PLAYNOTE 大阪ダブル選挙について

2011年11月28日

大阪ダブル選挙について

[トピックス] 2011/11/28 11:16

大阪ダブル選挙で、橋下徹氏と松井一郎氏が当選した。やっぱこうなるんだよなーと思いつつ、今やってる芝居とも関係があることなので、少しだけ書いておく。

最初にきちんと断っておくが、俺は橋本支持でも平松支持でもないし、大阪都構想についても何の意見もない。言うべき立場にないのだ。俺は橋本のマニフェストも読んでないし、そのマニフェストを検討するという作業もしていないし、大阪市政の過去と現在について何も知らないし、そもそもの話、大阪市民でも大阪府民でもない。無知であり、有権者でもない。だから別に橋本をディスってるわけではない。

橋本が勝ったのは、メディア的にウケがよかっただけでなく、庶民の「何となく不満」という憎悪のはけ口をきちんと下水道に流すルートを示してくれたからだろう。何だか不況で、デフレは続き、世の中全体がどうにも暗い。政治は混乱してるようだし、年金も医療も怪しいもんだ。これは政治家と官僚が何やら悪いことをしているに違いない。誰かあいつらをこらしめてくれないか?

そこに登場したのが橋下だ。小泉のことを、鳩山のことを思い出すがいい。今の民主主義、いやいや衆愚政治の選挙においては、「敵」と「的」を用意することが必勝法だ。「自民党をぶっつぶす!」「政権交代!」といって、旧弊な政治と官僚を敵に回して小泉と鳩山は勝った。

今回の橋本だって同じことだ。「赤字財政を脱却する!」「公務員を減らす!」「予算にメスを入れる!」そして「二重行政を解消する!」ということで、「政治家どもは何やってんだ」という庶民の憎悪のはけ口を、きっちり用意してやった。憎悪は水と同じで、流れるべき溝やくぼみがあれば、そこにどっと流れこんでいく。

例えば橋本が府知事としての任期期間中に、大阪府の赤字を減らしたどころか増やしたというデータを示す人もいる。俺はそれについては何も語らない。だって調べてないもん。しかし、大阪の一般的な有権者には、橋本は行政をスリムにした、赤字を減らしたと思い込んでる人が多い。俺はそいつらについては何も語らない。だって知らないもん。結局、どっちが真実なんだ?

今回、投票率が60%くらいでしょ。そのうちマニフェストを読み、理解してから投票に行った人間が何割いるだろうか。俺は1%くらいじゃないかと思うけど、仮に10%としようか。ではマニフェストを読んだ有権者の中で、マニフェストに書かれている政策について資料や批判を読み、検討をしてから投票にいった人間がどれほどいただろうか。すっげー高めに、30%としようか。マニフェスト読むくらいだから、新聞やネットくらい読んでるだろうし。

投票率60%×マニフェスト読んだ10%×自分の頭で考えた30%=2%。有権者の実に2%くらいしか、結局はきちんとした政策検討を行なっていないんではないか。あとは印象で投票する。マスコミから流れてきた情報で投票する。キャッチフレーズに惹かれて投票する。これが現代の選挙の実態だろう。

負けた平松元市長が、「発信力不足だった」「もっとわかりやすい言葉で、スパッと、伝えていく必要があった」と敗戦のインタビューで語っていたのを見た。平松だって気づいてるんだろう。衆愚に踊り、ポピュリズムに陥った選挙の実態を。キャッチフレーズを設定し、「敵」と「的」を政治家・官僚に設定する。「自分はあの薄汚い政治家・官僚の一味じゃありません」と伝える。橋本はそうやって選挙に勝った。郵政選挙の小泉だって、政権交代の鳩山だって、そうだった。

俺は人間の知の力を信じている。だからこそ、現状の選挙を本当にくだらないと思う。

でも有権者もかわいそうなんだよな。マスコミからは偏った情報しか流れてこない。きちんとした政策論争が観たいと思っても、バラエティまがいのヌルいニュースばっか。自分で図書館やネットを駆使して調べ上げることはできるだろうけど、それをやったところで何になる? 数の力には勝てないし、マスコミの影響力には勝てない。

完璧な構造ができあがっているんだ。「今の腐った政治をぶっ壊す!」と言って演台に乗ったAさんが、暫くの間おだてあげられ、次の選挙ではAが「敵」「的」になり、ずり落とされる。有権者は気分がいいだろう。「俺の言うことをきかなかったから落ちたんだ」「俺たちの声をきかずに勝手をやったから負けたんだ」。自分が何一つ政策の詳細について知らないことなど棚上げして、人をずり落とす快感に酔い、「時代が変わった!」と快哉を上げる。

変わってねぇよ。

* * *

いわゆるニュースの「町の声」で、一般市民の声が流れていた。

「(大阪府と大阪市で)もめててもしょうがないし、先に進まない。(橋本と松井が当選したことで)少なくとも事態は動くようになったんだから、とりあえずはよかったんじゃないですかね」
賭けてみる、って気分で、投票しました」

投票に行った、ってだけで、何だか使命を果たしたように思ってるんだろうけど、重要な選挙だから行かなきゃ、と思って行ったんだろうけど。「とりあえず」「賭けてみる」、そんな感じで政治の未来は決まっていくんだぜ。

民主主義ってのは本当に素晴らしい。

現代ではイジメもケンカも許されないし、暴力も戦争もあってはならない。だが、確実にその衝動は存在している。町の普通の、人間の心の中に。

コメント

投稿者:kyoko (2011年11月29日 00:41)

政治に関して、いろんな意味で何が事実なのか、真実なのか知りたいのですが、マスコミ不信も手伝ってどのデータや報道を信じていいのかまったくわかりません。

こんな状態で、民主主義って成り立つんですかね?

私は橋下さんの「今、政治に必要なのは独裁だ」という考えは、あながち間違ってないと思ってしまったんです。

まったくまとまりのない、足並みの揃ってない、脆弱な民主主義よりはマシなのかなって・・・。

投稿者:谷 (2011年11月29日 18:04)

そりゃそーですよね。おっしゃる意味よくわかります。独裁ちゅーてもメディアと国民がきちんと監視しないといけませんね。そんな大役をメディアがきちんと果たせるのかっつーとかなり怪しいもんですが…。

投稿者:谷 (2011年11月29日 18:05)

そりゃそーですよね。おっしゃる意味よくわかります。独裁ちゅーてもメディアと国民がきちんと監視しないといけませんね。そんな大役をメディアがきちんと果たせるのかっつーとかなり怪しいもんですが…。

投稿者:kyoko (2011年11月29日 23:37)

せめて踊らされないようにしたいものです・・・。