PLAYNOTE 五ヶ月かけてやる『俳優のためのメンテナンスWS』

2010年12月02日

五ヶ月かけてやる『俳優のためのメンテナンスWS』

[公演活動] 2010/12/02 13:28
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チラシ

これも依頼があって引き受けたワークショップです。ただ、どちらも僕の今の問題意識ととてもリンクしている。「何かを伝えようと思ったら、時間を惜しんではいけない」ということだったり、「俳優を育てるということは、一朝一夕の話ではない」ということだったり。

約五ヶ月くらいかけて、だいたい二週間に一回ずつ、ワークショップを繰り返しながら、俳優としての自分をメンテナンスする、というワークショップ。俳優の心身の定期健診みたいなイメージ。僕がかつて黒澤世莉氏から一番最初に学んだことは、継続と反復、ということでした。継続するから成長する、反復するから変化に気づく。牛のようにどっしりと、じっくりと、演劇にとりくむワークショップです。

以下、リリース情報をそのまま掲載。

■俳優メンテナンスワークショップ

2011年1月から5月、講師に谷賢一(DULL-COLORED POP)氏をお招きし、俳優メンテナンスワークショップを開催致します。

今日も明日も俳優であり続けるために、俳優としての自分をメンテナンスしませんか。

■演技のための心と体の定期メンテナンス

定期的に、そして長期的に、俳優としての自分をメンテナンスするワークショップができないだろうか、という思いから、このワークショップは生まれました。

本番のための稽古ではできない、俳優のための演技訓練のワークショップです。二週間に一回のペースで定期的にワークショップを行うことで、

  • 自分の状態のメンテナンスをするとともに、自分の変化や成長に敏感になる
  • 演劇に触れていない時間を作らずに、常に俳優としての向上心や問題意識を持ち続ける
  • 定期検診のように一人のトレーナーから指導を受け続けることで、より深く俳優としての自分を理解する

といったことを目指します。全十回の終了後には、試演会の開催も検討しています。

いつでも自分の魅力を引き出せる、そして、問題意識と向上心を持ち続けられる俳優になるための、継続的なメンテナンスのワークショップです。

■内容:体と向き合う、心と向き合う、テキストと向き合う。演劇の今を知る。

  • 心身と演技の現状を確認するための、エクササイズやエチュード、および演技論の紹介。
  • 応用力を広げるための、複数のテキストを用いた演技実践
  • 俳優として知っておきたい今・現在の演劇状況に関する情報共有。演劇界の動向や、話題になった公演、ワークショップやオーディション情報のシェアなど。

毎回、終了時に、次回までの簡単な課題(宿題)を設定します。

■ワークショップ概要

2011年
1月16日(日)、30日(日)
2月11日(祝金)、27日(日)
3月13日(日)、26日(土)
4月10日(日)、24日(日)
5月8日(日)、22日(日)
※4月以降の予定は変動の可能性あり。

時間: 18時~22時
場所: 都内某所
定員: 12名(書類選考)
参加費: 1万円
参加対象: 演技経験者
応募〆切日: 2010年12月25日(土)
担当: 菊地奈緒(elePHANTMoon)
お問い合わせ: cattles@livedoor.com
ウェブ: http://blog.livedoor.jp/cattles/
主催: CATTLES

●応募方法:

応募〆切日18時までに、cattles.info@gmail.comまで以下の要項をお送り下さい。

  1. お名前
  2. フリガナ
  3. 電話番号
  4. PCメールアドレス
  5. 携帯メールアドレス
  6. 簡単なプロフィール
  7. 出演歴(代表作3作)
  8. メッセージ(あれば)
  9. 写真(1点)

■講師プロフィール:谷賢一(DULL-COLORED POP)

作家・演出家・翻訳家。DULL-COLORED POP主宰。青年団演出部。アトリエ春風舎芸術監督。日英の大学にて演劇学を修め、劇団を旗揚げ。以後、数十本の脚本・演出を担当し、脚本提供や外部演出、翻訳などでも活躍中。

俳優指導者としては、スタニスラフスキー、サンフォード・マイズナー、リー・ストラスバーグなどの研究・実践を通して「身体から感情へ」という方法論を実践。また、禅や心理学の発想を取り入れ、知的かつ行動的な演技指導を行っている他、最近は平田オリザの現代口語演劇理論を学び、現代人の心身に沿った演技論を模索し続けている。

2011年にはすでに3本の脚本提供・外部演出を予定している他、シアタートラムにて海外戯曲の翻訳・演出を担当。夏には休止中の劇団DULL-COLORED POPを再開し、独自訳・新演出による『マクベス』を上演予定。また、秋からはENBUゼミ専任講座講師として演技クラスを担当予定。

■お問い合わせ

主催:CATTLES
担当:菊地奈緒(elePHANTMoon)
MailAdd:cattles@livedoor.com

CATTLES ARE;
菊地奈緒(elePHANTMoon)
北澤芙未子(DULL-COLORED POP)
元田暁子

もともとはelePHANTMoonの菊地さんから「こんなことやりたいんだけど」と打診を受け、「そういうことなら」と引き受け、さらに北澤・元田という最近の僕の右手と左手に協力を依頼して立ち上げたユニットが、CATTLESです。

CATTLES? 牛たち? え、牛? って思うかもだけど、「牛」という単語を選んだのは、夏目漱石が芥川龍之介と久米正雄に宛てた手紙からとりました。当時、新進気鋭、飛ぶ鳥を落とす勢いの流行作家であった二人に、夏目漱石はこんなことを書いて送ったんだよ。

牛になる事はどうしても必要です。われわれはとかく馬になりたがるが、牛にはなかなかなり切れないです。僕のような老獪なものでも、ただいま牛と馬とつがって孕める事ある相の子位な程度のものです。

あせってはいけません。頭を悪くしては不可ません。根気ずくでお出でなさい。世の中は根気の前に頭を下げることを知っていますが、火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれません。うんうん死ぬまで押すのです。それだけです。

決して相手をこしらえてそれを押しちゃいけません。相手はいくらでも後から後からと出てきます。そうしてわれわれを悩ませます。牛は超然として押して行くのです。何を押すかと聞くなら申します。人間を押すのです。文士を押すのではありません。

要約すると、馬のようにひゅんひゅん進んじゃいけないよ、牛のようにゆっくり、じっくりやるつもりでなければ、芸術というのもはわからないのだよ。一時の成功に目を奪われずに、根気よく継続させることこそ必要なのだよ。そして、他人と戦っちゃいけない、他人と競っちゃいけない。自分自身や、人間存在を、きちんと見つめて、そいつと戦っていくのだよ。みたいな。

この言葉は僕の座右の言葉として、机の前に貼ってある言葉だ。俺も、華々しい成功だったり、飛躍的な出世だったりというのを羨望してしまう浅はかな人間ではあるけれど、でもそんなことじゃあ本当の「芸術」というものには近づけないんだ、ということもわかっている。特に演劇なんて人気商売、客商売が甚だしいが、しかしだからこそ、一体何と戦っているのか、一体どこに向かっているのか、常に確認し直さなければならない。

随分前から、あなたの夢は、と聞かれると、百年後、千年後に残っているような何かを作りたい、ということを答えている。僕にとって創作とは、生活の糧であったり悦楽であったりする以前に、自己の存在証明である。牛のように演劇に取り組みたい。

……とか、つい大仰に書き過ぎてしまったけど、やりたいことは割とシンプル。毎週、新しいこともやるけれど、同じエクササイズやエチュードを繰り返すことで、自己の状態や変化について敏感になること、発見することをしたいと思っている。プラス、どうにもならない自分の癖や弱点をだって、半年間腰を据えてかかれば、一つか二つなら解決できるかもしれないじゃない。

毎度毎度、公演の本番に向けた稽古をしていると、僕は思うんだ。公演へ向けての稽古のときは、僕は演出家であって俳優指導者でもトレーナーでもないのだから、演技指導や個人レッスンは極力しない。できないことはやらせないし、そういう人はキャスティングしない。手取り足取り教えない。どうしても必要に迫られたらやるけれど、でもダメな俳優Aさんを個人レッスンしている最中、できる俳優Bさんは何をしていたらいい? 暇じゃん。損じゃん。何でできる奴が損せにゃならんのか。ここは学校でも学習指導塾でもなくて、創作の現場なのに。

でも、俳優もかわいそうだとも思っている。だって本番向けの稽古以外に、演技の練習したり誰かと話したりする機会なんてほとんどないんだもの。

色々他にも思うところはあるけれど、時間をかけて、ゆっくりじっくり、牛が我が道を行くように、自分自身と向き合いながら一歩ずつ進んでいく。そういうことがしたいワークショップです。これもなかなかおかしな日程・スケジュールになっているけど、ごめん、他に空きがなかったんだ。でも、お付き合い頂ける方は是非ご参加下さい。ゲスト講師なんかも呼べたらいいなと思ってるんだ。