと思いました。公演もまだまだ続きますが、御出演者・スタッフの皆様が最後まで何事もなく走り抜けられるよう、心よりお祈りしております。

葭本未織

作品の根幹をきちんと指摘してくれているので、読んでいてとても嬉しい気持ちになった。そう、まずこの作品は「なぜ」からはじまっている。当初のコピーは「なぜ福島は”Fukushima”になってしまったのか?」というものだったが、私が解き明かしたいのはなぜ原発は生まれ、道を誤り、あのような事故を引き起こしてしまったのかという「なぜ」なのだ。あるいはなぜ危険とわかっていながら地元は引き受け、小さな事故がいくつか起きた後でも、そしてチェルノブイリの事故を目の当たりにした後でも粛々と営業を続けたのかという「なぜ」なのだ。

2つ目の指摘も大変ありがたい。この作品は、東京と田舎の関係の話でもある。主人公・孝という人物に担わせたのは、科学者という視点もそうだが、それ以上に故郷を捨て、発展を夢見て都市に集った当時の日本人マジョリティの象徴としての姿だ。だから彼の後半の発言は、孝という個人を飛び越えて、故郷を捨て地方の原発誘致には「関係ない」と口を紡いだ当時の日本人の姿やそれへの批判を大いに背負わせている。

登場人物のうち4人が20代前半という、非常に若い芝居でもある。これは、若い日本、戦後間もなく立ち直りつつあった当時の日本を表している。だから1986年を舞台にした第2部では若者の出番は減り、ぐっとおっさんが増える。2011年に至っては老人が主役になるだろう。日本という国の老いと過ちが、あの人災事故(震災は天才だったが原発事故は人災だ)を引き起こしたのだ。

DULL-COLORED POP vol.18/福島3部作第1部先行上演『1961年:夜に昇る太陽』

※詳細はdcpop.orgをご覧下さい。

劇団活動再開! 2年間の取材を経て、福島と原発の歴史を解き明かす「福島3部作」、第1部のみ今夏先行上演。福島はいわきアリオスにて初日を開けた後、東京こまばアゴラ劇場にて20ステージ上演。

私の母は福島の生まれで、父は原発で働いた技術者だった。私自身も幼少期を福島で過ごし、あの豊かな自然とのどかな町並みが原風景となっている。

原発事故はなぜ起きてしまったのか? 震災以降ずっと考えてきた問いに答えを出すべく、二年半に渡る取材を経て福島の歴史を執筆・上演する。第一部は1961年、双葉町が原発誘致を決定した年。あの頃、人々は何を夢見ていたのか? 当時の夢であり現在の悲劇の発端でもある1961年を「演劇」、つまり人間同士のドラマとして描き出したい。

作・演出 谷賢一

公演概要

あらすじ:
1961年。東京の大学に通う青年・孝は故郷である福島県双葉町へ帰ろうとしていた。「もう町へは帰らない」と告げるために。
北へ向かう汽車の中で孝は謎の「先生」と出会う。「日本はこれからどんどん良くなる」、そう語る先生の言葉に孝は共感するが、家族は誰も孝の考えを理解してくれない。そんな中、彼ら一家の知らぬ背景で、町には大きなうねりが押し寄せていた……。
福島県双葉町の住民たちが原発誘致を決定するまでの数日間を、史実に基づき圧倒的なディテールで描き出した谷賢一の最新作。

作・演出 谷賢一(DULL-COLORED POP)
出演 東谷英人、大原研二、塚越健一、百花亜希(以上DULL-COLORED POP)
古屋隆太(青年団)、井上裕朗
内田倭史、大内彩加、丸山夏歩、宮地洸成
スタッフ 舞台監督:藤田有紀彦、松谷香穂 照明プラン:阿部将之(LICHT-ER) 制作:小野塚央
助成 アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、芸術文化振興基金、公益財団法人セゾン文化財団
支援 アイオーン、青木麻莉子、アゼクラミツコ、一之瀬善照、いではなえ、S.K.、emikuma、遠藤雄太、遠藤洋子、荻野達也、Kaoru、河原塚祐司、川南恵、giovanni、澤田絵津子、高須左恭、高野しのぶ、たれめのリリー、坪池栄子、中川真里、永渕哲三、のし、ふみ、masato、松本由希子、宮崎晃行、吉見由香、りいちろ、RUMMY、Y.Tamura(五十音順・敬称略)

福島公演:2018年7月7日(土)-7月8日(日)

会場 いわきアリオス小劇場
チケット 一般:3,000円 高校生以下: 1,000円(全席指定)
2公演セット券:7,000円(詳細はお問い合わせ下さい)
発売開始 2018年3月24日(土)
タイム
テーブル
7月7日 18時30分
7月8日 14時
公演詳細 http://iwaki-alios.jp/cd/app/?C=event&H=default&D=02190

公演終了後、トークディスカッション開催!

7日・8日両ステージともに、公演終了後、作・演出の谷賢一と作品内容について語り合うトークディスカッションを開催します(参加自由)。この作品が福島県の皆様のどう響いたのか、お聞かせ下さい。

東京公演:2018年7月21日(土)-8月5日(日)

会場 こまばアゴラ劇場
〒153-0041 目黒区駒場1-11-13  Tel: 03-3467-2743
渋谷から京王井の頭線各駅停車で2駅目、駒場東大前駅から徒歩3分
チケット 一般前売り:3700円 学生券:3300円
発売開始 2018年6月2日(土)

タイムテーブル

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クラウドファンディングについて

本公演はクラウドファンディングによるご支援を頂いております。リターンには稽古場見学フリーパスや打ち上げへの参加など「公演に参加」できる特典がたくさん。リターンの受け取り方や今からのご参加の仕方は、以下のページをご覧下さい。

お問い合わせ

DULL-COLORED POP
Mail: info@dcpop.org
Twitter: @dc_pop
Tel: 050-5579-6089

ダルカラの活動再開について

なんか当然のように主宰する劇団・DULL-COLORED POPを活動再開し、「福島を題材に三部作だー」とか大上段に大騒ぎしている第一部『1961年:夜に昇る太陽』の初日を間近に迎えているが、一体全体どういうつもりで今さら劇団なんか再開するのか、少し書いておこうと思う。