PLAYNOTE 小竹向原に引っ越しました

2011年03月26日

小竹向原に引っ越しました

[雑記・メモ] 2011/03/26 02:05
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私事ですが、小竹向原に引っ越しました。

小竹向原は、池袋までバスで20分、電車で10分という都心部に位置するくせに、ちょっと探したら羊の一匹や二匹でも歩いてるんじゃねぇかってくらいのどかなプレイスだ。つまり田舎だ。駅近にスーパーは三軒もあるし、環七がバビュンと通っているし、すぐ近所にびっくりドンキーという名の肉の楽園もあるし、いいとこなんだが、マジで羊か牛でもいるんじゃねぇかってくらい静かな町だ。つまり田舎だ。二十代にして隠居してきたような感じだ。つまり田舎だ。

引っ越しを決めたのは完全にプライベートな理由なのだが、引っ越し先にこの土地を選んだのは仕事上の理由である。今芸術監督をやっているアトリエ春風舎があるのが、この小竹向原なのだ。以前住んでた方南町は、これもまた新宿からすぐの場所にあるくせに昭和の面影が残る実にしみったれてて貧乏くさくていい町だったが、あんまりにも春風舎へのアクセスが悪過ぎた。そうして僕は、羊と暮らすこの土地へ越してきたのである。

新居は大変気に入っている。風呂が広いし部屋も広い。ダイニングも快適だ。書斎は八畳になり、生活用品をすべてダイニング・キッチンに追い出せたので、以前とは比較するまでもないほど住み良い我が家である。羊もいる。ぬいぐるみも連れてきた。ブランキーのポスターも、芸道成就のお守りももう貼った。心なしか、同じコーヒーを飲んでも、以前よりおいしく感じる。

以前いた方南町のアパートは、壁とか薄々のはずなのに、途方もない深夜の大騒ぎを繰り返してもたった二回警察を呼ばれただけという実に都合のいい部屋だった。こちら小竹向原は木造アパートの二階であり、昨夜一発セックスしたらあっという間に階下のおじさんにやんわりと怒られて、この点だけ頭が痛い。転居したらそこそこ広いダイニングも手に入ることだし、夜通しカタカリと呼ばれるインドの伝統舞踊を踊ったり、泥酔してキッチン家具でストンプを演奏したりしようと思っていたのだが、計画は流れた。

今のところ何の不満もない。何の不満もないのが逆に不安である。どこまで行ってもないものねだり、こうして快適な屋根の下にいても落ち着かず、かと言って東北で被災していたらそれこそ運命を呪うんだろう。

人間は環境の動物である。あらゆる環境に順応するが、ひとつだけ慣れることができないもの、それは退屈だとある脳科学者が言っていた。生物として生存するためには活動を止めてはならないからと、いつの間にかプログラミングされた回路なのだろう。

たった今、窓から見下ろせる隣の空き地を、一匹の白い羊が通り過ぎた。ブラックライトでも当てたように、青白く発光する羊が通った。たぶん気のせいだろうけど、これからこうして羊の町に暮らす俺は、安心と不安の間をうまくバランスを取りながら行ったり来たりしなけりゃならない。アンビバレントな欲望を抱えて、相変わらずの所在の無さを感じ続ける。

というわけで、羊の町・小竹向原にお越しの際は、是非新居へ遊びに来て下さい。東京武蔵野病院かびっくりドンキー前から電話をくれれば迎えに行きます。お茶の一杯くらいお出ししますよ。