PLAYNOTE 村上龍『誰にでもできる恋愛』

2015年10月18日

村上龍『誰にでもできる恋愛』

2015/10/18 22:57

ごめんなさい、ブックオフで100円で買いました。しかし、たった100円で買った一冊に、途方もなく励まされた。

中身は、まったく恋愛の話ではない。『すべての男は消耗品である』と似たような村上龍節だらけのエッセイだ。内容も似ている。いい恋愛をするためには、自立した人間にならなくてはダメだし、自立した相手を選ばなければならないし、結局はいい人生を送るためには、何と戦わなければならないか、というようなことが延々と書かれていた。

勘違いしないで欲しいが、成功者というのは、いい大学に行き、大企業や有名官庁にいる男ではない。仕事へのモチベーションを持ち、充実した人生を持っている人のことだ。

村上龍のエッセイは、読むといつも元気になる。それは彼が珍しく、真っ当に物事を言う人だからだろう。挑発的とか喧嘩腰と思う人もいるかもしれないが、僕はそうは思わない。彼の視点から見て真っ当だと思われることを、ストレートに書いているだけだ。同調圧力の強い日本では、村上龍の極めて自立的な、己自身の生と欲求を貫く生き方の提示や、くだらないものを「くだらない」と切り捨てる言い方は、批判・炎上を呼びやすい。だけど彼は、真っ当に言論するということを貫いているだけだ。

夫に頼り切った主婦より、売春婦の方がわたしは好きだ。……人に頼られるということの中には歪んだ快楽が潜んでいる。……大昔からの共同作業の名残は、他人から尊敬される、社会から有用だと思われる、という快楽の中に残っている。

しかし彼は、好戦的に見えて実はとても優しい、人道的な人だと思う。優しいとか人道的という言葉が彼に似合わないなら、フェアだとでも言おうか。フェアに自分の正義感や美学、倫理に基いて振舞っている。

大切だと思う他人のために何かできることがあるということよりも大きな喜びは、他にあまりないとわたしは思っている。他人が自分のために何かしてくれることよりも、自分が他人のために何かをなしうることのほうが、贅沢な喜びなのだ。

タイトルの付け方は商売人根性が出ていて嫌らしいけれど、読んでいて鼓舞される内容であった。