午前中は熱を出した次男の看病をしながらゴリゴリと12月上演の新作を書く。次男は泣き疲れて床で事切れて、布団の上に運ばれると目覚めてまた泣き始めるという無限地獄を味わっていた。昼から新国立劇場演劇研修所にて講義、「性格とは行動である」ということについてとっぷり話す。実演してもらう。夜はTwitterでぼのぼのさんがめちゃくちゃに褒めていたので今泉力哉監督『窓辺にて』を観に行く。プロットや雰囲気が12月公演の内容と近かったため勉強がてら。非常に良くできた完成度の高い映画で文句の付け所もない。脚本も演出も技術とセンスを感じる。笑いを入れるのも上手い。
しかしこういうレベルの作品を観ているともはや面白いとかつまらないではなく、監督の見ている世界と自分の見ている世界の違いについて考える。なるほどこんな風に世界を見ている人がいるんだな。それは主人公の行動や台詞だけでなく、撮り方や演出から如実に感じる。「そりゃあダルカラの芝居は叫び過ぎだって言われるわけだ」とも思ったが、あれは誇張しているのではなく、私には世界がああ見えているのだ。今泉監督の描いた「怒れない」男と僕の世界は、接しているし同じものを見ているはずだが、ずいぶん違う見方をしている。
そんなことを考えた。