PLAYNOTE 野心とか缶コーヒーとか

2012年05月01日

野心とか缶コーヒーとか

[雑記・メモ] 2012/05/01 02:29
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リスとリサとガスパール

昨日は、アトリエ春風舎プロデュースvol.2・範宙遊泳『夢!サイケデリック!!』の楽日であり、劇場にお誘いした張本人として少しだけ打ち上げにお邪魔した。座組外の人間が大楽打ち上げにいるってことがとても苦手なので早々にお暇したが、山本卓卓のビジョンと野心と現状認識を聞けたのはとてもためになった。彼は後輩であって後輩ではないので、とてもためになった。

んで本日は、字幕翻訳を仕切っているキャサリン・ハンター1人芝居『カフカの猿』の小屋入り初日であった。翻訳だけでなく現場での修正、ましてやオペレーションまで引き受けた今回だが、小屋入りしたら「谷さんがやるんですか」「えらい豪華なオペレーターだ」と懐かしの世田谷スタッフに驚かれたが、いいえいいえ、僕などまだペーペーであります。それに翻訳者がオペレーターなんて最高じゃないか。一番的確にオペできるよ。

ちなみに写真は先日行った町田リス園での一コマ。リスがリサを食べようとしているが、ガスパールは寝ている。

帰宅後、妻とあれこれ未来の話をして、キャサリンのDVDを見返し、チクチクと字幕の修正。明日、場当たりでもう一度修正。明後日、GPでさらにもう一度修正。

たかが字幕、されど字幕。キャサリンの英語は今回の演出上結構スローだからかなりわかりやすいけど、それでも英語がチンプンカンプンなお客さんにとっては舞台と客席を繋ぐ唯一の言語的架け橋だ。あれもこれもとニュアンスを拾い過ぎて細かくなって、お客さんがキャサリンより字幕を見ているようになったら最悪だし(実際そういう字幕は多いけど)、かと言って端折り過ぎてもストレスになる。人によって違うこの度合いを、どうバランスとるか。朝起きたらもう一度DVDを見て修正する予定だけど、勝負は生身のキャサリンと向きあってから。世界最強俳優の一人とお手合わせするわけで、こんなに嬉しいことはない。いい現場にしたい。

今日はもう一つ、青年団の全体ミーティングというものがあった。年に一度集まって、主宰・平田オリザから、過去一年の反省やら、今後何年かの展望やら、現在の演劇状況、アートマネジメント界隈の話題なんかを聞いて、質疑応答、議論したりする、稀有な機会。はっきり言って、このミーティングを聞くだけで、筆舌に尽くしがたい勉強になる。今日オリザさんが、とある業界事情を説明した後でそれこそ臍を噛みながら言っていた、「若い演出家は、このことを30年先まで覚えていて下さい」という一言が大変いたいパンチとなった。覚えておきます。

しかし身近で話を聞いていると、平田オリザという戦う演劇人の凄まじいバイタリティに圧倒される。あの年でこのアクティブさで、おまけにこの信念の強さ。戦う演劇人と言えば永井愛大先生もあらせられるし、最近お世話になっている劇作家協会長の坂手洋二もまたハンドガン片手に世界をうろついている武闘派演劇人だ。お互い別々の闘争をしており、あとお互い「そこは違うだろ」と尊敬しつつも衝突してるんだろうけど、お互い敵の多さにしても演劇界への貢献にしても、僕は頭が上がらない。悪く言う人がたくさんいるのもわかってるけど、人それぞれ、自分の信念に基づいて、自分のやれることをやるしかない。

漫画・スヌーピーの超台詞。

「配られたカードで勝負するしかないのさ」

作家としても演出家としてもまだまだの私は、自分の環境を恨むことなく、配られたカードで最適のペアを作っていくしかない。配られた手札の良い悪いを恨んでも仕方がない。

いろいろと刺激的なここ1週間であったので、自ずと未来のコトについて考える。20代の時間があと2週間くらいしか残ってないということも影響しているだろう。こないだ某先達に、「お前はあれこれやり過ぎていて、どこに行きたいかわからない」とダメ出しされ、あまりの図星さにぐうの音も出ずへどもどする私だったが、まぁこれからもへどもどしながら生きていくのだろう。

ただ、問い掛けることを思い出し始めている。自分の生涯の仕事は何なのか。一生かけてやり残したい、たった一つの仕事は何なのか。気を抜けばあっという間におまんまの食い上げであるから、ゼニを稼ぐことも忘れちゃならんが、やるべき仕事のために着々とただ勉強したい。本当なら奈良とか福井の山奥(←適当に言った)にこもって、1年くらい読書と執筆だけして生きてみたいが、それは俺に配られているカードではない。

要らないカードを一枚捨て、一枚取って、そのカードが案の定いらねーカードでがっかりして、次のカードがさらにクソカードでうんざりして、それでもカードを切り続ける。演劇の神様は2500年前から大活躍なさっている通り、大変強靭な神様なので、ラッキーヒットで大当たりなんてことはあり得ない。一枚、一枚を大事に切っていく。そう、配られたカードで勝負するしかないのさ。でも、そこからロイヤルストレートフラッシュをぶちまけるのが、ギャンブルの醍醐味じゃねぇか。

というわけで、明日も小屋入り、頑張ろうという至極単純な結論に至りつつ、やはりウイスキー飲み干す俺である。ちなみに毎晩、一般的なダブルに換算するとその8倍くらいの量を飲んでいる。何故そんなに酒を飲むのか? と、わからない人には、わからなくていい。エロスとタナトスは裏表で、芸術と破滅は隣り合わせだ。