PLAYNOTE 『従軍中のウィト(略)』プレ稽古初日メモ

2015年09月09日

『従軍中のウィト(略)』プレ稽古初日メモ

2015/09/09 01:26

テアトルドアナール『従軍中のウィトゲンシュタイン(略)』のプレ稽古が始まった。その帰り道でブログに書こうと思ってとったメモを乗せておく。推敲してる暇は、なかった。ごめん。

ウィトゲンシュタイン、プレ稽古&読み合わせ終了。読み合わせが始まるほんの少し前まで、ずっと頭の中では初演の作品を一緒に作り上げた愛すべき仲間たちの声が聞こえていた。これを消すのは容易ではなかろう。そう思っていたが、やはり、目の前に人がいるということは強い。新しい座組の声が、俺の頭の中にいた声たちをひとまず静かにしてくれた。とても希望の持てるプレ稽古であったと思う。

一昨日まで『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』ツアーをやっていた。さすがに忙し過ぎるから、このタイミングでプレ稽古というのは精神的にキツいものを感じていた。一度、制作の小野塚さん経由で、時期ズラせないすかねー……? なんて相談したりしたこともあったが、結果的には早めに一度、読み合わせをしておいて良かったと思う。こういうとき、第三者の意見と提案は、正しいことが多い。自分の視点からでは決して見えないものがある。

ヘトヘトだったがニコニコ稽古場へ行って、コツコツメモを取りながら、一つ一つ台詞を聴いていて、3年前の自分の気迫と覚悟が伝わってきた。あのときもボロボロだったが、作品を書くという覚悟に則り、出来る限りの努力をして、文字通り歯を食いしばりながら本を書いていたっけ。当時は「こんなに努力して、こんなに史実に正確に、しかもこんなに細かく書いたって、誰もわからない。お話さえ面白ければ、いいじゃないか。引用文や地名・年号が間違っていたって誰もわからないのだから、適当に書いちゃえよ」と、頭の中で小悪魔のささやくことがあった。しかしそれは間違いだった。3年後の俺は、3年前の俺のこだわりに、一言で言えば感動した。あのとき努力しておいてよかったと思った。

演劇を続ける上で、一番大事なのは結局、結局は覚悟なのだ。そして覚悟を証明できるのは時間でしかない。こだわりを維持する、こだわり続けるという時間を通じてだけ証明される覚悟がある。

ウィトゲンシュタインは、記述において完璧に簡潔で完璧に正確な文章を好んだ人だった。だからこそ私も、その簡潔さと正確さに敬意を表して、戯曲にも(一見不必要にさえ見えるレベルの)正確さを求めたのだった。

本稽古が始まれば、とても神経質な稽古が続くだろう。いい準備をしたい。

これは、覚悟の問題だ。