PLAYNOTE 4月の僕

2014年04月07日

4月の僕

[公演活動] 2014/04/07 03:06

今月は本当に、変な月だ。ひたすら、書き続けている。

こんなにスケジュール帳がガラガラなのは空前絶後、あり得ない。しかし、それでも時間が足りない。

  • 7月のダルカラ本公演『河童(仮)』の上演台本を、今月中に完成させたい。
  • 8月にKAATで白井晃さん演出で上演される『Lost Memory Theater』のテキストを、膨大に書きまくっておきたい。
  • 11月に上演予定のThéâtre des Annales次回公演の上演台本を、今月中に完成させたい。

もちろん5月の『プルーフ/証明』の下準備も進めておかなければならない。予定ガラガラなのに、心だけは超、焦っている。

ついさっき、白井さんに渡すテキストを10ページほど書いて送った。Lost Memory Theaterでは、テキスト、振付、音楽という要素を、白井さんが自由に引き出しながら構成・肉付けしていく、というような作り方になりそうだ。なので、ボツを恐れずどんどん書いて、使えるものだけ生き残ってくれればいいんだが、しかし「ボツでもいいや」なんてスタンスで文章は書けるもんじゃない。僕なりの本気玉を放るためには、まだしばらく失投を恐れずにどんどん投げて、どの辺の球種で白井さんと波長が合うか、探る必要があるだろう。

三宅純さんの『Lost Memory Theater Act 1』というアルバムは、恐ろしいアルバムだ。聴く度に違う風景が見えてくる。こういう、音楽ならではの抽象性を持ったアルバムを、言葉という意味の怪物で固めていくというのは、何だか不遜な感じさえする。でも、書かなきゃならん。言葉にしないと、キャッチボールができない。自分が見透かされているような感じ。この音楽から、何を想起するのか? 試されている感じもする。もっと書かねば。

7月・吉祥寺の『河童』は、再来週くらいには全貌が公開できると思うけど、まぁ大掛かりな作品になりそうで、そのためにも今月中には台本を仕上げて、各セクションに知恵を絞ってもらう、という流れを作りたい。こないだ下見に行って来た吉祥寺シアターは、まぁ限定しようと思えば限定した空間として使えるんだろうけど、想像力次第でどこにも飛んでいける、可塑性の高い空間の使い方をしたいと思っている。各スタッフのクリエイティビティを最大限に引き出す演出家としての手腕が試されることになりそうだが、そんなことよりもさっさと台本を上げてしまうことがとにかく大事だ。こればっかりは、一人の作業になる。早めに「台」があれば、スタッフもキャストも、知恵を絞れる。

年末に上演されるアナールの新作も、「資本主義」というよくわからねぇでかさの主題を扱うことになる大作で、本当に考えていて脳が疲れる。もちろん観る側にも、気持ちよく脳みそに汗をかいてもらう作品にはしたいが、小難しい話にはしたくない。『ヌード・マウス』『従軍中のウィトゲンシュタイン』の路線を継承しつつ、よりダイナミズムのある作劇をしたい。つまり、そのためには、もっともっと考えなければならないということだ。考え抜いたことでないと、わかりやすくは書けない。

もう少し、自分に甘くなりたい。なんて書くと方々から石を投げられそうだが、一行、一文字、一単語書くごとに、「本当にそれでいいのか?」と、もう一人の僕が声を上げる。その台詞、クールか? 洒落てるか? 人間的か? 文学的か? 演劇的か? もっといい書き方はないか? いや、そもそも、そのプロットは、本当に合っているのか? ──創作をしていると、どこかでブレイクスルーを迎えるものだが、そのブレイクスルーを迎えるまでは、本当に苦しい。「多分こっち」と思って懸命に走るわけだが、そっちに本当に宝の山があるかどうかは、見つけてみるまではわからないし、そのためには「絶対こっち」と思って懸命に走り続ける他ない。

先日、とても嫌な夢を見た。詳しくはここには書けないが、僕の人生にこびりついてしまった垢と言うか、傷と言うか、そういうことに関する夢だ。老齢を迎えた人が、「もう人生、いいかな」「十分生きた」って思う気持ちが、僕にはちょっと理解できなかったんだけど、ちょっとずつわかりはじめている感じがする。さっき書いたような垢とか傷とか、それは生きている間にいくらでも増えていって、減ることはない。荷物が増えていく。どうしても捨てられない荷物が。その重たさに耐えかねて、「もう人生、いいかな」って人は思うのかもしれない。

荷物を捨てることは、できないだろう。どんなに汚らわしい荷物でも、それを捨ててしまったら、自分ではなくなってしまう。

明日は打ち合わせが2件入っているので、人と喋る日であるが、基本的には「さーて、次の一行、どうすっかな」と考えながら、高円寺や池袋をうろつき回ることになる。野菜をたくさん食べようと思う。健康、第一。体が、資本。なんて言いつつ、なめる酒は、どう言い訳すればいいものやら。なぜ自分の肝臓が爆発しないのか、本当に謎である。