PLAYNOTE 若い俳優志望は、なぜ演劇を勉強せねばならんのか

2015年06月12日

若い俳優志望は、なぜ演劇を勉強せねばならんのか

2015/06/12 00:12

若い俳優志望は、なぜ演劇を勉強せねばならんのか。一義的には答えるのは簡単だ。「それがお前の専門だから」。しかし、それと同時にいくつか理由はある。

あなたはこの秋、演劇を愛している人々と仕事をするはずだ。そのときに、「昔の作家とか演出家とか俳優とか、一つも知らないです☆ でも演劇好きです☆」と発言することは、命取りになる。それは、「ショパンもモーツァルトもビートルズもチャーリー・パーカーもNirvanaもボブ・マーレーも何も知りません☆ でも音楽好きです☆」と言っているのと同じことだ。すなわち、「わたし、何も知りません」「本気じゃないです」と宣言するようなものだ。

別に昔の偉人の業績を目の当たりにして、勉強しろとか真似をしろというつもりはない。つもりはないが、そのジャンルについてまるで無知の人間が「演劇好きです」と言ったとしよう。それは単なる、人前に出たい欲求であり、漠然とした憧れに過ぎない。

僕が演劇マニアとして暮らしてきて、興奮するのは、10も20も30も年の離れた人と話していて、俺の知ってる唐十郎とか寺山修司とかつかこうへいの裏話を聞かせてもらうときだったりする。いろんなことを聞いた。だがそれは、俺だけの宝物に閉まってある。同じことなのだ。本当に演劇・演技が好きならば、それだけで「お前は仲間だ」と言われる可能性が高くなる。

そんな実用性重視の考え方をせんでも、自分の好きな、感動した作品について、年の離れた人と語り合えるという経験は替え難い。そして我々若手はどこまで行っても若手なのだから、先人から学ぶことは本当に大切だ。

俺は幸いなことに、同世代にまともに勉強してる奴が一人もいなかったので、今、「ちゃんと演劇を勉強し、知っており、現場でもアクティブな人」という立ち位置を得ている。しかしなぁ、勉強は誰だってできるんだよ。図書館行けば、数千円の本がタダで読めるし、勇気を出せばたいていどんな現場にだって潜り込める。

夢は決して逃げない。夢絵から逃げるのは、いつだって己自身だ。