PLAYNOTE 脚本プライベート・レッスン

2012年07月06日

脚本プライベート・レッスン

[演劇メモ] 2012/07/06 04:49

先ほど帰宅した。わけあって、DULL-COLORED POP所属俳優がやろうとしている企画公演の、脚本相談なんかしており、小竹向原のファミレスで深夜、2時間ほどあれこれ話をしてきた。

てめぇ自信が半人前のくせに人様に物を教えるとはどういうことだ、と怒られそうだけど、それでも二十本近く書いてきた人間なりに、ノウハウはあるし、こう見えて勉強家なので、いろいろ聞きかじりの知識もある。

いろいろ教えていると、本当に劇作家ってのは特殊技能の職業なのだな、ということを今さら思った。プロット、あらすじ、シノプシス、なんて言葉の意味と違いくらいは普通の人でも知ってるかもだけど、箱書きの書き方や登場人物ごとの情報量の差のつけ方、場所の設定の仕方、行為に着目した展開設定、モチーフやエピソードの概念や探し方だとか、普段気にせずやってることが、普通の人の頭の中にはないんだよなということがよくわかる。

自由に書けばいいじゃない。という意見もあるだろうけど、うん、それでいいんだよ。書ける人は。自由に書ける人はどんどん自由に書いて、どんどん失敗して、上手くなっていけばいい。でも、小学校の国語の時間の作文みたく、「自由に書け」と言われると、何を書いていいのかさっぱりわからん、という人は大勢いる。あの「自由に書きなさい」につまづいて、作文や創作が嫌いになっちゃう人はすごく多い。

以前、勘三郎が言っていた言葉だけど、型を学び、知り、会得した上で型から自由になるのが型破り。型も何もなく、でたらめ放題にやれば、それは型なしになってしまう。それに芸術は模倣から始まるってすげー昔の人も言ってる通り、調べたり、耳を傾けたりすることは、たいへん重要だ。

と思ってあれこれノウハウや知識を教えてきたが、だからと言って書けるわけじゃないのが劇作の難しいところ。最終的に作品を書く力を与えてくれるのは、何よりも情熱でしかない。頑張って欲しいもんだ。

以下、初心者におすすめの劇作ハウツー本。左はアメリカの。初心者と言うよりは、一本でも書いたことある人向けかも。「劇作家って、素晴らしい職業なんだな!」って大変励まされる本だし、テクニカルな面でも内容も濃い。右はオリザさんの。本当に初心者・入門者でも読めるし、戯曲の構造や話し言葉についてためになる言葉も多い。どっちもいい本だよ。

はじめての劇作―戯曲の書き方レッスン 演劇入門 (講談社現代新書)

しかし自分は自分で来年の戯曲が喉元に突き刺さったままである。素材集めは随分進んだしプロットの基礎工事も終わったので、あとは勇気を持って一行、一文字ずつ書き出すだけなのだが。ウィトゲンシュタイン。その思想の価値は、それを書いた者の勇気の量によって決まる。なんてことを言っていたが、勇気。猫に噛みつく鼠のような勇気を持って書き出し、追い詰められた濡れ鼠のような臆病さで読み返す。劇作はその繰り返し。殺しに行くぜアイ・ラブ・ユー。

寝る。