PLAYNOTE 映画『ヘドウィグ』『シカゴ』『ヘアスプレー』『バーレスク』

2015年05月09日

映画『ヘドウィグ』『シカゴ』『ヘアスプレー』『バーレスク』

2015/05/09 08:36

最近わけあってエンタメ映画を観るようにしている。朝ジョギングして帰って来てから、朝飯食いつつ風呂入りつつ観ているとちょうど一本観終わるので、一日一本ずつ。ここ数日はミュージカル映画を観ていた。あれだな、朝にミュージカル映画観ると無駄に一日がポジティブになるね。

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『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』

たぶん10年ぶりくらいに観た。こんなに面白かったっけ? こんなに芸術的だったっけ? 3cmだけチンポコ残っちゃった旧東ドイツのオトコオンナが……という設定だけでも十分面白いのだが、男と女の境界線と、ベルリンの壁で分断された世界という二つのモチーフが複雑に絡まり合って、半ば思想的・哲学的なものさえ感じる。主演のジョン・キャメロン・ミッチェルの鬼気迫る演技は圧巻。美しい命懸け。曲も素晴らしいが、ポストモダンチックなアートディレクションに見惚れる。

『シカゴ』

言わずと知れたアレだけど、これも10年ぶりくらい? 留学する前に観て感動し、渡英してからロンドンはウェストエンドで生を上演を観たら、映画の方が面白かった。改めて見返すと、すさまじいテンポの良さで全く飽きさせず、ある種ケレンを感じさせる「これぞミュージカル」って華々しさや飛躍を感じさせてくれる。演出は本当にセンスがいいし、キャサリン・ゼタ=ジョーンズとクイーン・ラティファの演技にはしびれるね。エンタメ中のエンタメだが、突き抜けて出来がいいので芸術的な美しささえ感じるよ。退廃的で悪漢小説のような筋書きも好きです。

『ヘアスプレー』

何か有名だけど観てなかったので観た。スターに憧れるデブが頑張るうちに人種差別まで打ち砕いてしまう凄まじいストーリー。冒頭、デブが通学しながら歌い踊りまくるシーンで爆笑しつつ「いいぞ、もっとやれ」と心から応援した。ミュージカルは突然歌い出すから変、なんて言う奴は、ずっと平田オリザと小津安二郎観てろよ。空想で現実を塗り替えていくのが芸術の力なのだとしたら、確かにこの作品にはそれがある。荒唐無稽な展開が多々あるけれど、荒唐無稽過ぎて弱点になっていない。個人的に60年代のサウンドとかダンスは好きなので、そこもポイント高かった。しかしアメリカってあんなクソだったのか?

『バーレスク』

ド田舎の少女が都会に出てきてバーレスクでスターになりイケメンの彼氏まで手に入れる、という、恐らく世界中に何千万とあるであるわっかりやすい筋書きだが、そんなことはどうでもいい。ダンスと歌が圧倒的に素敵。いや、正直に言おう。俺はガーターベルトが大好きなんだ。ベビードールとかも好きなんだ。エロいと言うより、男性が女性に求める母性と娼婦性のうち、後者を追求し美的に洗練させたのがガーターベルトだと俺は信じている。しかし主演のC・アギレラとシェールの歌は圧巻。こんな歌、生で聞かされたら通っちゃう。レトロスペクティブで退廃的なバーレスクの雰囲気も魅力。

ミュージカルは突然歌うから……

私見だが、「ミュージカルは突然歌い出すから嫌い」と言われちゃうミュージカルは、展開とか演出が下手くそなんだと思う。繋ぎが下手だから突然歌い出したように見えるんだよね。いいミュージカルなら、歌い出すとゾクゾクするし、「待ってました」とか「そうだよ、ここで歌ってくれなくちゃ」みたいに思えたり刷る。

自分がミュージカルを演出するときは、音楽が流れたから歌うんじゃない、とよく言う。俳優の中で何かが高まったから音楽が流れ、歌が始まる。そういう意味では独白と同じだ。ミュージカルで音楽が鳴り始めるのは、音響さんがスイッチを押したから始まるのではない。スイッチを押すのは、舞台上の俳優なのだ。

そのうちまたミュージカルやりたいな。高齢化社会だし、ホスピスとか老人ホームを舞台にした奴やろうぜ。井上さんがまた徘徊しちゃった! とか、山下さんがまた食堂でお漏らししちゃった! とかで歌を歌いつつ、ジジババ同士で恋に落ちるわけだな。意地悪な息子夫婦も出てくるだろうし、慰問でマジシャンやミュージシャンも登場するね。最後は幸福な死を描かなければならないから、意外と哲学的な話になるかもしれない。