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小劇場劇団がKindleダイレクトパブリッシングで戯曲を出版する方法(コスト・初期費用・在庫リスクゼロ)

現在公演中のDULL-COLORED POP公演『丘の上、ねむのき産婦人科』では、公演のオンライン配信があるだけでなく、戯曲(上演台本)および公演パンフレットがAmazon Kindle=電子書籍で出版されています。頑張ったらできました。タダで。

KDP(Kindle Direct Publishing)というサービスを使っているんですが、コストゼロ、初期費用ゼロ、在庫リスクゼロで出版&販売できます。必要なものはすべてフリーでダウンロード可能。データ作成の手間も想像の1/10くらい簡単でした。「台本を出版したいけど、お金が」「在庫リスクが」という小劇場劇団にはうってつけのサービスです。今回、公演開始前に販売をはじめたことで「新作なのに台本を読んでから観る」という選択肢を観客に提供できたこともよかったです。台本以外にも、うちの劇団がやったように公演パンフレットの電子書籍版を販売したり、エッセイ、小説、写真集、様々なコンテンツを発信できます。

そのやり方、恐ろしく簡単なので、ここで軽くシェアします。いろんな劇団が導入できる。何なら学生でもできます。

1.Wordで台本を用意する

別にWordじゃなくてもいいんだけど、一般的に一番使われているであろうWordで説明します。まずは普通にWordで台本を書く。この際、フォーマットや文字サイズ・余白なんかはそんなに気にしなくて大丈夫です。テキトーでOK。あとでKindle化されるときにアプリが調整してくれます。僕は普段書いているフォーマット、そのままで出版できました。

僕の普段のフォーマットはだいたいこんな感じ。Wordの画面のスクリーンショットです。こうして縦書きで書いておくと、出版時に「縦書き(右から左)」を選ぶとKindleでもちゃんと縦書きにしてくれます。やっぱり台本は縦書きですよねえ。

2.目次をつける

電子書籍なので目次をつけておくと読みやすいですね。目次を作りましょう。目次は自動で作れます。

自動で目次を作るには、執筆するとき見出し(柱)を単に太字にしたりするんじゃなくて、「ホーム」→「スタイル」で「見出し1」とか「見出し2」と設定しておくのがコツ。こうすると自動解析で目次が作れます。僕は普段からこのスタイルで書いているので、自動で目次が作れました。

「見出し1」などを適切に設定したら、Wordのメニューから「参考資料」→「目次」→「自動作成の目次1」をクリック。

自動作成で十分。そうするとこんな感じになる。右側に目次が挿入されましたね。

僕の場合、「内容」という文字を「目次」に書き換えたり、本文の間に改ページを挟んだりといろいろ整形はしましたが、そこはまぁ必要に応じてどうぞ。

参考までに上記サンプルファイルがWord形式でダウンロードできるようにしておきました。ぜひ本編を買ってね。

3.Kindle Previewerでkpf形式に変換する

もう少しで完成です。WordをKindle用のファイルに変換しましょう。

こちらのページからKindle Previewerというのがダウンロードできるので、ダウンロード&インストール。起動したら何も考えずに上で作ったWordファイルをドラッグ&ドロップ。「言語設定」というダイアログが出るので「Japanese(Right to Left)」を選択します。要は「日本語(縦書き)」という意味であります。

するとこうなる。この通り、何もせずともここまで変換してくれます。もしここで意図した通りの表示結果になってなかったら調整しましょう。Wordを手直しして、もう一度ドラッグ&ドロップ。

満足の行く結果になったらファイルを出力(エクスポート)します。メニューから「ファイル」→「エクスポート」を選び、「*.kfp」形式で保存しましょう。Word用のファイルをkpf形式(Amazon Kindle Direct Publishing用のフォーマット)に変換したわけだ。

もうあと一歩で出版完了。マジです。簡単です。あとは情報をAmazonに登録してアップロードするだけ。

4.いざ出版

Kindle Direct Publishingの本棚ページにアクセスします。Amazonアカウントが必要ですのでログインしましょう。なんかこんな感じのページが出るので、左上の「+ 電子書籍または有料マンガ」のとこをクリック。

1ページ目で本のタイトルや著者などの基本データを入力。検索に引っかかりやすくなるから内容紹介もちゃんと書こうね。2ページ目で先ほど作ったkpfファイルをアップロード。DRMは僕は有効にしています。「ページを読む方向」を「右から左」に設定するのを忘れないように! 表紙はJPEG画像をアップロードしてやればOKです。3ページ目で売価を決定。僕は「すべての地域」「Amazon.co.jp」「ロイヤリティプラン:70%」を選んでいます。

すべて設定し終えると3ページ目の右下に「Kindle本を出版」というボタンが表れます(写真以下)。このボタンを押すと出版のための審査(チェック)が始まります。

72時間以内に内容が審査され、OKが出たら出版。販売開始72時間と書かれてはいますが、僕の場合は4~8時間くらいで審査は完了され、その日のうちに出版できました。

Amazonに表示されたよ!

5.出版してみて

完成した本のサンプル(PC版Kindle Viewerで閲覧。当然、スマホからも読めます)

僕は最近割とKindleで読書するので、自分の端末でつい先日書き上げたばかりの原稿が表示されている=出版されているというのは感動的でした。マジでプロセスが簡単で、慣れてなくても半日あれば、慣れていれば3~4時間もあれば出版できてしまう。機動力のある商品展開ができそう。そして観客にとっても「どこでも読める」「どこからでも買える」というのは大きなメリットになるでしょう。

ロイヤリティプラン70%、すなわち売価の7割がそのまま収益になるというのも魅力です。僕は紙の書籍も出版していますが、印税率は10%前後が普通です。1000円の本を売ったら100円が収入になるわけです。もっとも紙の本の場合はISBNが発行され店舗に配本され、キャンペーンしてもらったり販促かけてもらったり、書評で取り上げてもらったり、様々なメリットがあります。何より僕がメリットだと思うは、図書館、特に国会図書館に入るということです。電子書籍出版が一般的&スムーズになったとしても、紙の書籍の重要さは薄れないでしょう。しかしこういう小劇場劇団のグッズとして電子書籍は非常に有用だと感じました。何せ紙で出版するのは本当に手間だし大変だし、今は戯曲、なかなか売れないですからね。昔もか……?

販売開始して、平均するとだいたい日に5冊くらいのペースで売れてっています。電子データなので在庫管理の手間もゼロ。在庫抱えるリスクもゼロ。非常に気軽です。しかもこれからずっと販売できるのでアーカイブとしても優秀。過去の代表作を今後たくさんKindle化しようかなと考えています。もっともKindleはただのデジタルデータなのでAmazonが経営破綻なり撤退なりしてしまえばすべて無に帰すわけですが、いつかの未来にあるかもしれない心配よりも今現在劇団と観客にとって生じるメリットの方が大きいでしょう。

非常に導入が簡単だったので、みなさんの劇団でもどうですか。僕も話題の劇団の新作がKindleで読めたら非常に嬉しいです。KDPの出版のノウハウはググるとたくさん出てくるので、ぜひ調べてみて下さい。

なお、画像がたくさん入った「公演パンフレット」の方もほとんど作り方は変わりません。Wordファイルに直接画像を貼って、Kindle Previewerに放り込むだけ。驚くほど簡単なのでこちらも是非試してみて下さい。

リンク:

有料記事セクション

以下、ちょっと秘密の記事を書いてみます。有料記事作成プラグインcodocの運用テストとして。「実際これだけ売れたよ!」とかいう売上のデータや数値・グラフなどを紹介。いくら収益があったのか公開しています。また、上記公演パンフレットの方の中身も紹介。こちらは写真多めなので、画像多めのコンテンツを作りたい方には参考になるかと。

One Comment

  1. 松本由希子 松本由希子

    自分が出版するわけでもないただの一般観客なんですが、面白くてつい読んでしまいました!なんと便利な世の中になったんでしょう。あ、もちろん台本は購入させていただいております。ダルカラさんと箱庭さんの脚本はいつも劇場で買っていたんですが、キンドルで買えるのは保管場所もいらないしめちゃくちゃ便利でありがたいです。もし過去のものも出版していただけたらあらためて買います! 

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