PLAYNOTE Aからの電話

2013年09月24日

Aからの電話

[雑記・メモ] 2013/09/24 00:48

昨日の稽古中かな。電話がかかってきたんだ。俺のポケットの中で、ブルブルと。稽古中に電話がかかってくることなんか、よくあるんだ。大抵はさ、クロネコヤマトさんだったり、次々回公演の制作さんだったり、ツアー先の劇場さんだったり、雑誌の人だったり、なもんだから、「あと10分もしたら休憩入るから待っててねー」なんて思って、俳優2人を見つめていたんだ。

でも、休憩に入って、留守電の名前をチェックしてみて、とんでもない間違いをやらかしたことに気がついた。着信履歴に表示されていた名前は、あのアキラからのものだったんだ。山崎彬、ではなくって、もう1人、僕が本当に世話になった、そして愛すべき、僕の人生におけるフィクションのようなアキラからのものだったんだ。

ここから先は、すべてフィクションです。

それはもう5年前とかになるのかな。ある○○で○○な時間を過ごした僕とアキラは、それなりに仲良くなった。アキラは本当に音楽の趣味が良かった。幅広く聴く。J-POPも聴くけど洋楽にも詳しいし、Jazz、レゲエ、HIP-HOPやラップ、クラブ、テクノ、、もちろんロックンロールもガレージロックもパンクロックも何でも聴くし、と思ったら川村カオリを薦めてきたり。

要は、信頼できる友達だった。ロックだけゴリ押し、でもなく、音楽というものをきちんと幅広く聴いて、自分の琴線にきちんと触れたものだけを、薦めてくれる友人だった。30分くらいの沈黙の後で一言、奴がポエティックなことを言って、それに感動する俺がいる、とか、そういう奴だったな。

だけど彼とは、最近まったく連絡がとれていない。僕が一つ前の家、方南町に越した時には、一日中手伝ってくれて、一緒にお酒を飲んでくれた。その後も特に用事もないのに来てくれて、一緒に音楽を聴いてくれた。だけどそれ以来、ほとんど連絡がとれていない。

2010年くらいに1度だけ連絡がとれた際には、六本木でナンバーワンの盲目のホステスと付き合っている、という話をしていた。僕はその話にとても興味があったんだけど、それ以来連絡がとれていない。一度も。昔は四国でヤクザをやっていたらしい。その後、東京に出てきてボーカリストになった。そのさらに後、俺と一緒に○○をやった。変な男だ。

そんな奴から電話があったのに、とれなかった。で、折り返して、留守電まで入れたけど、返ってこない。あいつは捕まらない。霞のような、幻のようなやつだ。そんな千載一遇のチャンスを、のがしちまった。

きっと今もどこかで、風を食べて生きているんだろう。新宿のビル街、目黒のビル街の真ん中で、風を食べて生きているんだろう。空っぽであるということを噛み締めて、そこに味を味わっているような男だ。

できることならもう一度会いたいけれど、こういう奴に関して言えば、会えなくたって構わない。実在していなかったとしても、もう死んでいたとしても、構わない。僕の人生にとって、忘れられないAの話だ。