PLAYNOTE 本読み会:つかこうへい『熱海殺人事件 ザ・ロンゲスト・スプリング』

2010年08月27日

本読み会:つかこうへい『熱海殺人事件 ザ・ロンゲスト・スプリング』

[公演活動] 2010/08/27 20:37
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笑う酒巻氏

去る23日、本読み会・つかこうへいをやってきた。僕の他に参加者は、本読み会主催の大野遥氏、松山立(松山流)氏、北見さんという女子に加え、つかフリークの中田顕史郎御大、ぼっここと木下祐子ちゃん、三嶋義信さん、酒巻誉洋(elePHANTMoon)と、このまま公演打てるメンバーであった。

それより何より、つかこうへい読んだが、すごかった。

僕も久々に大声出してつかこうへい朗読してみたりなんかしちゃってみたんだが、酷いんだけど笑えちゃう悪罵の数々、ガチで腹筋がキリキリくる台詞量、読んでるうちにテンション高い方向に引っ張られちゃう口立て台本、転々ころころ変わりまくる人間関係。四時間ほとんど笑いっぱなし、叫びっぱなしであった。

普通の喫茶店だったら「出て行け」どころか「警察呼ぶぞ」どころか、呼ばれた挙句に精神鑑定受けるレベル。元カラオケ店なので防音はばっちりだったんだ。特につか全盛期に足しげく劇場に通ったという顕史郎さんの異常なハイテンションと大音声は、それ自体が一つの追悼文のようであった。

つかこうへいは僕にとってはほとんど謎の作家なので、当時を知る人々や戯曲を読みあさった人々から意見と声が聴けるのは貴重な機会であった。だが、やっぱり謎のままであった。「わかった!」ってなるよりは、これくらい意味不明な方が、読みがいもある、懐や奥行きが深い戯曲、ということなのだが。

酒巻先生のブログに記事が上がっていたよ。

「泣き虫の顔色」:本読み会にて - livedoor Blog(ブログ)

そういった意味も含め、「面白そう」では済まない本読みになりました。
というか、台詞がそれでは済ませないので、頭の血管が切れるんではないかというくらいに身体全体で、全力でかからないと、いやかからせる本なんです。
で、とにかく面白く楽しい。
はちゃめちゃな展開なのに何故か最後には涙ぐむ、という訳のわからなさ。
怒りや悔しさや尋常ではない哀しみのたくさん詰まった、それでいて笑えてしまう。

破格だ…。

言うべきことは大体先生が言ってくれているので、特に補足はありません。

ただ、もっかい読んでみたいと思ったが、上演したいとはむしろ思わなかった。下手に演出してつか演出より面白くなる予感がしない。つかこうへいは紛れもなく「作家」でもあるのだが、戯曲に関しては彼の方法論とべったりくっついていて、いい意味で割り切れたもんじゃないんだろう。

作家と演出家は分けるべきだ、という議論がちょいちょいあちこちで巻き起こっているが、バカの一つ覚えみたいに「別じゃなきゃ!」というのはナンセンスであると常々思っている。つかこうへいや野田秀樹や、現代で言えばあの人とかこの人とか、戯曲と方法論が表裏一体で、切り離したら逆にハンドル切りづらい戯曲だっていくらもある。多分つかこうへい戯曲を栗山民也が演出しても面白くないし、平田オリザ戯曲を維新派で上演しても面白くないだろう。これはわかりやすい例だけど、それと同じくらい「何でその組み合わせ?」っていう脚本・演出タッグを作っておきながら、「分けたからいい」というのはあんまりにも馬鹿げている。

作家・つかこうへいの戯曲を多分僕は一生演出しないだろうし、演出家つかこうへいの亡くなった今、そう簡単につかこうへい作品の上演を見に行くこともないんだろう。偉大な人でした。追悼。