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ダルカラの活動再開について

なんか当然のように主宰する劇団・DULL-COLORED POPを活動再開し、「福島を題材に三部作だー」とか大上段に大騒ぎしている第一部『1961年:夜に昇る太陽』の初日を間近に迎えているが、一体全体どういうつもりで今さら劇団なんか再開するのか、少し書いておこうと思う。

まずは『1961年:夜に昇る太陽』を観に来てもらえると一目瞭然なのだが、福島三部作とは言え「いかにもダルカラだなあ」という作品に仕上がっている。要はバンドなのだ。このメンバーが集まるとこういう音が出る。もはや劇団の象徴になっている空想動物・百花亜希、技術を買われて毎回無茶振りがひどい大原研二、今回の配役で怪優的存在感を示し始めた東谷英人、劇団の長老であり百花とは別の意味で象徴である塚越健一らの「相変わらずさ」を是非楽しみにして頂きたい。

活動休止期間中のこの2年に僕のことを知った人には、「ああ、こいつ、本当はこういう奴だったんだ」と驚きに来て頂きたい。

活動を再開したのは、ここが一番自由がきくからであり、そしてこの自由がきく場所で新たに野心を描いているからである。──まず最初の野心はこの、タブー過ぎて誰も触れたがらない福島三部作をきちんと演りきり、作りきり、一万人を動員することである。忘れてねえからな、「一万人入れるぞー」とかTwitterでつぶやいてたの。それは勢いで言ったのではなく、たくさんの人に福島の今昔物語を知ってもらいたいという強い願いがあるから忘れてねえのである。まだ発表はできないが、三部作連続上演の準備も着々と進んでいる。

もう一つ、劇団を拡大しようという意図がある。この劇団の流行らねえご時世に「マジか」と言われそうだが、若手育成・中堅加入・新陳代謝を行いつつ、できれば100人くらいの集団にしたいと思っている。うまく行けば1000人でもいい。これも『1961年:夜に昇る太陽』が終わった頃に告知が成されるであろう。劇団と言うよりも、「演劇」というキーワードで繋がるユルくて広いネットワークのようなものだ。そこには若手・中堅・ベテランの俳優だけでなく、スタッフも迎えたいし、観客さえも加入しているかもしれない。

日本には歌舞伎を代表とする古典芸能の集団があり、老舗の新劇の集団があり、小劇場劇団という集団があるが、それらのどの集団性とも異なる新種の集団……うん、集団というよりネットワークとかコミュニケーションと呼んだ方がいいかもしれないが、違う性質の集団を作りたいと思っている。

今までにないものなので、まだ名前がついていない。

しかしまぁ概念だけで集団は形成できない。手を動かせ、足を運べ、人を集めて直接話せ。というわけで今は『1961年:夜に昇る太陽』の準備に余念がないし、福島三部作を成功に導くことも重大な目的の一つである。この創作を通じて新しいダルカラ(もはや名前も変えたいくらいだ)の削り出しを行っているところである。

ご興味のある方はまずは劇場へ足をお運び下さい。東京公演にはたぶん、何か折り込まれてると思いますので。「ダルカラ出たいなぁ」という人は、お願いだからダルカラ観といてね。当たり前だが作品を観て応募してくれる人の方がオーディションも通りやすいものだし、逆に言うと作品も観ず「評判いいから」というだけで応募する方が私には理解できない。

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繰り返しになるが『1961年:夜に昇る太陽』が、福島で初日を開けられることは本当に嬉しい。きちんと福島の声と視線にさらされて、試されて、それから東京でお披露目できる。いわきは7/7から、東京は7/21から。お待ちしております。

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