PLAYNOTE ブライアン・フリール『モリー・スウィーニー』翻訳・演出します@シアタートラム

2011年05月04日

ブライアン・フリール『モリー・スウィーニー』翻訳・演出します@シアタートラム

[公演活動] 2011/05/04 15:00
『モリー・スウィーニー』チラシ表 『モリー・スウィーニー』チラシ裏
フライヤー表/裏

この作品だけは、どうしても観て欲しい始まる前から俺の代表作確定な作品との、運命の出会いでした。

アイルランド演劇界の大家ブライアン・フリールの名作『モリー・スウィーニー』40年間、盲目の身で生きてきたとある女性が、外科手術により光を手に入れる。彼女の目に光は、世界は、どう映ったか? 哲学的なテーマを織り込みつつも親しみを感じる人間ドラマとして編み上げた老大家による珠玉の長編、魅力的なキャストたちと共に上演するぜ。

戯曲のチョイスから翻訳・演出、キャスティング・スタッフィングに到るまで、世田谷パブリックシアターと二人三脚で半年以上準備してきました。翻訳にも演出にも、今の自分のすべてを注ぎ込んでます。いやマジでぶっちぎりに面白いと思うぜ、これ。

詳細は以下から。

ブライアン・フリール作/谷賢一翻訳・演出『モリー・スウィーニー』

作:ブライアン・フリール
訳・演出:谷賢一(DULL-COLORED POP)

出演:南果歩、小林顕作、相島一之

美術:尼川ゆら、照明:斎藤茂男、音響:小笠原康雅、衣裳:前田文子、技術監督:熊谷明人、プロダクション・マネージャー:勝康隆、プロデューサー:穂坂知恵子

あらすじ / ──光と闇の区別を、人は、誤ることがある

──モリーは目が見えない。ずっと光なき世界を生きてきた。
その夫・フランクは、モリーに光を見せたかった。
かつて天才と呼ばれた眼科医・ライスは、彼女の手術を成功させて、人生の光を取り戻したかった。

3人は困難な手術に挑むことを決める。
“失敗したところで、何も失うものはない”、と。

手術は成功し、モリーの目に光が戻った。
初めてモリーは世界を目で見る。
40年間、見えない世界に生きてきたモリーの目には、一体何が映ったのか?

会場

シアタートラム
(東急田園都市線/東急世田谷線・三軒茶屋駅より徒歩2分)

タイムテーブル

6/10(金) 19:00◎
 11(土) 13:00◎、18:00◎
 12(日) 15:00
 13(月) 19:00☆
 14(火) 休演日
 15(水) 14:00、19:00☆
 16(木) 19:00☆
 17(金) 19:00
 18(土) 13:00、18:00
 19(日) 13:00

◎…プレビュー公演 一律4,000円(各種割引はございません)
☆…ポストトークあり

チケット

一般 5,000円(全席指定)
世田谷パブリックシアターチケットセンター、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、カンフェティなど、各種チケットセンターで取り扱い

【各種割引】 ※詳しくはお問い合わせ下さい。
高校生以下 2,500円、U24 2,500円、友の会会員割引 4,500円、世田谷区民割引 4,700円

お問い合わせ

世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515

か、俺。

リンク

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以下、見所など。

戯曲について

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mono and color

「目が見えない人に、青はどういう色か、説明しなさい」

と問われたら、あなたはどう答えますか? そして、目が見えない人たちが、物体や空間をどう認識しているか、想像してみたことがありますか? さらには、目が見えない人たちが、ある日突然目が見えるようになったら、いったい何が起こると思いますか?

もうほとんど哲学のお話です。でも内容は、三人の男女の愛憎劇。ちっとも難しくないのに、奥が深くて、面白い。あまりにも挑戦的な構成をしてるものだから、今後もあまり上演されることはないだろうけど、内容的には世界第一級のレベルの戯曲です。必見。

翻訳について

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Pierre Bonnard

こつこつ翻訳してきた甲斐があって、こんなありがてー条件で抜擢してもらったわけだから、一切手抜きせず、時間をかけてこつこつ訳し下ろしました。

かつて夏目漱石が、「I LOVE YOUをどう訳す」と問われて「月が綺麗ですね、そう言えば伝わる」なんて粋な返答をした、というエピソードがあるそうだけど、俺は翻訳をそういうものだと思っている。ただ単語を移し替えるんじゃない、感情を伝えるのが翻訳だ。ただ台詞のやり取りを移し替えるんじゃない、状況を描き直すのが翻訳だ。いわゆるガチガチの翻訳文体とは一線を画す、でも原文に忠実な、いい翻訳に仕上がっています。

演出について

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vegetable man

もうほぼすべての筋道が見えている。それをスタッフ・キャストと膨らませる一ヵ月半が今から楽しみだ。

原文は、とてつもなくストイックな構成をしているので、ぶっちゃけ、ちょっと眠たい人もいると思う。しかしそれはもったいない。ポップを身上とする俺だから、退屈とは縁遠い、スリリングな時間を楽しんでもらえる演出に仕上げたい。

また、もう一つ力点を置いているのが、人物の心象風景を描くということ。盲目のモリーが見る世界と、周囲の人々が見る世界、そして、目が見えるようになったモリーが見た世界。ぜんぶ同じで、ぜんぶ違う。例えば同じ机でも、果物でも、空でも、それぞれ全く違う「見え方」がするはず。そこを、観客にも味わってもらいたい。色の驚き、光の鮮やかさ、そして闇の美しさを感じる演出がしたいぜ。

ここ一年くらい、オーソドックスなことをオーソドックスにやる、あえて奇を衒う演出はしない、そんな作品が続いたが、『モリー・スウィーニー』はかなりアヴァンギャルドな印象の作品になると思う。作品に合わせて演出を選んでこそ演出家だし、脚本を超えてこその演出だ。

家で読んでも面白い作品だし、俳優が真正面から上演するだけで魅力的な作品だが、それ以上、そこから先の景色を見せる演出をしたい。

キャストについて

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molly casts

まぁビッグネームが名を連ねたので正直ビビっているんだが、プロデューサーと二人三脚でベストなキャスティングができました。

南果歩さんはそりゃテレビや映画でお馴染みだろうけど、舞台にかける挑戦心も見上げたもので、キュートなのに芯の強い、そして華のある主役を演じてくれそうだ。会うたびに飴ちゃんくれたりクレープくれたりと愉快な人ではあるけれど、油断してると脇腹刺されそうな鋭さのある人なので、稽古が楽しみ。

相島一之さんは東京サンシャインボーイズの右腕だった人で、まさかこんなにも早く伝説の人と舞台でご一緒できるとは、恐悦至極。おっかねーなーと思ってお会いしたら、にっこにこ笑いながら「何でも言って下さい」とぺこり一礼してきて下さった。ぺーぺーの俺なんかに、人間ができすぎてる。しかしとにかく愉快で騒がしい陽気な人なので、稽古が楽しみ。

そうして小林顕作さんは、ある意味一番ナイスキャスティングと言える配役なんだぜ。ダンス集団コンドルズのコント担当、宇宙レコード主宰としてシュールなギャグで会場を沸かすエンターテイナー、最近はオフロスキーという謎キャラを演じてNHK教育テレビに意味不明な時空を生み出している超個性派俳優なんだが、彼が果歩さんの旦那役。おかしいだろそれ、って思うかもだけど、観てもらえればこのキャスティングの意味がわかるはずだ。

スタッフについて

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wireframe

プロデューサーの穂坂女史は世田谷パブリックシアターで精力的に海外作品の紹介・製作に携わっている方で、あのサイモン・マクバーニーを日本に紹介してもう10年になるというやり手な方。頼れるプロデューサー様と組ませてもらったおかげで、今回、実にやりやすい。技術監督の熊谷さんは世田谷パブリックシアター/シアタートラムを知り尽くした百戦錬磨の快男児で、頼れる兄貴、いやもう親父か棟梁みたいな人である。

美術尼川ゆら嬢は若いながら美術の大家・堀尾幸男氏の愛弟子としてぶりぶりのし上がりつつある気鋭の美術家さん。照明・斎藤茂男さんは佐藤信さんだの串田和美さんだの俺のパパ世代の演出家たちと数多の仕事を手掛け、今もイデビアン・クルーなどカッティング・エッジな作品に関わり続けているベテラン中のベテラン。前田文子さんは、もう、どう説明していいんだかわかんないくらい、舞台衣裳の世界では八面六臂のご活躍だが、お会いしたらパワフルかつ知的でしかもビューティフルな、素敵な方であった。

という人々の、お手伝いをさせてもらうんじゃなくて、演出家として付き従えて、俺は今回やるわけで、バランス感覚がよくわからん。しかしお会いしてみたら全員が全員、演出家を立てつつも信念を貫き通す、愛にあふれたプロフェッショナルばかりだったので、胸を借りるつもりであれこれ我が儘言わせてもらおうと思っている。

シアタートラムという劇場だぜ

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theatre tram

大変、お席がよろしく、かつ、見やすい勾配の、そしてオシャレかつハイテクな劇場です。去年、『日本語を読む vol.3』で踏ませてもらって、「今に見てろ、またすぐ戻って来るぜ」と中指おったてた夕方を俺は今でも覚えているんだが、恐ろしく早いタイミングでやらせてもらうことになってしまった。中指は立てとくもんだな。

震災の余波がまだまだ世間を薄暗く包んでいる昨今だが、光と闇について考えるこの作品は、きっとお客様の心に一つの確かな灯をともす作品になるだろうと信じてやまない。あと、シアタートラムは耐震構造ばっちりなので、下手に家にいるより全然安全だから、その点もご心配なく。

ご予約・お問い合わせは俺でもいい

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Typical Mattise

何か問い合わせ先に「世田谷パブリックシアターチケットセンター」とか書いてあるけど、ご予約・お問い合わせは俺宛てでも大歓迎です。メールでもTwitterでも話しかけておくれ。少しはサービスできるかもしれないぜ。

* * *

舞い上がっているつもりはない。こうして招聘される格好でシアタートラムでやらせてもらって、でもそれだけの自身も素地も十分ある。

それでも大舞台には違いないし、自分の未来を大きく分ける作品になるだろうという覚悟もある。いいスタッフ、キャストに囲まれて、演出家としての心細さはないけれど、しかし孤立無援の状況に一人で殴り込み勝負をするわけで、人間として、やっぱりどこか心細くはある。

是非、俺にしては珍しく、膝を折るような気持ちで、この作品を未届けに来て欲しいと切願しています。ヤバいくらい面白い作品だから、是非、是非多くの人に観て欲しい。

コメント

投稿者:海坊主 (2011年05月05日 23:29)

「モリー・スウィーニー」のプレビュー公演、拝見します!
先行予約しちゃいました(笑)。
「証明」で鷲掴まれて以来、谷さんの翻訳・演出は見逃せないのでね(^-^)
楽しみにしてますよ~

投稿者:Kenichi Tani (2011年05月05日 23:45)

先行予約! ありがとうございます~。
僕からプロデューサーに無理言ってやらせてもらったことでもあるので(先行予約)、ありがたいです。今までのお客様にも、これからのお客様にも楽しんで頂きたい。
どうぞどうぞ今後もよろしくお願い致します!