PLAYNOTE 虫の思い出

2010年07月31日

虫の思い出

[雑記・メモ] 2010/07/31 21:08

小さい頃は大好きだったのにさ、虫、どうして大人になると大抵の人が嫌いになってしまうんだろう。僕もご多分に漏れず大変な虫好き少年で、図鑑もたくさん持っていたし、家の裏手が小川の流れる草原だったことをいいことに、いろんな虫を捕獲したもんだった。

「小さい頃は好奇心が旺盛だからね。でも、大人になると、だんだんそれが薄れてきて、『ふしぎ!』『なぜ?』のわくわくより、あの節ばった手足だとか、黒光りする体だとか、人間にはない長い触覚だとか、気持ち悪い部分が目につくようになってきて、嫌いになっちゃうんじゃないか」

以前、どこかでこんな推論を読んだ。ふむ、確かに虫は異形の極みである。人間は、魚から両生類、爬虫類、鳥類と進化して、最後に哺乳類になった、と言うが、虫はどこにも入っていないし。一部のオカルト好きなら昆虫宇宙飛来説を聞いたことがあるだろう。「昆虫は他の生物に似てなさすぎる、隕石に付着して飛来した宇宙生物だ!」というトンデモ説だが、「昆虫 宇宙」でググると一杯でてくる。もちろん、マジメな学説としては誰も支持してないようだけれど、それくらい「気持ち悪い」のが虫だ。

小さい頃は俺も、当然のようにバッタを捕まえて足をもいだし、トンボを捕まえてロケット花火にセロテープで固定してぶっ飛ばしたし、学研の科学とかについてきた実験用の薬品を独自調合して「毒薬だ」とか言って蟻やゴミ虫にぶっかけてどれだけ早く殺せるか試したものだ。もちろん、カブトムシは大事に飼育したし、脱皮したての真っ白なバッタを捕まえて友達に自慢した後に「早く緑色になれよ」と放してやったりもしたし、一生懸命いろんな虫の名前を暗記したし、虐殺しまくっていただけではない。

何でこんなに小さいのに動いてんだろう?
どうしてこんな形してるんだろう?
何を食べるんだろう?
どうやって増えるんだろう?
夜はどこで眠るんだろう?
一体こいつら、何考えてるんだろう?

そんなスポンジのように柔らかな好奇心は、どんどん知識を吸い込んで膨らんでいく。「虫博士」だった僕は、中学に入る頃には虫に興味を失っており、通学路でカナブンを見つけてもスルーしたし、玄関の前にバッタがいても追い払ったし、網戸に大きな蛾が止まったらバンバン叩いて落っことした。「虫博士」はもう昆虫については博士課程を修了しており、好奇心のスポンジは干からびて、味も素っ気もない無関心だけが残る。

そうして大学生になる頃には、いろんな「?」が、逆に気持ち悪くなっていったんだ。

何でこんなに小さいのに動いてんだ?
どうしてこんな形してるんだ?
何食べてんだ?
どっから増えてくるんだ?
どこで寝てんだ?
一体こいつら、何考えてやがるんだ?

大人になる過程で、人間は自分のエゴ、自我を確立していく。自我境界線を明確にしていくんだ。幼稚園児だって「俺は俺だし、すみれ組のカー君とは違うし」くらいのことはわかってるが、どんどん自我境界線は太く濃くなっていく。自分には踏み込まれたくない一線があり、自分の考えてることなんか誰にも伝わらない、ということがわかると、翻って、相手にも踏み込まれたくない一線があって、相手の考えていることなんか絶対にわからない、ということが、だんだんとわかってくる。俺とカー君は、全く違う個体であり、「ばいばい」と言って曲がり角を折れたカー君は、次の瞬間、恐るべき一つめの食人鬼アンソロポファジャイに変わっているのかもしれないのだ。

「虫って何なんだろう? わからないなぁ、不思議だなぁ」
という好奇心はやがて、
「虫って何なんだろう? わからないなぁ、不気味だなぁ」
という不信感に変わっていくんだ。

虫がこの場合、一体何のアナロジーなのかは、説明するまでもないだろう。フランス五月革命を牽引した元軍人の豪傑大統領シャルル・ド・ゴールは、「人間を知れば知るほど、私は犬が好きになる」と言ったが、彼も小さい頃は虫が好きだっただろうか。

「虫も殺さぬ顔をして」なんて慣用表現があるけれど、虫を本気で殺したがる大人なんていない。日本では年鑑に1,871人の殺人事件が起こったそうだ(ICPO調査による2002年の統計)

でもみんな、小さい頃は、虫が大好きだったんだ。

コメント

投稿者:みあざき (2010年08月04日 00:27)

地球上で一番種数が多いのは昆虫なんだって。私は脊椎動物の方がインベーダーなんじゃないかって思う。同じ甲殻類のエビとかは美味い美味い言って食べてるのにね。

投稿者:みあざき (2010年08月04日 00:29)

カブトムシとか甲殻類、ではないかも?勘違い?

投稿者:Kenichi Tani (2010年08月05日 22:19)

カブトムシは昆虫で、エビは節足動物甲殻類なのです!
ちょっと違うのです!