PLAYNOTE 城崎の昼、豊岡の夜

2014年03月28日

城崎の昼、豊岡の夜

[公演活動] 2014/03/28 23:02

2014年6月。豊岡市に劇作家が100人単位で集結する、劇作家大会なるイベントがある。僕も参加予定で、山崎彬くんと二人で一本書き下ろして、玄武洞っつー天然洞窟で作品を上演するつもり。その下見ってことで、豊岡市へやって来た。

豊岡市、のことは、実はぜんぜん知らなくって、近くに城崎温泉がある、と聞いても、やっぱり例の「城の崎にて」が思い出されるだけ、ってくらいに無知だったんだけど、来てみてとってもいいところ。

昼に、改装中の城崎国際アートセンターを下見に行って、センター自体もとっても綺麗かつモダンで気に入ったんだけど、それ以上に城崎の街がやばい美しい。あれは何だろう? 柳みたいな、枝垂れ桜みたいな樹の枝が、街の真ん中を流れてる川の上を飾っている。温泉街というより城下町に近いような上品だけど賑やかな街並みで、「僕ここ好き」と、一目惚れ。街の空気がゆっくり、ゆったりと流れていて、街全体がおしとやか、って風なんだな。

できれば作品なんか作らないで(笑)、ただ静かに、ゆっくりと風の匂いでも嗅いでいたいけれど、もちろん作品作りを頑張るつもり。こんないいとこに呼んでもらえたのは、要は、僕が劇作家だからだしね。楽しいスリリングな野外劇を作ることで、少しでもこのおしとやかな街に恩返ししたい。

上演会場となる玄武洞に行ってみて、もう圧倒されてしまった。高さ何十メートル? わからないけれど、でっかな、玄武岩の岩壁が斜めにせり出していて、その下に立つと、人間って何てちっぽけ、とても太刀打ち出来ない。岩壁をたどって、湧き水なのかな、水がさらさら流れていて、淡々と続く水の音がとても美しく、静寂を際立たせている。沈みかけた夕日がかもす「マジック・アワー」の幽玄な美しさに気持ちを漂わせながら、この巨大岸壁に負けない芝居、負けない人物、負けないシーンは、どうやったら作れるかなと、頭を抱えた。

夜は豊岡市の人々と居酒屋で一献。僕は昨夜、渋谷で横ちん先輩とK.Y.さんとT.F.さん、S.O.さんとばったり遭遇して、打ち合わせだったはずの福本・藤井を巻き込んで完全に泥酔・撃沈してしまい、かなり体調が悪かったものだから、静かに穏やかにレモンサワーなんか飲んでいたんだけど、どのお料理もおいしかったな。まずびっくりしたのが、ホタルイカのしゃぶしゃぶ。何だこれ! おしゃれ! おいしい! 続いて「ぐべ」というマボロシの魚を頂く。ゼラチン質の、ふにゃふにゃしたゼリーをまとったウナギみたいなお魚で、こいつをさっと揚げてあんかけを絡めたものを食べたのだが、魅了された。世の中、本当に広いですね。こういうものが、こういう魚が、いるのかー。

豊岡では劇作家協会会長坂手洋二の弾丸トークに蜂の巣にされ、二年ぶりくらいの再会、青年団の西山さんと話に花を咲かせ、豊岡市の人々とも演劇やアートのことについて話し合った。豊岡市は、豊岡市なりに、危機感がある。温泉だけなら他にもある。今さら「城の崎にて」だけじゃ、文学の街だなんてうそぶいても始まらない。じゃあ何ができるだろう? というところで、アートという選択肢を選んだのは、僕はとても慧眼だと思う。地面ひっくり返して無駄なダムを作って、無理やり土木産業を起こしたり、いつまでもバブルの前の夢に浸ってちゃあ、お先は真っ暗さ。豊岡に限らず、日本は、この潤沢な観光資源を最大限に活用すると同時に、文化と芸術の国づくりに舵を取るべきなのだ。そのフィールド上でなら、日本はまだ世界と戦えるポテンシャルをいくらでも秘めている。

明日は城の崎にてさらりと温泉を浴びてから帰京するつもり。小田島雄志先生がやっている定例飲み会に参加させて頂くつもりだ。もちろん、移動中にはちょっとでも原稿を書き進めたいね。

6月の劇作家大会。これね、今発表されてるだけでも、こんだけ参加する。

赤澤ムック、青木豪、小栗剛、長田育恵、オノマリコ、鐘下辰男、北村想、釘本光、鴻上尚史、小谷陽子、坂手洋二、瀬戸山美咲、佃典彦、土田英生、内藤裕敬、永井愛、中津留章仁、楢原拓、羊屋白玉、平田オリザ、堀川炎、マキノノゾミ、松枝佳紀、丸尾聡、山森信太郎、横内謙介、わかぎゑふ、渡辺えり、 石原燃、岩崎正裕、奥山雄太、鹿目由紀、くらもちひろゆき、黒川陽子、小松幹生、ごまのはえ、坂本鈴、棚瀬美幸、田辺剛、谷賢一、南参、西山水木、樋口ミユ、平塚直隆、藤井友紀、矢内原美邦、山崎彬、横山拓也

演劇好きは是非参加するといいと思うし、豊岡、城崎、いい街だから、是非おいで下さいませ。