PLAYNOTE イキウメ『散歩する侵略者』

2011年05月18日

イキウメ『散歩する侵略者』

[演劇レビュー] 2011/05/18 03:10

台本の完成度はピカイチ。期待はあった。そして期待以上であった。三軒茶屋シアタートラムにて。

これ以上は何も言うまい。現代演劇の最高峰の一つである。お芝居とか、どれ見たらいいかわからないよ、と思っている人々は、この作品を観に行くといいと思う。これで再演三回目、小説家もされており、外部で演出もされている。そして今日も劇場は満杯であった。名作の証拠だ。

イキウメはSF的だと言われるし、確かにそういうエッセンスはあると思う。しかし、今さらSFで、こんなに多くの人が涙を流すだろうか。結局は、人間について書いているからこそ、面白い本なのだし、人間を演じているからこそ惹きつけられる演技なのだ。

美術・照明・音響・演出とそつがなく、特に美術は嫉妬するほど良かった。照明・音響もでしゃばらずに、しかし演劇関係者ならわかるだろう、的確かつ十全な仕事をしている。俳優含め、すべてが作品に奉仕している、稀有な作品であった。

元々は客席数100弱の小劇場で上演された本だぜ。今やツアーを回り、老若男女が観に来ている。本当、演劇界の古典になり得る、いい作品である。

演出家が空間をこんなにも愛と信頼で演出しているということに俺は驚きを隠せないが、そんなコムズカシイこと考えなくていい、誰でも楽しめて、誰でも深く味わえる、良作であった。

悔しい。