PLAYNOTE 最近観たお芝居など

2011年04月02日

最近観たお芝居など

[演劇レビュー] 2011/04/02 00:37

ぜんぜん書く時間がないので、個別に、じゃなくて、ごめんなさい、まとめて。

まず範宙遊泳『労働です』。
山本卓卓のファンキーかつ素っ頓狂な空間演出も、シニカルだけど超ポップなシーンの切り取り方も健在。カフカの『審判』を思い出させるような、意味不明の大企業で働く人々を描く、という視点だが、ブンガクくさくもなく、説教くさくもないのが素晴らしい。ただ、長過ぎた。しかし一つも反省する必要のない、どんどん我が道を行けばいい期待を感じさせる劇団である。俳優陣も粒ぞろい。

青年団新人公演『バルカン動物園』。
現代口語演劇の超発展形。台本で読むと複雑過ぎる同時多発会話の押収が見所。販売用台本は2段組だったけど、稽古用のは3段組だったらしい。何かもう演劇と言うより、サーカスとか見てる気分であった。よく書けるなこんなもん、とも、よく演出できるなこんなもん、とも、よく演じられたなこんなもん、とも思う。内容的にはスルメなんだが中盤やや退屈した。皆まで言わないニュアンスが、俳句みたいだった。

身体の景色『音と言葉と身体の景色 vol.6』。
昨年、ワークショップに来てくれた田中圭介さんという頼れる爽やかお兄さんが演出しているので観に行ったが、凄まじく黒々とアングラを感じさせる演目であった。終演後、「さっぱりわからんでした」と素直に伝えたらむしろ田中さんは喜んでいたが、そういうことなんだと思う。「何だかわからんがすごいもんを観ている」ということは痛いほどわかるのだが、結局やっぱり何だかわからん。俺も解釈しなきゃ病に陥りつつある自覚のある昨今。しかし俳優の身体性とミザンスの緻密さは見事であった。

ジエン社『スーサイドエルフ/インフレ世界』。
最近ぐんぐん評判いいし、ラブリーな俳優たちもたくさん出ているので観に行ったが、作者本介くんは相変わらず俺の好みと真逆の方向に全力疾走しており、はっきり言っていろいろピンと来ないまま終わってしまった。いいぞ、全力で俺から遠ざかれ、と応援したい。知ってる俳優がぞろぞろ出ているので、彼らの身体や発語に関して強いイメージを持った演出の手が加わっていることがよくわかる。ただ、俺は退屈であったし、彼と共有できる美学は少ないのかもしれないと感じた。彼がアーティストであることは間違いないのだが。

* * *

と、異色の公演ばかり観た。世の中には音楽なら何でも好き、魚料理なら全部好き、亀梨くん出てればすべて名作、みたいな人もいるし、実際俺も酒に関してはアルコールが入ってりゃ何でも好きという「好きだが音痴」だが、演劇に関しては何でも好き好き人間じゃないので、好みが別れて当然だと思っている。

最近は演劇なら何でも好きという人ばかりネットで幅をきかせていて、ネットの劇評が全然アテにならないのはいかんと思っている。音楽を紹介するにしても、パンクロックが好きな人なら今はこれ、ジャズが好きなら今はこれを聴け、と案内した方が、音楽ファンは増やせるんだから、発言力のあるブロガーなり劇評家なりの方々は頑張って欲しい。

アマゾンとか見てるとさ、その人の購入履歴から類推してオススメの本とか出てくるじゃない。Last.fmとか音楽サービスでも、聴いた曲から判断してオススメアーティストとか教えてくれる。ああいうの、演劇でもやれそうなもんだけどな。CoRichで超A級のプログラマーが腕を振るえば、できない話じゃないはずだけど。