PLAYNOTE TSA、ありがとうサヨウナラ

2014年11月29日

TSA、ありがとうサヨウナラ

[公演活動] 2014/11/29 02:33

TSAことトーキョー・スラム・エンジェルス、ご来場頂いた皆様、ありがとうございました。以下、いつもの振り返り記事。

メルクマール、っつーカッコいいけどよく意味のわからない単語があるが、僕にとってTSAは演劇人生における一つのメルクマールだ。確実に今までの演劇人生経験値が反映されているし、確実にこれから発展させられる挑戦もした。確実に成功した点もあるし、確実に失敗した点もある。一言で感想を言えば? と訊かれたら「マジさいこー」くらいで言えちゃうけれど、論文三つくらい書けそうだ。三つ。

  • 資本主義というシステムがア・プリオリに持つ本質について
  • 俳優について
  • ぼく、谷賢一という作家・演出家の今とこれからについて

三つ目はさらに三つくらいの論文に分けられるかもしれない。それくらい発見の多い公演であった。ほら、いいんだよ、これで。俺は作家で演出家だから、きっと誰よりもこの作品に時間と体力を使っただろう。でもその分、誰よりも得をしたんだ。

思い出話や回顧話に花を咲かせれば、キリがない。「2014年の一本は?」と訊かれたら、実は俺は「河童」と答えてしまうだろうが、語れることは河童より多いかもしれない。それは、多くの人生と深くクロスしたから、湧き出てくるエキスだ。

特定の俳優について、あるいは特定のスタッフについて語り始めると、なんだかえこひいきみたいになっちゃうから、それはやめておこう。ただ、とても素晴らしい、今後の10年・20年の友となるような、そんな仲間を見つけられたことは、本当に嬉しい。

そうさ。演劇を作るってことは、仕事だけれど、仕事じゃないのさ。好きな仲間、気の合う仲間とやりたいし、嫌いで気の合わない奴でも死ぬほど実力があれば、仲間になれる。本気の遊びは仕事になるし、本気の仕事は、遊びのような面白さが湧いてくる。

上演中にGDP二期連続マイナス成長が発表され、増税繰り越し、解散総選挙と、トントン拍子に東京が、劇中で描いた様子に一歩二歩と近づいてしまった。このタイミングでの増税繰り越しは経済のことを考えればやむを得ないのかもしれないが、結局ツケを先延ばしにしたという点では変わらない。それより何より、日本という国が、明確な成長戦略・成長産業を持っておらず、どんどん弱体化しているという点も変わらない。未来は僕らの手の中、にあるはずなのだが、あんまり手に入れたくない未来が待っている。

生きてることが大好きで 意味もなくコーフンしてる
一度に全てを望んで マッハ五〇で駆け抜ける
くだらない世の中だ ションベンかけてやろう
打ちのめされる前に 僕等打ちのめしてやろう

未来は僕等の手の中!!

誰かのルールは要らない 誰かのモラルは要らない
学校も塾も要らない 真実を握り締めたい
僕等は泣くために 生まれたわけじゃないよ
僕等は負けるために 生まれてきたわけじゃないよ

(ザ・ブルーハーツ『未来は僕等の手の中』より)

リリースは1987年、おれがまだ5歳、まだ昭和、バブルも弾けてない頃だね。しかし歌のすごいところは、時代を超えちゃうところだね。時代を超えた上で、今聞くと、励ましの歌のようにも聞こえるし、壮大な皮肉のようにも聞こえる。だけど歌は、いつも力強い。

そんな、歌のような言葉、歌のような瞬間を、これからも追い求めて、お芝居やっていきたいもんですね。

トーキョー・スラム・エンジェルス。あの天使たちが、この東京に舞い降りないことを祈りつつ。

そして、ありがとうサヨナラ円形。僕は君と2回、仕事ができた。一生、誇りに思うよ。お前がいなくって本当にさみしいと、お前が死んだ後も折に触れ、言い続けてやるよ。お前からもらったものを、俺が生きてる限り、大切にするよ。

ありがとうサヨナラ、TSA。