PLAYNOTE あれから6年

2011年11月25日

あれから6年

[イギリス留学] 2011/11/25 02:47

イギリス留学時代の親友、タイ人のガンから突然メールが来た。明日は場当たりGPという演出家の最大の山場なのだか、一筆とらずにはいられなくなった。

訳してみた。

ケニチへ

最後に会ったのはもう、遠い、遠い昔だよな。ほら、いつだっけ、日本に行ったとき以来。

ふとケニチのことを思い出して、今頃どうしてるかなーって思って。まぁきっと、ケニチのことだから、栄えあるキャリアを築き続けていることと思う。確か、舞台の演出家だったよね?

何だかね、すごく懐かしい気もするし、最後に会ったのが昨日のことみたいな気もするんだ。東京の小さな劇場でさ、俺を見つけるなり人目も気にせず飛びついてきたの、覚えてるかな?

覚えてるかな? “サケ”の飲み方について、演技指導してくれたことがあっただろ? 今でも俺は、友達なんかと“サケ”を飲む機会がある度に、あの飲み方を教えてやったりしてるんだよ。

ま、元気でいておくれ。来年には日本に行けたらいいな。そしたら連絡するよ。再会を期待して。

乾杯!

涙腺が緩みそうになるエピソードがいくつかある。

上で触れられている「東京の小さな劇場」というのは、荻窪アールコリン。DULL-COLORED POP旗揚げのあの日だ。たまたま日本に来ていたガン。イギリスから帰って約8ヶ月、意気揚々と劇団を旗揚げした俺は、客席数50の荻窪アールコリンを制圧して得意満面だったわけだが、その公演にガンが来た。

旗揚げ公演のことをこのタイミングで思い出すとは思わなかったな。

文中にある”サケ”の飲み方、っつーのは、日本酒を飲むときにさ、日本人はやるだろ、お酌っていう謎の文化を。「ま、ま、どうぞ、どうぞ」「いえいえいえいえ」「「まぁまぁまぁままぁ」「おーっとっとっとっとっと」。それを教えてやったらえらくゴキゲンで、それからはウイスキーでもワインでも飲むときに「おーっとっとっと」なんてやってたもんだ。二人で。

6年の間で、俺は随分大きく変わったな。台本の書き方もわからなかったあの頃、演出のノウハウも持っていなかったあの頃、未来はモヤだらけなのに謎の自信と無敵感に包まれて荻窪でダンスを踊っていたあの頃。ガン、あれから俺は、舞台演出家をやり続け、結婚し、そして今もウイスキーを飲んでいる。ガンの家でよく飲んだジャックダニエルのことを思い出すよ。「ジャックおじさん、ジャックおじさん」っつって、「おーっとっとっと」を繰り返した週末のことを。変わらなかったことと言えば酒を飲んでいることだけで、でも俺はこの6年を割と微笑みながら思い出すことができている。良くも悪くも永遠なのは少しだけで、去ってしまった人たち、消えていってしまった人たち、思い出す風景、思い出す感情。でも俺は酒を飲んでいる。

「日本の問題」、しあさってから本番です。