PLAYNOTE 2年かけて描く「演劇・福島3部作」プロジェクト、はじめます

2016年12月02日

2年かけて描く「演劇・福島3部作」プロジェクト、はじめます

2016/12/02 12:03

あの日以来ずっと福島のことをきちんと、腰を据えて書きたいと考えてきました。私が劇作家である以上、避けて通れない話題です。私の母は福島・浪江町の出身で、父は原発に出入りする技術者でした。自分のルーツと深く関わることであり、だからこそじっくり時間をかけて取り組みたい。──なぜ福島はFukushimaになってしまったのか?

2016年の夏頃から本格的に構想をスタートし、書籍を読み漁る中で、大枠の構想が固まってきました。約2年の準備期間を設け、時間にして半世紀・3世代の家族の物語として、3部作構想で取り組みます。諸事情から完全に手弁当企画ですが、2018年に1万人規模での動員を目指します。

手始めに12/4(日)~10(土)までの1週間、福島県内をぶらり一人旅、現地取材してきます。福島に住む人・住んでいた人の視点はもちろん、東電や政府・原発関係者の視点も交錯させて描くこの作品は、日本の社会と政治経済そのものを振り返るものになるはずです。

第一次現地取材、旅程(今のところ)

今日ちょうど脚本を担当したホリプロ『わたしは真悟』の初日があけて、しかし年末にはもう次回演出担当作品・新国立劇場『白蟻の巣』の打ち合わせとお稽古が始まってしまう。今しかないから行ってきます。

12/04(日) 石川町(俺の幼少期の家があった)
12/05(月) 須賀川市(ばあちゃんが入院してた)
12/06(火) 郡山市(俺が生まれた街。親戚が今も住んでる)
12/07(水) 未定
12/08(木) 福島市(現地ジャーナリストの方と取材アポあり)
12/09(金) 未定
12/10(土) 未定

お袋の生家である浪江町や、劇団員・大原くんの実家のある南相馬とかも行けたらいいんだけど、まだ未定。また来年まとまって取材に行く予定なので今回はその下調べ。あまり予定を詰め込みすぎずに福島の風に吹かれて来る。

現地での様子は自分のTwitterアカウントなんかにつぶやくと思いますので、ご興味あればフォローしておいて下さい。

取材・その他協力者、募集

こんな方、大募集!

  • 話を聞かせてくれる人
  • 現地で会ってくれる人
  • 人を紹介してくれる人

ご連絡は当ウェブサイトのメールフォームからお待ちしております! そんな大層な話じゃなくていいのです。データや歴史は本を漁ればいくらでも出てくるのでむしろ、「わたし今、こんなこと思ってる」「こういう風に暮らしてる」、「あのときはこうだった」とか、そういう何でもない話が聞きたいのです。お茶でもしましょう。

何で三部作なのか?

ごめん、一本じゃ無理だ。事の経緯をきちんと追おうとすれば一本には収まり切らない。そして何となく最初の頃から、三世代・三家族の話にしたいなぁと直感があった。何故なら福島の人々が原発を受け入れた背景には、実は家族愛とか郷土愛という思いがどーんと横たわっている。「これで冬場、出稼ぎに行かなくて済む」とか、そういうね。

それぞれ独立して観れる作品にはするつもりです。『グリークス』三部作から古代ギリシャが立ち上がってきたり、チェーホフの四大喜劇から19世紀末ロシアの人々の生活が見えてくるとか、そういう感じ。そして数十年後、いや数百年後に上演しても理解できる形で作品にしたい。そうすればこの三部作が、おそらく数百年後の人々からは理解しがたい原発事故の読める記録にもなるだろう。

最終的な目標

いろんな人の生活や声・思いを丁寧に描くこと、そして演劇作品として面白い、質の高い作品にすることが一番の目標だろうか。お説教にもプロパガンダにもしたくない。俺は原発には反対だが、過度に政治的になって声高に反原発を叫ぶような作品にもしたくない。あの町に原発を誘致した人も、そこで働いていた人たちも、何も鬼や悪魔じゃない。普通の人間だったはずだ。そう、俺の親父みたいにね。

ちょうど先日うちのブログにも書いたが、今年公開の映画『この世界の片隅に』が実に素晴らしかった。いろんな事情で大手メディアじゃあまり大々的には取り上げられないけれど今や世間でも大評判ですね。広島県呉市に住んでいた普通の人間の生活を丁寧に描くことで、むしろ戦争の悲劇をよりシビアに伝えている。ああいう感じだ。映画としてのクオリティも素晴らしく高かったし、この福島プロジェクトでイメージしていたことと実に近い。

2018年の僕は、2月と3月、11月に仕事のオファーが内定しているので、その間を縫って夏頃に3部作連続上演を目指しています。劇団でやるのか、どこかとタッグを組んでやるのか、はたまたどこかのプロデューサーが手を挙げてくれるのか、劇場がついてくれるのか、一切わかりませんが、まぁいざとなったら手弁当でもやれるさ。こないだのDULL-COLORED POP『演劇』は劇団だけで3,000人動員できた(おまけにあの公演はチラシさえ刷っていない)。なら1万人くらいは目指せるはずだし、それくらいの人に見せる価値のあるクオリティの高い演劇作品にしたい。そうすることが一番、福島の思いを伝えることになる。

というわけで、日曜日から行ってきます。応援よろしくお願い致します。

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助成:公益財団法人セゾン文化財団

この一連の取材・研究は、セゾン文化財団からの支援を受けています。