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2021/01/09〜2021/01/10

2泊3日で福島にいた。2021/01/09、鈍行のJRでひたすら北上し、水戸で一度下車、納豆定食を食べ、偕楽園を訪れ、さていざ水郡線へ……というところで愉快なタクシー運転手さんに捕まる。

「今日は袋田の滝が見どころだよ。凍ってんの! 珍しいよ。こんなの、何年もなかったことなんだから」

値段の交渉をし、袋田の滝へ。途中何箇所か道の駅や土産物屋にも寄ってもらい、ワンカップの地酒、奥久慈のクジカップを飲みながら向かう。

凍る袋田の滝

常陸大子の駅には何故かライトアップされたSLが停まっていた。

銀河鉄道みたいじゃあないか

常陸大子駅から水郡線に乗り、磐城石川駅を超えて「川辺沖」で降り、懐かしのレストラン独留馳へ。注文は当然、サーロインステーキ。

リブロースステーキだっけ? 2480円だっけ?

タクシーで猫啼温泉へ移動。途中、石田の実家に立ち寄るが、うっすら電気が点いていたので中まで入るのは遠慮する。もうあの家は、僕らの家ではないのだ。

温泉でゆっくりして、翌朝、郡山へ出発。道中ではトム・ストッパード『ロックンロール』、ノエル・カワード『スイートルーム組曲』などを読む。

無人の磐城石川駅

郡山から新幹線に乗り、福島、仙台を経由して浜通り、双葉町へ。新しくできた2つの施設、「東日本大震災・原子力災害伝承館」と「双葉町産業交流センター」を訪れる。2020年3月14日に常磐線が開通して、双葉町は陸の孤島ではなくなかった。しかし駅前も町中も無人で荒涼としており、むしろ寂しさが増したようでさえあった。それがようやく人の集まる施設がオープンしたというのだ。ぜひ言ってみたいじゃあないか。

双葉町産業交流センター内部の様子。土産物屋さえあって、見違えるほど賑やかです。

そして双葉町で飯が食える。なんてことだ!

なみえ焼きそば、600円。つけ汁100円と生卵50円を添えて。

食べるとは、生きることだ。死んでいたこの町が、ようやく息を吹き返した。生き始めた。

窓の外には相変わらず広大な平野が広がる。地震と津波と放射能で何もなくなってしまった。

東日本大震災・原子力災害伝承館も見た。説明では1時間もあれば見終わるとあったが、2時間かかっても見切れなかった。話が違うじゃないか!

内容は充実していたが、本当に疲れた。震災と原発事故をダイジェストで見るようなものだったからだ。
双葉駅前には「双葉アートディストリクト」と銘打ち、ストリートアートが作成されていた。

その後いわきへ移動し、あんこう鍋を食べた。昨日の陽気なタクシーの運ちゃんに「この辺はあんこう、あんこうと言えば鍋、あんこう鍋ならどぶ汁に限る」と言われ、あちこち電話をかけまくり、ようやく出している店を見つけたのだ。あんこう鍋は濃厚でコクが深く、部位ごとに様々な味と食感が楽しめて、一言で言って最高であった。

夜、悲劇喜劇の原稿を書く。「ゴーストタウンと、一杯の焼きそば」と題したが、久々になかなか楽しく、集中して書けた。今年はそういう年にしたい。こだわって書きたい、突っ張って生きたい。妥協や打算はもうたくさんだ。

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