PLAYNOTE 東京都現代美術館『借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展』

2010年08月16日

東京都現代美術館『借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展』

[映画・美術など] 2010/08/16 11:46

もう一つの特別展『こどものにわ』が目当てだったので、こっちはそれほど調べもせず、「アリエッティ観たし、清澄白河まで行くんだからついでに」くらいのつもりで立ち寄ったのだが、この展覧会のためだけに足を運ぶ価値があるはず。映画観てから行くといいよ。

「どうせ原画展なんだろう」

くらいのつもりで入って行ったら、驚いたことに、『借りぐらしのアリエッティ』に登場する小人たちの小さな家が、人間が入れるサイズに巨大化されて作りつけられている。つまり、小人サイズから世界を観るコンセプトの展覧会だ。これにはちょっと興奮したね。

演出がまず素晴らしい。映画冒頭で登場する、アリエッティが逃げ込む床下への格子がどーんと2メートルくらいの高さで入り口に建て込まれており、その格子の間を通って中へ入る。進むとそこには、五寸釘が太めのボールペンくらいのサイズに拡大された、小人目線の世界が広がっている。

イメージとしては、ディズニーランドのアトラクション。小人の世界にすっと紛れ込めてしまう。アリエッティの部屋、お父さんの部屋、家族の居間など劇中で印象的だったシーンが片っ端から立体化されており、「え、ここ、土足で入っていいの?」ってとこや、「え、これ、触っていいの?」ってものまで、入れる、触れる。はっきり言って超楽しい。

小人の部屋の最後には、人間の部屋を壁の隙間から覗き込むスペースがあって、人間の靴や椅子がとんでもない巨大サイズでそびえ立っている。衝撃的。小人の目線から見ると人間ってこんなに怖いんだなぁ、ってことが、理屈ぶっ飛ばして資格と手触りで飛び込んでくる。

人間の部屋を目撃した後は、今度は逆に入り口にあったのと同じような格子戸を通って庭に出る。自分の背丈より高い雑草や、その葉っぱに乗った水滴、秋田犬くらいのサイズのバッタなんかがきらきらと光っていて、小人の部屋の圧迫感からは一転、開放感に溢れた展示。緩急のついたいい展示演出だ。

その後はフロアを移動して、映画美術家・種田陽平氏の原画・デザイン画・イラスト・映画の写真なんかがずらりと。覚えているだけでも『スワロウテイル』『マジックアワー』『キル・ビル』など有名どこの映画がたくさんあって、そんなに映画通でもない自分でも十分「あ、これ観た!」と楽しめる。同時に氏の仕事へのこだわりも透けて見えてきて、なるほど、こういう独創性ときめ細かさを兼ね合わせた美術世界を作るには、こんなにも仕事に没頭・浸水せねばならないものか、と驚かされる。

ぜひ『アリエッティ』観てから行くといいと思う。つーか、アリエッティ観た人はみんな行った方がいい。それくらいわかりやすくて楽しくて、しかし徹底的につくりこまれたプロの業を感じられる、いい展覧会でした。