PLAYNOTE 豊田正義『消された一家―北九州・連続監禁殺人事件』

2013年01月26日

豊田正義『消された一家―北九州・連続監禁殺人事件』

[読書] 2013/01/26 01:01

絶対に、読んではいけません。

猟奇殺人、サイコパス、シリアルキラー、大量殺人、未解決事件などが大好物の僕ですから、もちろんこの事件のことは知っていました。ただ、この本を読んだことがなかっただけです。

事件の概略は、こうです。1人の男が、7人もの男女を殺しました。1度たりとも直接手を下さず、1度たりとも直接「殺せ」と命令せず。そして1つの物的証拠も残さないまま、7人もの男女はお互いに殺し合い、全員が死にました。そのうち6人は、家族でした。

嘘だろ? って話です。ぜひジャック・ケッチャムに教えて長編小説化して欲しい事件です。僕も概略は知っていました。旅先の本屋で手に入れて、寝る前に読んでいたら、この僕が眠れなくなりました。あまりの残虐さとキチガイぶりに。

「人間の仕業とは、思えない」「これでも人間でしょうか」という決まり文句があるでしょう。あの言葉を聞くたびに僕は、「人間だから、それをやってしまうのさ」「それが、人間なのだ」と思う。世の大半のシリアルキラーは、まぁ許すことはできないにせよ、理解はできる。

僕にとっての数少ない例外の一つが、この事件の主犯格である松永太という男だ。あまりに頭が良すぎるし、あまりに大胆すぎるし、あまりに豪胆だし、そしてあまりにも人間らしさを持っていない。ふつう、弱かったり、間違っていたり、歪んでいるからこそ「人間だ」と言える、僕はそう思うんだけれど、こいつは違う。すっごいよ。100%の犯罪マシーン。

どうやったら家族7人を狭いアパートに監禁し、互いに監視し合わせ、買い物には行かせても脱走はさせず、互いに殺し合いをやらせて、死体を刻んで煮込んでミキサーにかけて便所に流して、という処理まで互いに協力してやらせて、最後は全滅させる、なんてことができるのか? この本読んだら、よくわかったけど、よくわかりたくなかったな。殺させた松永は、人間のイレギュラー、例外だと思って理解できる。でも殺し合った家族たちは、至って普通の人間たちだ。ちょっと背中を押せば誰だって犯罪者、人間なんてそんなもんだと思うが、こんな殺し合いをやれるだなんて。

本当に気分の悪くなる、劇薬読書体験でありました。