PLAYNOTE アトリエ春風舎プロデュースvol.3/工場の出口『テロルとそのほか』稽古見学に行ったよ

2012年11月20日

アトリエ春風舎プロデュースvol.3/工場の出口『テロルとそのほか』稽古見学に行ったよ

[公演活動] 2012/11/20 02:00
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ちらし

風琴工房の詩森ろばが創作過程に思考する仕組みをデザインすることによって、創作の強度が上がるのではないか、という仮定のもとに立ち上げた新ユニット。「思考する俳優」と「俳優と俳優、そして俳優と演出の相互コミュニケーション」をコンセプトとして、ドラマを構築します。

それが「工場の出口」という新ユニットの紹介なのですが、これ、俺が書いたんじゃなくって、ユニット公式で出されている紹介文なんですね。やっぱ詩森さんはこういうとこ、すげぇなぁ。自分で自分の企みを客観的に分析して、人にわかるように説明する。これって、なかなか、難しいことです。

という「工場の出口」というユニットの、演劇の稽古を今日は観て来ました。

もう一個、こまばアゴラ劇場の公式ウェブサイトに載っているプロフィールからご紹介。

日本の演劇作品を見ていると、作家の役とか学者の役とかできる俳優があまりに少ないと感じます。俳優として魅力的かどうか、というのとそれはあまり関係ありません。ほかの演出家は解りませんが、書く作品的の傾向的に私にとっては大問題です。なのでこのユニットは、私にとってのみ必要な壮大な実験と言えるかもしれません。とはいえ、成功すればお客さまにとってもそうとうエキサイティングになると信じております。ぜひ目撃してください。

いやいや。そんなことないです。僕も完全に作家だの学者だの出したがる傾向にある演出家で、ここ2年くらいだけでも、モリー・スウィーニー、Caesiumberry Jam、ヌード・マウス、完全版・人間失格と、漏れなく医者だの研究者だの作家だのジャーナリストだの出てきます。そして詩森さんとも↑みたいな話は何度もしました。彼女にとっても切実な問題なのでしょうね。

* * *

で。観てきた感想、率直に書くと、これは大変なことをやっている。「思考する俳優」。という目標を追求するために、詩森ろばがガチである、ということはよくわかった。

詩森ろばがガチである結果、彼女は今回、演出家だけど演出家ぽくない、変な立ち位置で稽古場にいたように思う。詩森さんが決めちゃえば、指示しちゃえば、いいところを、絶対に決めず、指示しない。俳優の問題意識を洗い出し、俳優の行きたい方向を尋ね、俳優自身が考えるのを、助けようとしている。

しかし、いわゆるアクティング・コーチとかと違うのは。
アクティング・コーチ: 演出家の指示があって、それを実現するために、俳優にアドバイスする。
今回の詩森さん: 俳優自身に、この戯曲・この作品についての理解を促す。演出家の指示を、押し付けない。
みたいな感じ? まぁ2時間ちょっきり稽古観ただけで、何がわかる。ぜんぜん間違ってる可能性もあるけど、そんな感じがした。

だって詩森さん、決めないんだもん。怒らないんだもん。彼女が割と、見かけに寄らず、豪腕な演出家だということは知っているつもりだ。腕力のある演出家だ。なのに、決めないし、与えない。一緒に道を歩こうとしている。これはよほど固い決意があって、やっていることのように思える。それはきっと、すさまじい隔靴掻痒、ムズムズするんじゃなかろうか。でも俳優と思考するために、演出家として大上段に振りかぶり、絶対者として君臨することを、避けているんじゃないだろうか。

もっかいくらい、稽古見学に行きたいと思った。豪腕演出家の詩森さんが、ひたすら待つ、という選択肢を取るということは、これはとんでもない決意がなければできないことだ。ガチだ。ガチなんだ。あとは、俳優が、詩森ろばをぶっ飛ばすくらいガチと言うか、うんこブン投げつつ資本論読み歩くくらいの覚悟と言うか、とにかくこのヘンテコな機会を「よっしゃあすげぇチャンス来た俺ゲラゲラ」と意気込み、詩森ろばを圧倒するのを待ちたい。ぶっちゃけ、今日観た短い時間の間では、俳優は目が座っているようには見えなかった。まぁみんな、悩み、考え、企んでいるのだろうけど。脳味噌から血が出るような作業だろうなぁ。

同時に僕は、演出家と俳優の関係についても、考えたりしていた。それは、演出家と俳優のやりとりを、横からただ見ているからこそ気づけたことだ。愛さんの稽古場で下っ端みたくプロンプとか出してたときには、自分に必死で見えなかったこともいくつか見えた気がする。ありがたい。いろいろPCにメモも取ったが、その内容については、ここには書かない。だって俺の財産だもの。うそ。そのうち書くかも。

工場の出口、『テロルとそのほか』。ご興味ある方は、この実験の行方を、一緒に観に行きましょう。ぼく、12/1土曜日・14時の回にアフタートークゲストで出ます。ご予約などはこちらから