PLAYNOTE 風景に関するメモあるいは日記

2013年04月17日

風景に関するメモあるいは日記

[雑記・メモ] 2013/04/17 02:45

池袋の雑居ビルの4階にキツネ子ちゃんは住んでいて、僕は生まれて初めてキツネと会った。僕は緊張してうまく喋れない。しかしキツネが調子に乗り出すと、僕も「しょせんはキツネだ」と開き直り、少しずつ大胆に、キツネの尻尾を細かく細かく切り落として行って、食べた。キツネは柑橘系の果物と一緒に煮るとおいしいと聞いたからそうしたんだけど、どうにも不安で、おいしくなかった。キツネはぺこりと頭を下げて葉っぱを一枚くれたけど、僕はそれを見るたび切り落とした尻尾の絵面が蘇ってきて悲しくなりそうだったから、捨ててしまった。

同じく池袋のとあるラーメン屋の地下に2匹のタヌキが住んでいて、僕は生まれて初めてタヌキの尻尾に触ったんだ。30分くらいお話して、東京の空も実に複雑な様相を示すようになったなぁと感じ取った。2匹のタヌキは2人とも北の方の山に暮らしていて、ときどき町へ出てきて遊ぶらしい。僕はむしろ山で彼らに会いたかった。2匹とも気立てのいい、日本語の上手な奴らだったし、その何でもないお喋りに僕はとても気分をよくしたが、道端では人に化けているらしいから、会っても気づかないだろう。人に化けるタヌキ。それは、タヌキにもなれる人間なのか? それともやっぱり、人間にばけるタヌキなのだろうか?

同じく池袋の駅前に宮崎産のおいしい小料理屋を発見して、いろいろ食ったけど、結局のところ日向夏サワーと自家製みそが一番おいしかった。帰りしなに「おみやげにどうぞ」と自家製みそを少しだけタッパーに入れて分けてくれた。階段を登ると空はすっかり暮れていて、やはり複雑な雲がぽんと浮かんでいたけれど、実に美しい夜であった。大きなロボットがビルの影に腰を下ろす姿が、とても印象に残っている。

この街に暮らして2年ちょっとが経つ。大嫌いだったこの街にも随分慣れた。未だに西口と東口を間違えてしまうが、まぁどうでもいい。それは生きていく上では瑣末なことだ。一番大事なことは、街のゴミ溜めの中に美しさを見出すということだ。どんなに汚い風景の中にも、愛すべき小動物はいるし、おいしいおミソもあるし、巨大ロボットも待ち構えている。