PLAYNOTE 永井愛『こんにちは、母さん』

2010年07月24日

永井愛『こんにちは、母さん』

[演劇レビュー] 2010/07/24 23:16

NHKの舞台放送で流れてた奴、資料として観た。たぶん7~8年くらい前に一度観てるんだけど、改めて観てみたら、あまりにも素晴らしくてDVDで泣いてしまった。

長い。二時間半くらいあるのかな? 時間を忘れて観る。飽きずに観る。ワンシーン、ワンシーンが愛らしい。ラブリーってことね。どうじに永井愛らしくもあるのだけれど、あまりに愛すべき人物たち。

昔、劇作を始めたての頃は、この凄まじさはちょっとわからなかったな。もちろんお芝居としての完成度はよくわかっていたし、加藤治子や平田満を始めとして俳優陣の仕事も実に緻密。DVDの唯一よいところはアップで見れるところだが、大劇場の広さに負けない芝居の大きさを持ちながら、アップにも耐えうる=小劇場的な距離感でも目を見張る演技というのは、ちょっとすごい。小劇場の人やミュージカルの人、ベテランの人たちとかと仕事をしてみて、最近こういう凄さに改めて気付かされている。

しかし戯曲が凄い。本当に凄いなぁ。永井愛は日本でも名実ともにトップレベルの劇作家だし、歴史に名を残す作家だと思うけれど、そんじょそこらで見慣れている作家崩れの作品とは次元が違う感じがする。情緒のある台詞や所作が大変多く、笑いに満ちており、しかし劇としての貫通行動・筋が一貫していて、素晴らし過ぎる。葉っぱが素晴らしい作品を書くことはできるだろう。幹の太い作品を書くこともできるだろう。だが、太い幹に美しい葉っぱをつけた、こんな戯曲はなかなか書けない。一言で言って、憧れてしまう。

久々に永井愛の作品群を読み返したくなってきた。『兄帰る』とか観たいなぁ。『ゴロブリョフ家の人々』とか『萩家の三姉妹』とか観たいなぁ。俺がまだ高校生で演劇を始めたての頃から読んだり見たりしているわけだから、もう十年以上の付き合いになるわけだけれど、いやはや、どこまで行っても底の見えない作家だ。