PLAYNOTE Théâtre des Annales『ヌード・マウス』、作・演出します

2012年01月08日

Théâtre des Annales『ヌード・マウス』、作・演出します

[公演活動] 2012/01/08 01:19
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チラシ

実は『悪魔の絵本』以来丸一年ぶりとなる、新作長編、作・演出のお芝居です。長らく尊敬しておりましたゴーチ・ブラザーズ伊藤達哉プロデューサーと、サンプルやままごとのドラマトゥルクとして知られる野村政之さんと「何かやろうぜ」っつって動き出したこのプロジェクト。「脳」をテーマにぶっといの一本、書きました。

1/24(火)~1/29(日)、赤坂レッドシアターにて。以下詳細。

Théâtre des Annales(テアトル・ド・アナール) vol.1『ヌードマウス』

作・演出:谷賢一(DULL-COLORED POP)

あらすじ:
ある日俊哉はため息をもらした。自分が自分じゃない気がした。
「人間、いつ穴に落っこちるか、ホントわかったもんじゃない」
ある日とつぜん脳に損傷を受けた沙智は、忘れていた。
"恐怖"という感情を失った。「ビリヤードの玉、こいつと一緒だ」
そして沙智は、十数年ぶりに父と再会する。脳科学者の父、母を捨てた父。
「どこに転がるか、わからない。わからないように見えていて、すべて決まっている」
二人は気持ちを壊したまま、迂闊な距離の詰め方をする。
「姉さんの頭の中には、何がどう転がってるんだ?」

ドラマトゥルク:野村政之(青年団)
出演:増田俊樹 佐藤みゆき(こゆび侍) 大原研二(DULL-COLORED POP) 山本亨

2012/1/24(火)~29(日)@赤坂RED/THEATER
チケット:全席指定5,000円 他

久々に、長らく振りに、「まともな」本を書いた気がしています。面白いです。劇作家・谷賢一のエッセンスがぎゅっと詰まった、まぁ他の人には書けない、インテリでポップで詩的でヤクザでえっちで戦闘的な、シンプルなロックみたいな会話劇です。今日の稽古を見ていて、ビートルズの名盤『アビー・ロード』のことを、何となく思い出しました。あんな感じだと思います。わかんねぇか。

演出のし甲斐のある本です。難しい本です、演じるのは。キャストが手練だったり大先輩だったりオーラバトラーだったりするので、ギリギリやれるか、やれないか。いい稽古ができている。今のところは。

出演者が素敵です。ガンダムに喩えると、山本亨氏はハーディ・シュタイナー(サイクロプス隊の隊長)か、長生きしたクワトロ・バジーナのようであります。重みと経験がバキバキに現場の密度を上げています。みゆきちゃんはジュンコ・ジェンコ。しなやかですがテクニシャン。大原さんはカクリコン・カクーラー。あんまり観たことない大原さんな役柄です。そして増田くんがカミーユ・ビダン(映画版)。いやホント最近増田くんがカミーユに見えて仕方がない。お芝居の内容も、ほとんど劇場版機動戦士Ζガンダムと同じです。ほら、誰にもわかんねぇだろ、この喩え。

脳について。結構、脳エピソードだけでも面白いと思うよ。人間について考える、心について考える、感情について、関係について、愚かさについて、美しさについて、そして未来について、何について考えるにしても、脳について考えざるを得ない時代になってきていると思う。『モリー・スウィーニー』の衝撃を受けて、自分が考えたいろいろなことがリミックスされている。モリー・スウィーニーを見て何かを考えた、そんな人には、必ず楽しんで頂けると思う。

あと、家族について、結婚について。そんなことも書いているけれど、それはもう完全に、僕が結婚したからです。今でも謎です。家族って何だ、結婚って何だ、紙切れと法律でしか正確には説明できない、でもそれは何の説明にもなっていない。何だと思いますか? 芝居見てから考えろ。

チケット絶賛発売中。売り切れ間近の回もあるから(千秋楽とか)、お早めに。5,000円って高いでしょ。『モリー・スウィーニー』も5,000円でした。だけど全然、5,000円とれそうなお芝居が作れそうです。嬉しいことだね。あ、初日のプレビューだけは、1,000円安いです。

公開稽古やってるよ

そのうち第二弾が告知されますが、すでに第一弾の公開稽古をやりました。無料で稽古場、覗けます。今ン所、大変評判がよくて嬉しい。

いわゆるワーク・イン・プログレスとは違う形で、ただ稽古を見て帰ってくれ、ってだけのイベントですが、俺これちょっと、面白いなって思ってんだ、今。演劇って作るのにすげぇ時間かかるでしょう。毎日8時間とか10時間とか稽古して、それを一ヶ月近くやるわけだよ。すげぇ時間かかるんだよね。チケット代が高い理由の一つには、これがある。一ヶ月の間、密室で作り続けるわけだ。でもね、本番とは別の面白さ、別の演劇のエッセンスが、ここにはあるんです。

今回、公開稽古なんてやってるのは、割と真剣に、演劇のお客さんにもっと演劇を楽しんで欲しい、また違った演劇の楽しみ方を体験して欲しいと思っているから。現代人は情報の取捨選択に優れているから、ネタバレ嫌な人はそもそも来ないし、ネタバレしたって演劇作品は面白い。稽古場には照明も音響も美術もない、衣裳もない、でも別の何かがあるわけで。一ヶ月の密室を公開することで、演劇がもっと好きになる人、増えると思う。興味を強くする人、増えると思う。別の観方ができるようになる人、超増えると思う。

もう一つには、お客さんと作り手の、別の共犯関係が築けないかな、ってなことも考えてる。幕が開いた劇場では、舞台と客席の間には大きな大きな見えない壁があって、それを突破することを我々は目指して演劇を創っている。お客さんと繋がろうとして、意を砕き、汗を流し、稽古をしている。でもどうしても、何だかお客さんは敵みたいになっちゃうことが多い。敵みたいな感じで観に来る人も多いし、謎にヒリヒリする関係になってしまう。もっと柔らかな関係って作れないのかな? サッカーの選手とサポーターみたいな。俺たちはプロなので金とって芝居している上で妥協も甘えもするわけないけど、そういうレベルの人はこの現場にはいないけど、甘えるために友達になるんじゃなくて、よりお互いが楽しく気持ちよく劇場や演劇を楽しむために、何かいい関係が築けないかな、ってなことも考えてる。

まぁ、もうちょっとやってみます。すげーコストは高いんだけどね。緊張しなくていいよー、って言ったってキャストは緊張するし、お客さんを受付して案内してお通しして注意事項を説明して、って制作さんは超大変だし、でも、とてもいい声が聞けている。

ワーク・イン・プログレスとは、違うんだ。どうしたらこの作品はよくなるだろうか? そんなことが聞きたいんじゃない。俺はプロだから、そこは自分で考えるし、人に相談するし、声に耳を傾ける。そうじゃなくて、どうしたらこの作品はもっと幸せになれるだろうか? みたいなことを考えている。観た人にとっても、やる側にとっても。

もう終わっちゃったけど、リーディングイベントなんてのもやりました。台本渡して3日目って段階で、客前で、金とって、リーディング上演やれっていう滅茶苦茶なイベント。出演者には大変なプレッシャーをかけてしまって、すまない。でも、お客さんは全員、楽しんで帰ってくれた。そこからどう作品が育っていくか、楽しみにしてくれている。これも何か、演劇の見方を変える、一つの契機になってくれればいいと思っている。

ちょっと書き過ぎたな。

ヌード・マウス、みどころ

俺の本と演出と、それを120%にまで高めてくれる俳優の身体。