PLAYNOTE Project BUNGAKU、初日があけたのだ

2010年10月01日

Project BUNGAKU、初日があけたのだ

[公演活動] 2010/10/01 02:13
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FFFFOUND!より

劇作家の俺「あぁ、今回こそ書けないかもしれない」
演出家の俺「あぁ、今回こそ幕が開かないかもしれない」

そんなことを、割と本気で脱稿前も初日前も考える。今回だって「あぁ、こりゃ書けねーな」と何度筆を投げたか、あるいは酒に逃げたかわからねーが、こうして脱稿し、今日だって「あぁ、こりゃ開かねーわ」とゲラゲラ笑いながらも、必死にダメ出しやテクニカルの確認を一つずつこなしていったら、意外にも幕が開いた。

初日あけておめでとうございます、というのは奇跡の言葉だぜ。あかない舞台だってあるんだ、ということを、一度経験してしまうと、それがどれだけハッピーなことだかわかる。今回は本当に、座組に救われている感じ。

ひょっとこ乱舞『HUMAN LOST』、青組『燈籠』、アロッタファジャイナ『ヴィヨンの妻』、DULL-COLORED POP『人間失格』という布陣なので、寸評を述べておく。

ひょっとこ乱舞は、イメージの演劇だ。ある意味では今自分がやりたい方向性の演劇を、広田色でガンガン突き進めていて、最初の通し稽古では「は?」って思ったけど、今は見るのが面白い。やっぱり演出家の技量というのは、イメージは当然として、剛腕力にあるのだな、ということを深々感じる。あれは「演出家」でないと作れない作品だ。ダメ出しを見ていると、すごい乱暴で強引だったり、すごい丁寧で親切だったり幅があって面白い。しかしどちらも的確のようである。広田さんの頭の中までは覗けていないが。

青☆組はまたしても現代口語演劇じゃない演劇をやっていて、吉田小夏のルーツを開陳する作品のようである。太宰作品でああいう音響が流れるというのは、しかも和装、違和感である。そして違和感を生むことこそ演出なのだと僕は思っている。きちんと俳優を動かす確信的な力がある。俳優もよく見ると変態ばかりだ。王道に見えて、かなり変態的な作品であると思う。

アロッタファジャイナは一番原作に忠実なのだが、松枝さんの「解釈」を原作ヴィヨンの妻と比べると面白い。そこら辺を今日のアフタートークゲスト・香山リカ氏はさすが的確に見抜いていたが、原作未見の人には一番見やすい、素直な翻案に見えるのではないか。演出は違和感だ、と書いたばかりだが、演出は違和感の創出であると同時に、観客への適切な架け橋の建築でもある。架け橋を築いている感じがする。

そしてうちは、卑怯である。ひたすらに卑怯な演劇である。そして僕は、どうしようもなくこれが演劇なのだと思っている。劇場の制約やスタッフ上の制限、機材や予算の限度があるので、やりたいこと全てがやれているわけではないが、一番やりたいことの中心はやれている。僕にあと二十万でいいから予算が多くあれば、もっと混沌たる演劇を作ることができる気がしている。

中心にいるのがコロなのだ。コロちゃんという核弾頭を手に入れたことで、この作品は可能になった。そしてそれを十分DCPOPでメインの役どころを振れる/振りたい人々で取り囲んでいる。贅沢で、卑怯なやり方だ。いろいろ、卑怯なことをしていて、他の三団体には申し訳ない節もあるのだが、自分らしい演出をすることで少しでも公演に寄与したい。

今日は憧れの香山リカさんとお話できて、しかも香山リカ賞を頂いて、色紙に「人間合格」とまで書いて頂いて、ちょっと感動、ありがとう、なんだ。明日は三田佳子さんと猪瀬直樹さんが観に来るらしいんだ。怖い。一流の俳優と一流の書き手が観に来る。何だろう、この企画。意味わかんねーな。

現場は相変わらず怒号と苛立に満ちている。必要な怒号と苛立である。劇団を休止して、一番よかったな、と思うのが、怒る、ということをやり直せるようになったことだと思っている。演出は頭でやるものでもあり、血でやるものでもある。明日も僕は切り込んでいく。

観に来いよ。

予約用URL: http://ticket.corich.jp/apply/21919/003/

* * *

余談。

演出家が四人揃うと、価値観の違いが見事に現れて面白い。広田、吉田、松枝は「演出家」なのだ。我侭で、強引で、自分本位でナルシスティックで、普通に生活していたら嫌われるタイプである。広田さんとか保険会社の営業とかやってたら超嫌われるタイプだと思うし、小夏さんは職場の上司にいたら絶対厄介なタイプだし、松枝さんとか企業の企画宣伝室で同僚だったりしたらマジで面倒くさいと思う。そして僕は卑怯な人間である。嫌な座組である。喧嘩ばかりしている。

だが、進行のことや演出のこと、作品のことでガーッと喧嘩した後に、「差し入れでもらったお菓子食べよう」とか「スズメかわいいわーでれでれ」とか「おっぱい」とか言ってニコニコできるので、やりやすい。とっても、やりやすいんだ。喧嘩できる相手だということは、大変にやりやすい。

明日の喧嘩に備えて寝ることにする。それぞれ、みんな、自分が一番大事で、自分の作品を一番大事にしている四人である。そんな四人が揃うということは、ちょっと奇跡的なことでもあるんだ。