PLAYNOTE 『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』終焉

2012年04月12日

『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』終焉

[公演活動] 2012/04/12 15:51
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終わりました。劇団初の全国行脚。4週間の本番期間。御来場、誠にありがとうございました。全24ステージ、1500名にはわずか届かなかったものの、劇団としては最大動員。佐野くん以外は全員劇団員、というコアな公演にも関わらず、本当にたくさんの人に観て頂きました。ありがとよっ。

終えてみて、率直に

もう次の仕事や溜めてた仕事に取り掛かっているから、抜け殻というわけでもない。感傷に浸っているわけでもない。ただ日常が戻ってきた、という感じ。

くろねこちゃんとベージュねこちゃん。非日常を生きているようであった。遅れに遅れた脚本に加えて、疫病から事故や雪害まで、毎日がトラブルであり、毎日が格闘であった。そりゃそうだよね。乗り打ち公演が3本あって、800席オーバーのりゅーとぴあでさえ1日仕込みで、毎日新たな演出アイディアや現場判断を迫られ続けたし、3/14~4/8までの4週間、オフらしいオフは1日もなかった。

いろんな人に褒められたりけなされたり、賞賛されたり批判されたり、持ち上げられたり落っことされたり。俳優の状態も、よかったり悪かったり、ぎゅんと進歩したり延々と足踏みだったり。常に酒を飲み続けていたことと、常に煙草を吸い続けていたこと、そして常に舞台があったということ以外は、毎日がイレギュラーの連続であった。

感謝すべき人や物や事を書き出すと、もうキリがないので、それは今度また、劇場で、あるいは飲み屋でお会いしたときにでも、改めてお伝えしようと思う俺です。

6都市ツアーの感想

なるべく最近、「地方」という言葉を使わないようにしている。妥当な言葉がないからつい言っちゃうんだけど、「地方」っていう、東京中心を前提とした言葉は、実際に「地方」を回ってみると、何だかうっすら侮蔑を含んでいるようで、嫌だったんだ。

東京以外の地で1つの作品を上演するのが初めてだったから、そのリアクションの違いに驚いた。すごく乱暴に言うと、東京以外の都市のお客さんたちは、演劇という非日常を楽しむことにおいて、完全に東京以上だった。そりゃそうだ。東京はやっぱ、多過ぎるんだよ。毎日食べてりゃステーキもお寿司も牛丼も、だんだん味もありがたみもわかんなくなっちゃう。

これからは自分も、もっとシンプルに演劇を楽しむ、わくわくして観よう、と強く思った。だってその方が、食べる側も出す側も、絶対ハッピーだもの。「おいこら、ドンブリに親指入ってんぞ、どういう神経してんだこの店は!」って見方は、したくないなぁと思ったんだ。

一体何だったのか

おそらくDCPOP史上稀に見るほど未整理に放出され、かつまたDCPOP史上かつてないほど身近でありふれたお話だったわけで、一体何だったんだろう、ということを、考え続けている。未だに僕は猫を探し続けている気がする。

猫という存在は、イコール演劇そのものであったのだ。と、誰にもわからないであろうレトリックを使ってみる。

谷賢一というクリエーターは、常に「社会の外側にはみ出しちゃった人たち」を描き続けてきた。今回は、そんな奴、どこにもいない。これを見て作家性の変貌だの加齢による熟練だのと、言われる分にはいいんだけど、そう簡単に飛びつけるところにある答えはどれもすぐ腐ってしまう。次回作の構想も温まりつつある今、作家としての自分の個性や本質、資質に、背を向けるようなことのない創作がしたいと思うけれど、創作の天使はひょいと飛ぶようにやってきて、何の説明もなしに我々の手を引いて、見知らぬ土地に案内していく、そんなイタズラをよくやるものだ。

今回、自分にとって雲上人であった人々、つまり「その人の本を読んで育った」「その人の演劇を観て育った」というような大家、というか、スーパースターが、3人も足を運んで下さった。その3人が3人とも、全く違う点を評価し、全く違う点にダメを出して帰っていった。アンケートやウェブ上の感想は言わずもがな、百花繚乱、混戦模様の多種多様で、わけがわからぬ。寄る辺ない縁に立ちながら、根性一発、仁王立ち。

一体何だったのか? よくわからない。

劇団について

新加入の百花亜希の、普段見せない魅力とポテンシャルを存分に楽しみ発露し放し飼いにした、実に楽しい作品であったし、活動再開後に加入した各々への初のアテ書きも愉快であった。作品内容というものは実は、常に構造主義的に、環境によって形成され醸造されるものだ。前回の『Caesiumberry Jam』が活動再開一発目であったが、真の活動再開はこっちだったかもしれない。前回が復活篇だったら、今回が再生編だな。

考えることはたくさんあるが、それは仕事で示そうと思うので、この辺で。

くろねこちゃんとベージュねこちゃん

書き尽くせない思い出がたくさんあるが、そのどれもが郷愁の域を出ない。この未整理な作品が、大変な好評を持ってお客様に迎えられたこと、そして俺が胸を撫で下ろしつつも、演劇という芸道に一つも満足していないということが、結論であり今後の道を探る最大のヒントである。と思う。

ヘルマン・ヘッセは、人間の成長とは、ただ自分自身を発見する道程に過ぎない、というような感じのことを言った。とてもほわっと書いているが、そんな感じのことを言った。自分自身を発見する、という意味で言えば、本作は実に象徴的な、記念碑的な作品であったように思う。次も頑張ります。また観に来てね。

追伸

あ、そうそう、「次回公演のご案内下さい(><)」とか「WSあるときは教えて下さい(><)」って問い合わせが多いんだけど、それもこれも info あっとまーく dcpop.org まで一報頂ければ、対応致します。