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取材する

DULL-COLORED POP次回作『丘の上、ねむのき産婦人科』のために取材を続けている。たくさんの妊婦さん、経産婦さん、あるいは不妊治療や人工妊娠中絶の経験者から話を聞いている。産婦人科で起きるドラマ。幅は広い。男性からも女性からも話を聞きたいが、やはり女性の比率が増える。

今日は4人話を伺った。千差万別とはまさにこのこと。妊娠・出産というキーワードがあるだけで、ほとんど共通点のない、非常に個人的な話が聞けた。僕も取材時に言っている、「私だけの/私にしかわからない話でもいいので教えて欲しい」と。

『福島三部作』でたくさんの人の生の声を聞く体験をして、僕の中で取材のイメージがずいぶん変わった。誤解されているかもしれないが、効率だけを考えれば、人に会う取材は非常に効率が悪い。本を読んだりネットの記事や書き込みを読む方が、情報収集の効率は遥かにいいだろう。だから僕も効率だけ考えたらひたすら図書館に通っていた方が広い情報を得られるはずだ。

でも目の前に人がいると(正確には今はほとんどZOOM、オンライン会議だが)、伝わってくるものがある。熱というか、心というか。インタラクティブでもあるから、深掘りしたい話題を掘り下げられる。一般化されない、証明もされていない、統計も出ていない、n=1でしかないが確実にそこに存在する魂の震え、そういうものに出会うことができる。

特に今回のような妊娠・出産のようなプライベートな話題では、直接取材は本当に意味があるなあと感じている。今日話を聞いた4人の違いと言ったら! お腹の子どもを愛せなかった人。十数年のトラウマに取り憑かれていた人。0.9%の奇跡を掴んだ人。母親や祖母への反動を感じていた人。キャリアを中断された人。自己実現できた人。子供を産むことで義務を果たしたような感覚を味わった人。

明日もまた頑張ろう。

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