PLAYNOTE ラース・フォン・トリアー監督『アンチクライスト』

2016年01月05日

ラース・フォン・トリアー監督『アンチクライスト』

2016/01/05 02:46

世界で一番好きな映画監督、ラース・フォン・トリアーの超問題作。なんのかんのあって見れてなかったので、年末年始の移動中に見たが、隣に人がいるにも関わらず何度も悲鳴を上げそうになった。残酷でグロテスクで狂気に満ちていて、しかし途方もなく美しい。

セックスの最中に子供が死んでしまった夫婦が、その傷を癒やすためにセラピーを始めるのだが、どんどんと妻の精神がおかしな方向に揺れていく。精神がおかしくなっていく、という言い方は間違いかもしれない。彼女の中に潜んでいた悪魔的な部分が少しずつ露呈していく。

女の中に住む悪魔。言葉にしてしまうと陳腐だが、それをラース・フォン・トリアーの言葉と画面の美しさが妙に鮮やかに描き出してくれる。映画とは基本的に現実のリアリスティックな描写に向いたメディアのはずなのだが、彼女の精神世界の歪んだファンタジーを感じさせてくれる。つまりこれは、映像による詩なのだ。

確実に万人受けはしない作品だが、好きな人はたまらなく好きだろう。そして僕は、この映画が大好きだ。