PLAYNOTE 地震を警戒して公演中止した愛のある団体を、どうにかして救済できないもんだろうか

2011年03月12日

地震を警戒して公演中止した愛のある団体を、どうにかして救済できないもんだろうか

[演劇メモ] 2011/03/12 05:26

今回の地震で演劇業界もすったもんだです。すでにNODA・MAPやキャラメルボックス、世田谷シルクほかが公演中止を決めています。何十人、何百人、何千人という人間が、真っ暗闇の中にぎゅっと集まる演劇公演は、いざ震災が起きた場合もっとも危ない場所の一つになるわけだし、交通機関の混乱も続いている現在、「やってないよ!」ということでお客さんを家に置いていく、というのは、妥当かつ賢明な判断だと思います。

CaramelBox★加藤の今日 Blog: 今日と明日(土日)、公演中止いたします。

「この日しか観られないからなんとか」というお客さまのためになんとか上演を検討してまいりましたが、次々と起きている余震が今後どういう展開になるのか想像できない上に、東北で甚大な被害が出ている現状を考えるに、皆さん、今はこの国のこと、被害地域の方々のこと、それ以前に自分の家族のこと、友達のことを考える日にいたしましょう

キャラメルボックス加藤さんのブログですが、超カッケー判断です。あのおっさん本当いつまで経ってもカッコいいな。本当に劇場という空間を愛で満たしてやがる。愛してるぜ加藤。

とは言え、興行者側からしてみれば、チケット代×人数分のお金が純粋な損害として振りかかるわけで、中止というのは並々ならぬ判断です。心では安全を考えて中止したい、と思っても、何十万、何百万という損失を、あっさり受け入れられるか、と言えば、難しい判断になるでしょう。小劇場の劇団だったら、1ステージ飛んだら間違いなく公演は大赤字。誰かが赤字をおっかぶり、最悪、演劇活動を続けられなくなっても不思議じゃない額面です。

お金の問題じゃない、それは確かにそうだけど、だからって主催者側が全額おっかぶるのはさすがにちょっとかわいそうだ。

僕も明日、ずっと楽しみにしていた公演を観に行く予定でしたが、キャンセルすることに決めました。でも、払い戻しはせずにおこうと思っています。「払い戻しするよ」っていう案内はもう届いたんだけど、劇団に対する募金みたいなもんだ。むしろ、お前んとこだって大騒ぎだろうに、そんなに迅速に連絡くれて、払い戻しの手順まで送ってきて、そんな誠意に頭が下がるってもんだぜ。そんな誠実な対応しやがったお前らには、チケット代数千円くらい、くれてやる。

「みんな払い戻しやめて!」
とは別に言わないよ。何だか変な感じはするしね。主催者側は、赤字覚悟、払い戻し覚悟で公演中止を決めたんだから、払い戻し拒否なんてむしろやめてくれ、観れなかったんだからお金は払わなくて当然です、という風に考える人も多いだろう。

俺はただ、うっかり払い戻しを忘れてしまっただけだ。別に損したとは思わない。劇団が続いてくれることの方が、俺にとっては有益だ。

あと、Twitter上で、僕の親友がこんなこと言ってました。

@LOVE_BASS_LOVE: @playnote 舞台のオーナーに、明日は仕込みの日の場所代にしてもらって、お客さんには多少なり汲んでもらって良いバランスの金額を払い戻しとかに出来ないのかな?

演劇業界の人じゃないだけに、仰天の発想。何とかならねぇかな、これ。例えば観客の三割が払い戻しをせず、劇場が三割でも劇場費を割り引いてやれば、劇団の金銭的損失は四割で済む。そんな痛み分けってできないもんかな。

現状、誠実に公演中止&払い戻し対応、というプロセスをとった劇団は、必然的に十割の金銭的被害を受けることになる。前述の通り、チケットの一枚一枚は数千円でも、全体では数十万、数百万だ。劇団、あるいは関係者の生活にとって致命傷になる場合だって十分あり得る額だよね。

もちろん、別日のチケットを買ってくれることとか、次の公演を観に来てくれることだって立派な応援だから、一概に払い戻し拒否&劇場費割引が最善というわけじゃない。そもそも首都圏全体交通マヒで余震もじゃんじゃん続いてるとか、ほとんど前例のない事態だから、誰も正しい対応策がわからない。

あるいは後日、カンパでもしてやればいいのかもしれない。これも劇団側との相談になっちゃうだろうけど。どうしたらいいんだろうね。

最後に、明日、劇場に行こうかどうか迷っているお客さんへ。そんなに演劇を愛してくれてありがとう、だけど、あなたの身の安全と、家族の身の安全が一番大事。そこが損なわれたら、今回のステージは観てもらえても、次回、次々回のステージは見てもらえなくなっちゃって、たぶんクリエイターも制作者もすごくすごく悲しみますよ。ましてや、こんなタイミングでも演劇観に行こうかどうか迷ってくれているようなお客さんを、大事にしたいと思わない演劇関係者なんかいないわけだ。だからみんな、断腸の思いで、公演中止なんていう損にしかならない決断を下しているわけだ。

俺自身、まぁ明日は大丈夫だろ、と思ってはいるんだが、しかし自分が主催者なら多分公演中止にするだろうな。自分の判断で自分が痛い目見るのは仕方がないが、役者やスタッフ、お客さんを巻き込むことになる。かと言ってそう簡単に公演中止にできない理由は、やっぱり金銭的な問題が大きいわけで。

繰り返すけど、判断は各々ご自由に。ただ俺は、お客さんを気遣って公演中止を決めた劇団が、少しでも救済されてくれるような名案が、どっかに転がってねぇかな、と思ってこんな記事を書いてみた。もっと名案があればTwitterで@playnote宛てにつぶやき飛ばすか、このブログのコメント欄にでも是非書き込んでみて下さい。結構みんな、頭痛めてます。演劇関係者。

追記

冷静に考えて、少なくともマチネは公演中止が妥当だと思う。昨晩、へとへとになって帰宅した関係者だって多いわけで、疲労・睡眠不足による舞台事故も心配だし。お客さんだって疲れてんだろ。

だけど、「公演中止こそ正義!」「公演中止しない団体は無神経!」「こんなときに上演してるなんて!」という声が大きくなり、ファッショ的な圧力を集めてしまうこともそれはそれで心配だ。ゆえに僕は、あえて上演する、という団体もまた、別に糾弾するつもりはない。

だからむしろ、公演中止という安全策を選ぶためのハードルを低くしてやるような努力をすることが、むしろ状況に貢献することなのかなぁと思っている。みんな生きろー。