PLAYNOTE 俺と彬だけ、あがさも酒もない

2012年12月24日

俺と彬だけ、あがさも酒もない

[公演活動] 2012/12/24 03:14
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稽古風景写真 by mao。手前が俺。

俺とあがさと彬と酒と。という企画名のはずなのに、酒を飲まなくなってから2週間くらい経つ。って言うか、ちゃんと「酒」がメンバーだったのは最初の2日間だけであった。あとはひたすら、演劇ばかりやっている。当初は「酒でも飲みながらリラックスして一日中演劇の話してれば、俺と彬から、何か新しい創作アイディアが出てくるはず!」って設定だったのに、開始2日で「これやろう」ってのが決まってしまったから、酒は早々にドロップアウト。今俺は寝る前の晩酌、ほんの一杯だけ飲んで、明日の稽古に備えている。

そして今日は、岡田あがさオフ日ゆえ、俺と彬の2人稽古であった。俺とあがさとと酒と。企画名に偽りアリまくりだが、マンツーマンの濃密稽古は、本当に豊かだった。

俺が彬に演出つける、『ふたりマクベス』

山崎彬は俳優として潤沢過ぎる。ポップだし、力強いし、柔軟だし、クレバーだ。今日はマクベスの独白部分を稽古したが、一度オーダーをするとすぐ飲み込み、次の返しでは演技プランにきっちり落とし込んでいる。この対応力の速さは、すごい。正直言うと、もっともっと、面倒くせぇ役をやらせて、彬が「ぐぬぬぬぬ、谷くん、これはできんよ」となっている姿を見たかった。が、軽々とマクベスという役を身に着けている。

お互い、表現は違うが、同じことを喋っていることが多いらしく。

俺「ここはもっと受け身の台詞にしたい」
彬「わかりました」
俺「彬くんの言い方で言うと……」

とか、

彬「今、やってて、違和感なかったでしょ? 繋がるってそういうことだよ」
俺「はい、わかりました」
彬「さっき谷くんも言ってたけど、(黒板に先ほど俺が描いた絵を指さし)そう、これ、まさにこれだよ。プランなんて所詮プランだ、利用してやればいい」

とか、先ほどの相手の演出を引用しつつ演出する、という、意味不明な光景が何度も繰り広げられている。

彬が俺に演出をつける『マボロシ兄妹』

俺はこいつに俳優として出演しているのだが、弱音は言わない、絶対負けない、しかしすげー大変な本であり、かつ俺の俳優としての経験値不足もあり、大変な苦戦を強いられている。行き帰りの電車や自転車ではずっと録音した自分の声を聴き続けて台詞をより確かにし、録画・録音した稽古の様子を見返してひたすらに研究している。僕は演出家だから、映像を見れば「あ、ここダメだね」ということはすぐわかる。それを腑に落とす、身体に落とす、というのは、また別の作業だ。

というわけで今日はひたすらに彬先生にマンツーマン稽古をつけて頂いた。彬という男は快男児である。俺がしくじっても、「うん、ダメだったね。でもここは繋がったでしょ」とか、「オーケー、出だしはよかった。そこから始めて。だけど次の切り替えのためにはもっと大きなものを用意して……」と、じっくり、じっくり、稽古をつけてくれておる。

「演出家にできるのは、せいぜい感想を言うくらいだからね。結局は、俳優がやるしかない」

彼がそういうのは、俳優も演出も劇作も1/3ずつやるのではなく、そのすべてを全力でやっている作家・演出家・俳優としての山崎彬であるからだろう。俳優にしかできない仕事、というのを彼はよくわかっていて、そのために演出家がやらなければならないこともよくわかっている。

僕はと言うと、今日はもうひたすらに彬の言葉を信じて、言われたことを素直に信じ、「はい、やります!」とお返事して、即座に返す、どんどんやる、そういうスタンスで臨んでみたが、彬という男の恐ろしいところは、「よくなった、さっきより全然いいよ」と言いつつ、「でもここがダメだからもっかい」と、エサをぶら下げ、ムチを打つ、バランス感覚になるのだろう。俺は俺で、まだまだ負けない、どんどんやる。

今回、彬くんは、ふだん演出家である俺にしかできないような役、谷賢一にしかやれないような役、ということで、いろいろな試みを書き下ろしてくれておる。俳優の長所を生かし、短所を殺して見せる。「結局は俳優が素敵に見えることが一番だから」と何の迷いもなく言う彼は、実にバランスのとれた演出家だ。演劇を信じている演出家だ。

山崎彬のマンツーマン稽古を今日は6時間くらいつけてもらってしまったが、これはもう、金払った方がいいくらいありがたく、身になることであった。明日までにもっと腹に落としたい。

ロング・ロング・パンフレット

今日は会場で販売される、ロング・ロング・パンフレット用の対談も収録した。「まぁ、1時間もかからないよね」と言って録り始め、結局2時間以上喋り倒してしまった。馬鹿だ。文字起こしで死ぬよね。港谷、頑張れ。

俺と彬と、本当に、主宰同士、作家同士、演出家同士、そしてジャスト30歳同士の2人なので、演劇界や演劇そのものへの視点や意見が、よく似ているし、よく離れている。かなりヤバい固有名詞も出しながらのトークだったので、伏字連発の対談になりそうだが、一読の価値ありですので、ぜひ会場にてお求め下さいませ。

あとはジャンプするだけ

いろいろと着実に準備を重ねている俺とあがさと彬と酒と。であるが、あとはここから、ジャンプするだけ。そして絶対、風邪をひかない。これだけだ。明日も頑張る。

27日プレビューは完売ですが、それ以外の回は師走の暴力にぶち殺されて、結構ガラガラな回もございます。みんな忘年会があるからか、夜公演が軒並み空いております。夜公演に来ておくれ。夜なら終わった後、飲める。ようやく企画名にもある「酒」が、再度メンバーになるはずさ。

俺とあがさと彬と酒と。アトリエ春風舎にて、27~31日。東西若手演劇対決、お見逃しありませんよう。ご予約はこちらから!

http://ticket.corich.jp/apply/41740/001/