PLAYNOTE 朝のジョナサンにて

2011年10月12日

朝のジョナサンにて

[雑記・メモ] 2011/10/12 09:11

ポメラとeeePC両刀。

朝のジョナサン、コーヒー一杯で二時間もねばってる、野球帽かぶったきたねーおっさんたちの井戸端会議。

「俺たちは最悪のタイミングで生まれてきちまったなぁ」「年金カットだって? どうすんの?」「少しでも多くもらいてぇよなぁ」「若い奴らが頑張らねぇからいけねぇんだ」「ニートはよくない、働け」「政治家がバカだからいけねぇんだよ、国民全員に40万くらい配ったらいいんだ」

こいつら腐ってない? 見たとこ団塊ね。あなたたちが頑張って働いてくれたおかげで、今の若者は素晴らしい社会生活を享受しています。バカはてめーらだ。

* * *

地方めぐりを終えて、生活リズムが一変してしまい、謎に毎朝5時に起きて、きちんと朝食をとり、ジョナサンで2~3時間パソコン叩いたり原稿読んだりという暮らしをしている。母親が心配して「奥さんとうまくいってないの?」とメールしてきた。残念、ゆうべは一緒にキムチ鍋作って食べました。でも同じ椅子に一日中座ってると、さすがに身体がおかしくなるんだよ。

谷、てめーは今何してんだ、働けよ、と思っている人もいるかもしれないけど、働いています。9月から翻訳を2本仕上げて、今は新たな2本の下読みをしつつ、新作の構想を練り、地道な下準備を続けています。その他主宰業や青年団の下働きをしつつ、フルタイムで働いています。来年の俺に期待してくれ。

現実から後退したいと思っている。今度、『日本の問題』なんて御大層な名前の公演に参加するわけだが、政治も経済も、どうでもいいと思っている。そこは俺の本分じゃないので、俺は俺の仕事をきちんとしようと思っている。政治家にしか救えないもの、経済活動でしか生み出せないもの、いろいろあるけど、芸術家にしかやれない仕事があるのだ。ガラス屋はいいガラスを作らなくちゃいかん。隣の饅頭屋のアンコの質に口を出してる場合じゃない。

先日、来るべき新作のために読んだプロットが素晴らし過ぎて、ちょっと感銘に打たれてしまった。物語にやれることの限界っつーか、何書いても何読んでも既視感のある中で、やっぱり世界的なトップランナーはいいもん書いてるんだなーってじんとしてしまった。たった2文字の数字にこれだけ心が揺さぶられるという奇跡! Caryl Churchillの『A Number』って作品で、下読みは済ませてあったんだけど、精読してみたらもうやられてしまった。環七の歩道で宝石を手に入れたような感動だった。

我々の人生を救うのは、金ではないと本気で思う。音楽のない世の中、物語のない世界、絵画の消え去った風景、料理人の死に絶えた食卓。そりゃあ家賃を払うことも、老後の積立をすることも大事だけれど、枯れ行く風景の中で、ふと出会う一輪の花やかすかな音楽のために、我々の生活は一度に色づく。

昔から好きな芥川龍之介の一節を。

幻滅した芸術家

 或一群の芸術家は幻滅の世界に住している。彼等は愛を信じない。良心なるものをも信じない。唯昔の苦行者のように無何有の砂漠を家としている。その点は成程気の毒かも知れない。しかし美しい蜃気楼は砂漠の天にのみ生ずるものである。百般の人事に幻滅した彼等も大抵芸術には幻滅していない。いや、芸術と云いさえすれば、常人の知らない金色の夢は忽ち空中に出現するのである。彼等も実は思いの外、幸福な瞬間を持たぬ訣ではない。

口語訳: 芸術家の中には、なんもかも絶望した! みたいな奴がいて、愛も良心も信じずに、カラッカラに乾いちまったぜ、世界は! なんつって生きてるわけで、まぁ哀れな奴らなんだけど、でもだな、蜃気楼ってのはカラッカラの砂漠の上にだけ浮かんでくるもんでしょ? 世間のなんもかもに疲れたー、嫌だわー、なんつってる芸術家連中も、芸術には案外絶望してないもんで、つかむしろ普通の人には見えないキラキラした夢想を芸術の中に見てたりするもんなんだわ。だからあいつらも、意外とね、幸せなときだってあるんだよ。

もういっこ。

草枕(夏目漱石)

 山路を登りながら、こう考えた。

 智に働けば角が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。

 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。

口語訳: いやこないだ、トボトボ歩きながら考えたんだけどね。ちょっと頭使うとすぐ人に叩かれるし、ちょっと誰かに優しくすっとすぐ痛い目見るし、信念とかあると生きづらいだけでしょ。本当、生きづらいわけです、世の中。生きづらいなーと思うとどっか逃げ出したくなるけど、どこ逃げても同じだ、ってわかるときがきて、そういうときに、詩とか絵画とか、芸術が生まれるんじゃないかな。って。

仕事します。

コメント

投稿者:ひとみまさこ (2011年10月12日 10:14)

Caryl Churchillさんってトップガールズの方ですね。舞台、面白かったです。A Numberも読んでみたくなりました。

投稿者:Kenichi Tani (2011年10月12日 14:47)

でも英語ですよー、って、そうだった! 人見さんは英語OK人種だったんだ! キャリル・チャーチルはイギリスでは完全に地位を確立した、100%歴史に残る作家ですんで、読んで損はないと思います。