2012年01月20日
コビトカバはどこにいるのか
「人を殺す経験がしたかった」
「戦場へ行きたい 編み上げのブーツを履いて
革の財布には恋人の写真 腕に刺青を入れて
知らない国の知らない誰かを殺すために 僕はきっとためらったりはしない」
ヌード・マウスの稽古、今日は朝イチで通しをやって、それから返し。クッタクタである。通しの出来に不満のあった私は、全力でその後の返し稽古を行ったが、それに見合う収穫はあったので、よしとする。いろいろ修正したので、明日の通しが楽しみだ。
「人を殺す経験がしたかった」という話をした。稽古場で。まぁたとえ話の一種なのだけれど。豊橋市の主婦殺人事件の犯人だった17歳の少年が言った言葉で、当時は世間を大騒ぎさせ、やっぱり17歳はダメだ、まずい、おかしい、どうなってるのこの国は! ドーナツ! と、大騒ぎであった。
爆弾発言であるが、僕は彼の気持ちがわかる。俺もいろいろ、刑罰もなく、悲しむ人もなく、あるいは俺がザオリクとかアレイズとか使えるなら、誰かの腹にナイフを差し込んで横に九十度キュッと回し、彼が絶命するまでの様子や、その間に俺が感じる焦りや後悔、恐怖や興奮を、感じてみたいと思う。もちろんやりません。
気持ちがわかる、ということと、彼を擁護する、ということは、まるで別だ。馬鹿野郎俺たちには想像力ってもんがあるんだから、人殺しの経験なんか自宅か稽古場でやりやがれ、と思うが、気持ちはわかる。擁護はしない。調べたらアスペルガーって診断だったんだってね。その診断の正当性はわからないし、判決の正当性もわからない。
わっかんないわー、ちょっと理解できないわ-、こわいこわい、と言って人間理解を拒んではいかん。いや、仮にも演劇人やクリエイターなら、想像してみるのは必要なことだろう。
僕は人を殺さないし、殴ることも罵倒することも大変少ない。何故だろう、と思う。「人殺しはどうしてやっちゃいけないの?」なんて質問をして大人を困らせて賢くなったと思い込んでるクソガキがどこの中学にも一人はいるが、勘違いしちゃいけないのは、人殺しをすると日本国の刑法に抵触し罰せられる、ということと、人殺しをお前は選ばない、ということの間には、雲泥の差があるということだ。
何を書いているんだか、よくわからなくなった。とにかく稽古場でそういう喩え話をして、俺は例えば人殺しの他にも、スペイン語を習ってみたいし、マラソンランナーを目指してみたいし、南アフリカ共和国に行ってみたいし、伝説の勇者に選ばれてみたいし、恋人がサンタクロースだったりママが魔法使いだったりしてみたいし、いろいろ、みたい。いろいろ、してみたい。でもやらない。
余計にわけがわからなくなった。稽古場ではよくわかるように説明したが、それをここに書くと長くなるので、やめておく。今回のお芝居の主題と、ずいぶん関係のある話なので、ここに書くのはもったいないというのもある。
劇場で会いましょう。ヌード・マウス、1/24から一週間、赤坂レッドシアターにて。
* * *
ちなみに冒頭に引用した二つ目の文章は、BLANKEY JET CITYのミニアルバム『METAL MOON』に収録されている『鉄の月』という曲の歌詞であり、きちんと聴けばわかるけど、戦争に憧れるヤンキーの歌では決してないし、安易な戦争反対ソングでもない。ある心理、人の心のある部分について、歌った歌である。名曲なので是非聴いてみて欲しい。
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コメント
投稿者:kyoko (2012年01月22日 01:30)
「人を殺す経験がしたかった」
覚えてます。この事件。インパクトがあったからね。この言葉。
私はこれ聞いて「彼は好奇心旺盛な人だったんだな」と感じた。
「ただ、理性はなかったんだな」とも思いました。






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