PLAYNOTE 岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』

2011年10月10日

岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』

[読書] 2011/10/10 18:28

ちょいと仕事の関係で読んだ。1999年に第13回山本周五郎賞を受賞した表題作のみ。

えー……っと。……こわくねぇぞ?? どの辺が怖いんだ?

まぁいいや。怖いかどうかはほっておこう。途中までは楽しく読めた。苦境の極みと言っていい環境で育った幸薄い(つーか、ない)女郎屋の女が、それでも強く生きているいじらしさ、みたいなのにはちょっと胸を掴まれた。

人間は痛みに麻痺するようにできている。それは肉体的な痛覚だけじゃなくて、精神的な苦痛についてもだんだんと麻痺していく。他人から見たらどん底じゃん、って人生を、けろりとして生きている感じ、そこには生き物としての人間の強さを感じて、薄っぺらな文化人なんかよりよっぽど崇高に見えたりしたんだ。

しかしオチが……。オチが怪談っぽく仕上がってるおかげで、何とも余韻がない。女が怪物になってしまっている。人間として生地獄・娑婆苦の中を生きている女に少なからず高貴さのようなものさえ感じていた俺には、何だか残念なオチであった。

欧米のシリアルキラーの記録なんかを読むと、似たような境遇の人見つかるよね。男だけど。